今日は残念ながら小雨がちの日となった。気温は17度まで上がったが、日がささず、暖かくはなかった。釜石の市街地の桜はもうすっかり終わり、今は遠野が桜の見頃となっている。ただ遠野も今日は同じような天気である。釜石と同じように山の桜も咲いている。ただ、遠野の山の桜は釜石と違って、赤味の濃い花が多い。遠くから見てもよく目立つのだ。猿ヶ石川に沿って長い桜並木があり、北上の展勝地とはまた違った趣がある。遠野ではこの桜並木が注目されがちだが、よく見ると、釜石や北上以上に桜の木が多い。街中で桜が咲いている。青笹地区の喜清院と言うお寺の枝垂れ桜も樹齢の古い見事な桜だ。樹齢が350年を超えると言われている。遠野には他にも何か所か桜の大樹がある。今年は残念ながらそれらを見ることは出来そうにない。 1973年に米国で『ソイレント・グリーン Soylent Green』と言う映画作られた。2022年の未来社会で、貧富の格差が拡大しており、野菜や果物と言ったものは富める者しか食べられず、貧民はソイレント社が作る合成食品を配給されて生きていた。ソイレント社の新製品であるソイレント・グリーンがたくさんの人間の死体から作られていたことが明らかになると言うSF映画だ。昨年米国のアトランタ住む若干24歳のロブ・ラインハートRob Rhinehart氏が、この映画と同じソイレント社Soylent Corporationを立ち上げ、合成食品「ソイレント」を作った。この4月から「ソイレント1.0」の出荷が始まった。数ヶ月ほとんどこのソイレントだけを食べて、健康に異常を来していないのだと言う。ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸や炭水化物、脂肪などの栄養素が含まれ、脂肪はオリーブオイルやフレッシュオイルだけを使用し、炭水化物にはオリゴ糖を使っているため、長期間エネルギーを体に保つことができるのだそうだ。現在、世界では7人に1人が栄養失調であり、発展途上国では3人に1人が食料不足だと言われる。国連によれば、2050年までに世界人口は90億人に到達し、食糧危機は避けられないと警告している。野菜や果物、肉はそれらの人々すべてに行き渡ることは不可能だとされる。「ソイレント1.0」は現在、出荷が米国国内に限られているが、いずれ国外へも出荷する予定だと言う。「ソイレント1.0」は1週間パックが65ドル、1食が3.1ドルだ。今日の為替相場が1ドル102円ほどなので、1食が316円くらいだ。専用のピッチャーと計量カップが附属する。粉末のため、水を注いで、飲むだけだと言う。米国では貧しい人が簡便で安いファーストフードを主食とするため、今や米国人の70%が太りすぎや肥満だと言われている。その一方で世界の食糧の50%は捨てられている。確かに、栄養的に問題がなければ、「ソイレント1.0」のような合成食品は食費を極端に減らせ、輸送にも便利なため、飢餓に喘ぐ人たちの救済には適しているのかも知れない。ハイテク企業が揃う米国シリコンバレーでは、今、ソイレント社だけでなく、食品産業に新しい企業が次々に参入していると言う。コンピューターで栄養素を組み合わせ、合成食品の開発に乗り出している。プログラミング技術を食品分野に広げているのだ。米国にはすでに世界的規模で食品分野を支配する超巨大企業が存在する。それらの企業に対抗して、ハイテクを使った合成食品を作ろうと言うのだ。しかし、これまでも、シリコンバレーで生まれた革新的なものの多くは巨大企業に買い取られ、吸収されて行った。同じ道を進むことになる可能性があるだろう。また、何より、合成食品は緊急避難的な使われ方に限るべきだろう。自然界にない食品が人にどう言う影響を与えるかは、未知のことが多く、長い年月をかけて検証して行くしかないからだ。
延齢草
丹頂草
梅花唐松