釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

東日本の火山も要注意

2018-01-31 19:14:26 | 自然
今月23日に標高2171mの、群馬県と長野県の県境にある本白根山が噴火したが、昨日、気象庁は宮城、山形両県にまたがる蔵王山で火山性微動を観測したと発表した。山頂の南方向が隆起した。蔵王山には馬の背カルデラがあり、噴気や火山ガスの噴出がみられている。2011年の東日本大震災後、中部日本の御嶽山や九州の桜島、阿蘇山などの火山活動が活発になっているが、東北や北海道でも八甲田山、十和田、有珠山で火山性微動や膨張が観測されている。これらの近くには青森県六ヶ所村の再処理工場や大間、東通原発があり、有珠山は泊原発に影響を与える距離にある。四国の伊方原発、九州の川内原発は活断層が真近であり、直下型地震や阿蘇山の大規模噴火があれば、大きな災害が発生する。日本には111の活火山がある。それらのうちの37の火山が16ヶ所の原発に影響を与える範囲にある。火山の噴火は原発を直撃することはないが、噴火で発生する大量の火山灰が原発の電気・通信システムを麻痺させ、原発はコントロール不能に陥る。核燃料の核分裂で発生する熱を冷却し続けなければならない原発にとって、冷却不能に陥ることは致命的な事故になる。福島第一原発事故や震災後の原発の再稼働に見られるように、国の安全審査などとても甘い。再稼働ありきが大前提であるからだ。2万を超える活断層と100を超える活火山がある日本列島に54基もの原発や多数の使用済み核燃料棒が集積する再処理工場がある。東日本大震災は多くの研究者たちに日本は今、地殻の大変動期に入ったと気付かさせた。平安時代と江戸時代には大地震や富士山をはじめとする各地の火山の噴火が連動して発生している。NHKも報じたように震度1以上の地震の数はいまだに震災以前に比べて多い。釜石でもしばらく減っていた地震がここ何ヶ月か増えて来ている。まるで震災前を思わせるような頻度だ。揺れがさほど大きくないために、忘れてしまうが、数だけは確かに増えている。立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学教授によれば、「2011年の東日本大震災以降、太平洋プレートと北米プレートの摩擦が強まり、このためプレートが溶けてマグマが生産され、関東から北海道にかけての火山が活発になっている。火山性の微動が起きていたり、マグマの熱から生じるガスや水蒸気で山全体が膨らんでいる火山は要注意です」と言う。
氷柱

30万年前に出現した現生人類

2018-01-30 19:15:28 | 科学
今朝は−6度で、日中は氷点下の真冬日に戻ってしまった。以前降った雪が日陰や道路脇で凍って残っている。今週後半にはまた寒気が押し寄せ、東京でも雪が降るようだ。釜石でも珍しい寒さが続く。職場の裏山に今日もジョウビタキが来ていた。山に雪が残るためか、雪があまりない裏山に6頭の鹿が現れた。仕切りに草を食べていた。人の動きを見ると、警戒はするが、またしばらくすると食べ始めていた。 以前は現生人類がアフリカに出現したのが20万年前とされ、アフリカを出たのが7万年前とされて来た。しかし。遺伝子を使った考古学の最近の進歩は、現生人類の歴史を塗り替えている。昨年6月、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の研究者たちはアフリカのモロッコのジェベル・イルード遺跡で発見された頭骸骨の化石から、30万年以上前の現生人類のものであると結論付けた。遺跡には焚き火の周りに散乱した石器も見つかっている。これまではエチオピアの19万5000年前の遺跡から出土したものが最古のホモ・サピエンスとされて来た。同遺跡はアフリカ北西部にあり、初期人類の化石が数多く発見されている東アフリカや南アフリカの遺跡とは遠く離れている。この遺跡の化石は現代的な顔と原始的な頭蓋をを持ち、研究者たちは現生人類らしい特徴は一度に進化して来たのではなく、特徴ごとにモザイク的に進化して来たのかも知れないとする。また、このほど2002年にイスラエル北部のカルメル山のミスリヤ洞窟で発見された化石からホモ・サピエンスがすでに18万年前にユーラシア大陸に足を踏み入れていたことがオーストラリアの研究者たちによって明らかにされた。歯と顎骨の形状からネアンデルタール人ではなく現生人類のものであると判断された。アフリカでは数十万年にわたり、間欠的に気候が湿潤になり、現在のサハラ砂漠のある一帯に植物が繁茂して、それに合わせて、人類の祖先が間欠的に西アジアの入り口に押し寄せる動きがあったのだと言う。化石のそばで見つかった道具はルヴァロワ技法という比較的洗練された技法で作られた打製石器であった。そしてこのタイプの石器は先のモロッコのジェベル・イルード遺跡でも見つかっている。ドイツで発見された12万4000年前のネアンデルタール人の骨をDNA解析したところ、今から22万年以上前にネアンデルタール人と現生人類が交雑していた可能性が出て来ている。我々人類の祖先を遺伝子的に辿ると、アフリカのたった一人の女性ミトコンドリア・イブに辿り着くと言う説がある。考古学の遺伝子的解析は今後もさらに人類史を塗り替えて行くだろう。


