花冷え

2010年03月28日 16時27分00秒 | B地点 おむ

 

 

「桜がとっても綺麗だよ」

「そろそろ満開じゃないかな」
「それはいいけど……」
「今日は、ものすごく寒いんだ……」
「うむ。冷えるなあ」
「桜が咲く時期には、真冬のように冷え込むことがあるんだよ」
「それを『花冷え』と言うんだ」
「毛布を被って、寒さをしのぎましょう」
「うむ。それしかあるまい」
「ああ……寒いなあ」

ぶるぶる
「鼻の先が、冷たくなってきたよ……」
おむさんは、自分の尻尾で、鼻を覆った。
「やれやれ。参ったなあ」
「鼻冷え、か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


夜櫻妖艷

2010年03月27日 18時11分00秒 | B地点 おむ

 

 

陽は沈んだ
僕たち野良猫の時間が始まる
ニンゲンの膝から飛び降りろ
昼間は陽気な桜の花も
僕たちの闇が近付くにつれて
妖しい表情を帯びてくるのだ
ニンゲンの街の明かりを軽蔑するかのように
月が不気味な光を放つ
これで役者は揃った
僕たち野良猫の時間が始まるのだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「狂」宴の後の反省

2010年03月27日 17時33分00秒 | B地点 寄り目ちゃん

 

 

この日、地域猫ボランティアさんが、お酒の差し入れをしてくれた。


※実話

かなり寒かったが、実際、桜の下で酒盛りをしている男女もいたのである。


※実話

そして、おかか先生が、こう言った。

「……よし、私たちも、本格的な花見をするか!」
「酒もあるしな!」
「いいですね、やりましょう!」
「僕も交ぜてよ!」
―― というわけで、猫たちは、酒を飲み始めた。
桜の花の下で、飲んで飲んで、飲みまくった。
そして、猫たちは、したたかに酔っ払ってしまった……。
おかか先生も、泥酔した。
べろんべろんに乱れて、
ぶっ倒れてしまった。
おむさんと、よっちゃんも、ひどく酔った。
なんだか妙な気分になって ―― キスしてしまった。
やがて日が暮れて、酒もなくなり、滅茶苦茶な宴会も、終わりを迎えた。
酔いが覚め、頭も体も、冷えてきた。
おかか先生は、鯨飲したことを深く後悔した。

「ああ……みっともないなあ……」
おむさんも、飲み過ぎを反省した。

「ああ……頭がガンガン痛いよぅ……」
よっちゃんも、慚愧の念にさいなまれた。

「ああ……酔ってキスしちゃうなんて……」
「僕ってバカだ……」
「くぅ~っ! 僕のバカ!」 
「バカ~ッ!」