奴はとんでもないものを奪っていきました

2011年01月07日 16時50分11秒 | B地点 おかか

 

 

名探偵ホおむズ 事件簿016


この日は、この冬一番の寒さであった。
ロンドンでも、至る所に霜柱が。
ワトソンは、毛布をかぶって、寒さをしのいでいた。
「ふっふっふ! 寒いかね、ワトソン博士?」

「むっ!? 貴様は、怪盗ルパン!」


(※参照、「奴はとんでもないものを盗んでいきました」

「犯罪予告をしよう」
「私は今から、お前にとって大切なものを奪う……」
「ふっふっふ! 私の盗みを、阻止できるかね?」
「で、できるとも! 貴様を捕まえてやる!」
怪盗ルパンは、なぜか水辺へと向かった。
それを追う、ワトソン。
ワトソンは、ルパンを追い詰めた。
「さあ、ワトソン! 私を捕まえてみろ!」

「ゆ、ゆくぞ!」
だが ―― ルパンは素早く逃げた。
「しまった!」
「どうしたワトソン? ここまで来てみろ!」

「き、貴様あ!」
結局、怪盗ルパンは、逃げてしまった。
「くそっ。逃げ足の速い奴だ……」

「だが、勝負は引き分けだ! 奴は何も盗めなかったからな」

「しかし……寒いな! 体が冷え切ってしまった」
「奴のせいで毛布から出たし、水辺にまで行ったからなあ」
「うう……さ、寒い……」

ぶるぶる ぶるぶる
「おいワトソン! 奴は、とんでもないものを奪っていったぞ!」
「何だと!?」
「奴はお前の、体温を奪ったのだ!」
「しまったーっ!」