ドル下落の中で作り出された資産高騰

2018-01-29 19:19:24 | 経済
週末から今日にかけては日中の気温がわずかにプラスになったが、明日からはまた日中も氷点下に逆戻りするようだ。週後半には再び強い寒気がやって来る。関東でもまた雪になるようだ。釜石の積雪はそれほどでもないが、気温が低いせいで、溶けずに残った雪がまだあり、それも凍っていて、滑りやすくなっている。メインの道路はすっかり雪がなくなっているので助かるが。今朝は−3度で、日中は晴れ上がった。職場の裏山にはジョウビタキの雄がやって来ていた。 米国の株式は先週末にもさらに歴史上最高値を更新した。日本の今日の株式もそれに従い反転して上昇した。米国では株式だけでなく、各種債券も最高値に達しており、やはりバブル状態になっている。何故こうした状況が生まれているのか、理解するためには過去を振り返る必要がある。戦後、世界の金(Gold)保有の6割を米国が占め、その金を背景にしたドルが世界での貿易取引の基軸通貨となった。従って、戦後は金本位制でスタートした。しかし、朝鮮戦争やベトナム戦争で巨額の戦費を要した米国は次第に保有していた金を欧州にドルと引き換えに要求され、失って行く。この時点で財政赤字と対外的な経常収支の赤字があり、ドルの増刷に迫られる。裏付けとなる金が足りなくなったため、ついに1971年ニクソン大統領は、金本位制を放棄する。しかし、これにより増刷されたドルへの信用が低下し、ドルの価値がさらに低下する。1978年には自国の国債を信用を失ったドルでは発行出来なくなり、スイスフランで発行すると言う屈辱的な状態に落ち込んだ。それだけでは、国家として資金不足のため、国際通貨基金IMFが主要国通貨を取り入れた政府間通貨SDRを発行して米国を助けた。1981年大統領となったレーガンは米国に海外からの投資を誘引することで、ドルの維持を図ろうとし、規制緩和を強力に進めた。中央銀行FRBも金利を19%にも上げて、その金利を目指して海外から投資資金を集めることに成功した。米国への投資はドル買いになるため、ドルの価値は見事上昇した。しかし、この時すでに米国製造業は衰退しており、規制緩和も金融面で大きく行われ、米国は製造業から金融へシフトした。元手の何倍もの投資が可能なデリバティブのような商品やETFと言った金融商品が開発され、お金がお金を生むゲームが始まった。1987年のブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックとほぼ10年前後でバブルを生んでは崩壊して来た。特に、2008年のリーマン・ショックでは負債を抱えた巨大金融機関を倒産させず、中央銀行FRBが紙幣を増刷して救済したため、その時発生した不良債権がそのまま中央銀行に残ってしまった。FRBは金融の世界を支えるために2009年から2014年までいわゆる金融緩和でドルを増刷する。これにより米国の株や債券を支えたが、異常なドル発行はいつまでも続けられないため、2014年に中止し、日本やEUの中央銀行がその後肩代わりをして、米国の金融市場を支えた。超低金利の日本からは金利の高い米国へ投資資金が今も流れて、同じく金融市場を支えている。資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞した米国イェール大学のロバート・シラー教授は、株の割高感を表す指数を提唱しており、CAPE指数として知られている。その数値が高いほど割高であることを表す。この数値が30を超えたのは過去に2回ある。1929年の世界恐慌直前と2000年のITバブル崩壊直前である。1029年は32.56であったが、現在はさらにそれを上回る33.60まで上昇している。また、ドルの価値を他のいくつかの通貨と対比して表したドル指数(DXY)と言う指標があるが、こちらは1970年代以後、3度その価値を持ち直して数値をあげて来たが、趨勢的には確実に低下して来ている。1985年に158.48の最高値を付けた後下がり、2002年に118.99まで持ち直し、以後再び下降し、2016年には99.80まで回復したが、以後現在まで下がり続けて、現在は89.11となっている。金の裏付けをなくして、増刷され続けて来たドルは着実に価値を失って来ている。その裏返しに、歴史的に真の通貨であり続けた金は相対的な価値を上げて来ている。株や債券の暴落の時期は近付いており、暴落が起きれば、巨額の負債が姿を現わし、ドルもまた暴落し、金のパニック的な暴騰を引き起こすだろう。ドルは基軸通貨の座を奪われることになる。
ドル指数(DXY)の推移

