名探偵ホおむズ 事件簿016 |
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この日は、この冬一番の寒さであった。 |
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ロンドンでも、至る所に霜柱が。 |
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ワトソンは、毛布をかぶって、寒さをしのいでいた。 |
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「ふっふっふ! 寒いかね、ワトソン博士?」 |
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「むっ!? 貴様は、怪盗ルパン!」
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「犯罪予告をしよう」 |
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「私は今から、お前にとって大切なものを奪う……」 |
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「ふっふっふ! 私の盗みを、阻止できるかね?」 |
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「で、できるとも! 貴様を捕まえてやる!」 |
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怪盗ルパンは、なぜか水辺へと向かった。 |
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それを追う、ワトソン。 |
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ワトソンは、ルパンを追い詰めた。 |
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「さあ、ワトソン! 私を捕まえてみろ!」 「ゆ、ゆくぞ!」 |
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だが ―― ルパンは素早く逃げた。 |
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「しまった!」 |
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「どうしたワトソン? ここまで来てみろ!」 「き、貴様あ!」 |
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結局、怪盗ルパンは、逃げてしまった。 |
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「くそっ。逃げ足の速い奴だ……」 |
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「だが、勝負は引き分けだ! 奴は何も盗めなかったからな」 |
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「しかし……寒いな! 体が冷え切ってしまった」 |
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「奴のせいで毛布から出たし、水辺にまで行ったからなあ」 |
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「うう……さ、寒い……」 ぶるぶる ぶるぶる |
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「おいワトソン! 奴は、とんでもないものを奪っていったぞ!」 |
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「何だと!?」 |
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「奴はお前の、体温を奪ったのだ!」 |
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「しまったーっ!」 |