睡眠と瞑想

2018-01-27 19:18:37 | 科学
ハンガリーの生態系研究センターの研究によれば、白樺などの樺の木は夜になると、枝を10cm下に垂らすことが分かった。オーストリアとフィンランドの樺の木にレーザーを照射し、それが枝葉から反射されて戻ってくるまでの時間を計測した。そのデータから各樹木の3次元の動きを測定したものだ。日中は日射しを効率よく受けるために枝葉は上に向けられるが、夜間は枝葉を持ち上げるエネルギーを節約しているようだ。24時間周期で変動する生理現象を概日リズムと言うが、ポプラや栗の木では、その概日リズムに関連した遺伝子がすでに特定されている。植物にも動物と同じく睡眠がある可能性が出て来た。人の脳は体重の2%程度しかないが、活動のために消費するエネルギーは全身の20~25%になる。エネルギーを消費する過程で、脳では老廃物が発生する。脳にはそうした老廃物を排出するリンパ系がないと考えられて来たが、一昨年、米国のロチェスター大学の研究者らによって、脳内のリンパ系が見出された。「グリンパティック系」と名付けられた老廃物の排出システムは睡眠中に最も活発に働くことも明らかになった。つまり、脳を健全に保つためには睡眠がとても重要だと言うことだ。脳に有害なタンパク質が蓄積するとされるアルツハイマー病やパーキンソン病の解明にも手掛かりになる可能性がある。脳には神経細胞とグリア細胞の2種類の細胞があり、グリア細胞は神経細胞の栄養補給や脳のバリア機構などさまざまな役割を担っている。その2種類の細胞が密に集まっており、老廃物を排出する隙間がないと考えられていたのだ。ところが、睡眠中にグリア細胞が収縮し、細胞の間に隙間ができて、老廃物を排出する流れが生じる。老廃物を含んだリンパ液は静脈に入り、体外へ排出されて行く。一方、脳の神経細胞がたくさん集まっている灰白質と言うところでは、認知や意識が構成されるが、不安や恐怖、ストレスなどがあると、構造的に問題が生じると言う。米国のハーバード大学の研究で、その問題を生じた構造が「瞑想」により再構築されることが分かった。古来からアジアでは瞑想が行われて来たが、科学的にもその瞑想に根拠があることが判明したのだ。睡眠は人の体にとって考えられていた以上に重要だと言うことだ。また、瞑想は脳の思考や認知にとって、ぜひ生活に取り入れるべきもののようだ。
北上小堤の白鳥たち

Perfect Storm

2018-01-26 19:12:09 | 経済
一日中氷点下の真冬日が今日も続き、3日連続となった。日中も−2度にしか上がらなかったが、体感的には昨日よりは寒くは感じなかった。寒さに慣れて来たのだろうか。埼玉県では-9.8度、北海道では-31.3度のところがあったようだ。今日も川には白鳥の姿は見られなかった。職場のそばの山茶花の花が寒さのために縮んでいるように見えた。裏山の小鳥たちだけがいつもと変わらず、枝を飛び回りさえずっていた。 米国には株式の動きを表す主要な指数がある。ダウ工業株30種、ナスダック総合指数、S&P総合500種の3つの主要株価指数である。この3種ともが現在、歴史上最高値になっている。昨年末から引き続き、年が明けてからも上昇し続けて来ている。昨日は香港の株式も史上最高値になった。日本だけは26年ぶりの高値ではあるが、1990年代初めのバブル期末に比べて、その68%くらいである。バブル崩壊後の経済の低迷で、日本銀行は税収の伸びない財政を助けるために世界に先駆けて、政府の発行する国債を買い入れ始めた。しかし、その額は現在の年80兆円と比べると4分の1くらいである。2008年のリーマン・ショックは米欧に多大の負債を発生させた。そのため、米欧ともに中央銀行が日本銀行に倣って、米国は主に国債ではなく、発生した不良債権を、欧州はギリシャやスペインなどの国債を大量に買い込んで、経済破綻を防いだ。国債にしろ、不良債権にしろ、それらを中央銀行が買い込むと言うことは、その買い込みに際し、紙幣を相手に渡すことであり、紙幣がこの時増刷された。リーマン・ショックで、急激に米国経済が落ち込んだため、経済成長していた中国の米国への輸出量が激減した。成長にブレーキをかけられた中国は、成長率を維持するために、同じく中央銀行である人民銀行が紙幣を増刷して、一般銀行を通じて不動産へ注ぎ込んだ。いずれの中央銀行も増刷した紙幣は4兆ドル以上である。合わせて日本円にして2000兆円になる。米国は増刷した紙幣の回収を2014年から開始し始めた。しかし、それを補うように日本銀行が異次元緩和で増刷を続けていた。第2次安倍政権が成立して以来、毎年平均で40兆円が米国へ流れた。日本の大手銀行・保険会社、政府系金融-郵貯、かんぽ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などから米国の株式・債券へ流れた。5年間の米国への流出額200兆円が海外資産として積み上がり、日本の海外資産が1000兆円を超えた。さらに海外の投資家は短期金利が米国より低く、ゼロに近い日本円を借り、それを米国の株式・債券へ投資している。要するに日本マネーは米国の株式・債券バブルを支えている。米国の中央銀行に続いて、EUの中央銀行も今年から紙幣の回収と金利の引き上げに入ろうとしているが、日本だけは方針を変えていない。「デフレ脱却」や「2%のインフレ目標」と言う名目をいまだに掲げている。短期金利は中央銀行が操作出来る。これをゼロにしておけば、2%のインフレが実現出来れば、実質金利は0-2=-2となる。つまり、政府や日本銀行の狙いは実質金利-2%が狙いである。実質マイナス金利は政府債務を大きく軽減出来る。1%の金利上昇で、金利負担は20兆円にもなるのだ。ウィリアム・ホワイトWilliam WhiteOECD経済開発検討委員会前議長は、一昨年もスイスでの世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に先立ち、世界の金融システムの不安定化を警告したが、今年もダボス会議にあたり「あらゆる市場指標がリーマン・ショック前に見られたものと酷似している」「世界の金融システムは Perfect Storm に直面している」と警告した。経済の世界では Perfect Stormは「金融恐慌」を指す。同じくダボス会議のホテルでノーベル経済学賞を受賞した米国イェール大学ロバート・シラーRobert James Shiller教授は、「 World's "Priciest Stock Market" Could "Absolutely Turn Suddenly"(世界的最高値となった株式市場は確実に急落する)」と警告している。財界では珍しく、インテリアの大手企業にのし上がったニトリの会長は、「「景気も晴れ時々曇りで、デフレ景気はまだまだ続いていく。主要30業種で好景気なのは通信、旅行、電子部品など6業種で、あとは6業種が薄日、残り18業種が曇りか雨。中小企業も曇りか雨なので、国内に楽観できる要素はない」として、赤字が並ぶ多くの企業の資料を披瀝している。実体経済は日米ともに決してよくはなく、中央銀行の増刷により、米国の市場が歪められ、空前のバブル状態になっている。国も企業も個人も負債を同じく空前の規模に膨らませた米国で、バブルが弾ければ、実体経済を吹き飛ばす、凄まじい破壊力となるだろう。中央銀行にはもはやこの破壊力を抑えるだけの余力はない。再び巨額の増刷を積み重ねれば、通貨の価値は急低下し、自らハイパーインフレーションを招く。1929年の世界恐慌同様に、数年かけて世界中に波及し、日本も政府財政、年金は無論、企業や個人へもまともに爆風が及ぶだろう。
山茶花

本白根山の噴火

2018-01-25 19:14:23 | 自然
今朝も−7度で、昨日に続いて一日中氷点下の真冬日が続いた。最低気温は−8度であった。同じ釜石でも市街地周辺部の地域では−12度のところもあった。例年の北海道並みの気温である。しかし、さすがに釜石は内陸とは違い雪はずっと少なく、主な路面の雪はなくなっている。残念ながら先日の4羽の白鳥はいつも川の位置では姿が見えなくなっていた。 23日、米国アラスカ州アンカレジから南におよそ580Km離れた太平洋を震源とするM7.9の地震があった。ファンデフカJuan De Fuca・プレート が突然東の方向に移動し、北米North Americaプレートの下に滑り込んで起きた。カスカディアCascadia断層帯である。ここでは1700年にM9の巨大地震が発生し、日本へも津波が押し寄せている。この断層帯もやはりRing of Fire環太平洋火山帯に属し、地震と火山噴火の地帯である。同じ日、日本では群馬県にある本白根山という火山が突然噴火した。有史以来、噴火の歴史はなかった山だ。1979年と2014年に噴火した御嶽山も同じく、有史以来噴火していない山である。過去の噴火は本白根山は3000年前、御嶽山は5000年前である。本白根山は北米プレート上に、御嶽山はユーラシアプレート上にある。そして、両火山からほぼ等距離にある富士山は北米プレート上ではあるが、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが接近しており、フィリピン海プレートは富士山直下に潜り込む形になっている。太平洋プレートは北米プレートの下に潜り込んで、北米プレートに圧力をかけているが、同時にフィリピン海プレートプレート下にも潜り込み、圧力をかけている。距離から考えると、フィリピン海プレートにかかった圧力が御嶽山や本白根山の噴火に影響した可能性が強い。琉球大学の木村政昭名誉教授が予想する2019年までの富士山の噴火は、このフィリピン海プレートの圧力を最も受けやすい富士山の位置を考えると、大いにあり得ると思われる。富士山直下には巨大なマグマ溜まりがあり、数年前から富士山での隆起や亀裂が報告されており、満を辞した形で突然噴火に至る可能性がある。富士山の最後の噴火は1707年の宝永大噴火である。そして、この噴火は49日前に起きた南海トラフのほぼ全域にわたって断層破壊が起きた宝永巨大地震に続く噴火であった。同じ江戸時代には1611年の慶長三陸巨大地震が起きている。津波は最高20mに及んだと推測されている。江戸期と同様に平安時代にもこの東北の巨大地震、南海トラフ地震、富士山噴火がそれぞれ発生している。もともと日本列島は東西の島二つが合体して構成された。その合体地帯がフォッサマグナと呼ばれる。東の新潟県から千葉県に至る柏崎ー千葉構造線と糸魚川ー静岡構造線に挟まれた地域である。そこには新潟焼山、妙高山、草津白根山、本白根山、浅間山、八ヶ岳、富士山、箱根山、天城山がある。本来この地帯は地殻的に不安定な地域である。しかし、この地帯に東京電力の柏崎原発と中部電力の浜岡原発がある。富士山噴火や南海トラフの地震は間違いなく直接浜岡原発を機能不全に追い込むだろう。2011年の東北の巨大地震は、誰もが想像さえしていなかった。
近所の旧家の軒先のツララ

歴史は繰り返す

2018-01-24 19:12:56 | 社会
今朝は−7度になっていた。家の裏の空き家の庭の雪の上には鹿の足跡と糞があった。市街地周辺の山々に雪が積もったので、市街地まで餌を探してやって来たようだ。寒波はしばらく続くようで、日中も風が冷たかった。今日は一日中氷点下の真冬日になった。北海道は−10度まで下がったようだ。一時日射しも刺したが、やがて遠野方向から雲が空を覆い、わずかだが小雪が舞った。 18世紀半ばから半世紀をかけた産業革命により、大英帝国は「世界の工場」として世界の覇権を握り、英国通貨ポンドが基軸通貨となって行く。しかし、19世紀半ばにはドイツや米国も産業力を付け、1914年に始まった第一次世界大戦では英国は膨大な戦費を要し、ついには財政赤字と経常収支赤字と言う現在の米国と同じ状態に陥ってしまった。英国は戦費調達を主に米国に頼り、1929年の米国ニューヨーク株式市場の大暴落に始まった世界恐慌でさらにダメージを受けた。1939年から始まった第二次世界大戦では連合国として戦勝国とはなったが、やはり膨大な戦費を米国から調達した。このため、戦後も英国は借金の返済のため、ドルを保有せざるを得なくなり、基軸通貨の座をドルに奪われる。自国通貨ドルが基軸通貨となったものの、米国は1950年の朝鮮戦争、 1964年のベトナム戦争により、巨大な財政赤字を抱え込み、同時に戦後急速に復興したドイツや日本の産業により、経常収支まで赤字となってしまった。1944年のブレトンウッズ体制で金本位制となっていたが、米国は経常収支赤字のため、保有する金(gold)が激減しており、ドル増刷に迫られていたことから、ついに1971年金本位制から離れ、何の裏付けもなくドルを増刷し始めた。しかし、国内産業は新興国ドイツ、日本に太刀打ち出来ず、そのままであれば、大英帝国と同じ道を辿らざるを得なくなる。そこで、生き残りをかけて、製造業以外に道を見出す必要があった。それが「金融商品」と言う名の米国のマネー製造機である。マネーがさらなるマネーを生み出すネズミ講である。何故なら、金融では得をするものがいれば、必ず同額の損失を被るものがいるからだ。政府公認のネズミ講では誰も罰せられることはない。しかも2008年のリーマン・ショックのように、負債があまりに巨額なJPモルガンやバンク・オブ・アメリカのような金融機関は、「社会への影響が大きい」と言う理由で、中央銀行FRBから資金を注入され救済されたが、負債額が少なかったシティバンクやリーマン・ブラザーズは破綻させられたのだ。リーマン・ショックの反省もなく、今また同じことがさらに規模を大きくして発生している。空前の債券・株式高であり、その裏では2010年には30兆ドルであった政府・企業・個人の負債合計が70兆ドルと言う、これまた空前の借金が積み上がっている。金本位制を離れ、「金融商品」で延命を図ったが、結局は反省がないため、延命すればするほど双子の赤字と負債は巨大になって行き、今や英国よりもずっと規模の大きい破綻の道に入ってしまっている。「超大国」米国の破綻はあまりにも規模が大きいだけに、これまでの歴史にない規模の世界恐慌となるだろう。米国の経済予測シンクタンクのTrend Research Institute によれば、米国・カナダの破綻は3〜5年で起きるだろうと言う。
鹿の足跡

世界的な格差拡大

2018-01-23 19:13:12 | 経済
東京は昨日から大雪で、積雪が20cmに達したようだ。釜石は昨夕から細雪が今朝まで降り続き、10cmほど積もったが、午前中から雨に変わり道路がぬかるんだ。朝、出勤時に職場近くの川でしばらくぶりに白鳥の姿が見えた。昼休みに行って見ると、4羽の白鳥がいた。3羽は寝ているようだった。以前川の上を飛んでいた4羽の白鳥たちなのかも知れない。どこか中流にいたのだろう。 1942年、英国で、クエーカー教徒、社会活動家、オックスフォード大学の教育関係者が中心となって「オックスフォード飢餓救済委員会」が設立され、以来、国際非政府組織(NGO)オックスファムOxfamとして、貧困状況にある人々の支援や貧困を生み出す状況を変えるための活動を続けている。そのオックスファムが昨日、トランプ大統領も出席して、今日から25日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、そのスイスのダボスで格差問題に関する最新の報告書「資産ではなく労働に報酬を(Reward Work, Not Wealth)」を発表した。報告書は「昨年生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が独占」し、「世界の貧しい半分の37億人の取り分はないに等しい」現状を明らかにしている。「1%の富める人が2017年6月末までの1年間に増やした資産額は7620億ドル(約84兆4000億円)だった。これは、1日に1.9ドル未満で暮らす絶対的貧困の状態から全ての人を救うために必要な額の7倍に当たる」。「下位37億人の資産規模は全体の0.53%にすぎない」。15日にもオックスファムは、世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産とほぼ同じだったと発表している。上位8人は、1位ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者)、2位アマンシオ・オルテガ(スペインの実業家。ZARA創業者)、3位ウォーレン・バフェット(投資家)、4位:カルロス・スリム・ヘル(メキシコの実業家。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビルを所有)、5位ジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者)、6位マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)、7位ラリー・エリソン(オラクル創業者)、8位マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長)である。1980年代の米国のグローバリズムと2008年以後の異常な金融緩和により、貧困層だけでなく、勤労者の所得も増えていない。シンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングは今月10日、「歴史的な水準まで低下した労働分配率」と題する調査レポートを出した。「労働分配率とは企業が生み出した付加価値のうち賃金など労働者が手にする割合」だ。「給料が増えないことが普通になる一方で、(企業の)利益は過去最高を更新できるほどに拡大し、労働分配率が歴史的水準まで低下したと言える。」と述べている。


2012年末に第二次安倍内閣が成立し、打ち出された「アベノミクス」の実態がこれらのグラフで明瞭だろう。労働分配率は急激に低下し、企業の取り分は一層増加した。しかもそれは史上最高である。人件費は日本のバブル崩壊後、ほとんど横ばいのままだ。アベノミクスをマネー面で推進したのが日本銀行である。その日本銀行の公表しているマネタリーベースの推移を見ると、下図のようになっている。マネタリーベースの日本銀行による説明は「マネタリーベースとは、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のことです。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値です。 」となっている。要するに日本銀行が世の中に向けて発行した有効な総紙幣量である。

このグラフを見るだけで、いかに異常な紙幣の発行か分かる。しかもこれだけ異常に発行しても、実質的には世の中にその紙幣は出回ってはいないのだ。今月5日に日本銀行調査統計局が発表した2017年12月末時点のマネタリーベースは479兆9976億円である。今月5日に日本銀行が発表した12月31日現在の「営業毎旬報告」を見ると、市中銀行が中央銀行に預ける当座預金が368兆4893億円である。つまり480兆円近くの紙幣を世の中に流して、そのうち76.8%が日本銀行の金庫に収まっているのだ。いくらお金を印刷して市中銀行を通じて世の中に流そうとしても、市中銀行は借り手がいないため、多少でも金利の付く日本銀行に預けざるを得ないのだ。この「営業毎旬報告」では17兆2353億円が上場投資信託、つまり株式に投じられている。超低金利で市中銀行から投資目的で多額の資金を借り受けられる富裕層だけが「異次元の金融緩和」の恩恵を受け、しかもその株式を中央銀行が買い支えている。さらに、「営業毎旬報告」では日本銀行の国債保有高は440兆6729億円となっている。日本銀行が発行した紙幣は国債購入のために91.8%が費やされている。市中銀行や保険会社が政府から買った国債を日本銀行がさらに高い金額で買い取ることで、金利を下げている。これほど多額の国債を中央銀行が買い取り、超低金利を維持し、政府の財政を助けざるを得ない状態に追い込まれているのが日本の現状だ。毎年80兆円の国債の購入であるから、今年中に日本の1年間の所得であるGDPと同じになる。政府財政が崖っぷちに追い込まれ、国民の間では格差が拡大している。このまさに異常な日本の現状をメディアは何も報じない。
昼休みに見た4羽の白鳥

自決した人

2018-01-22 19:15:54 | 社会
今朝は−6度の中をウォーキングした。相変わらず雪はない。東京では昼頃には雪が降り出したようだが、夕方から明日にかけてさらに大雪になると言う。釜石も夕方から湿った雪が降って来た。昼休みに川を見て見たが、やはり白鳥の姿はなかった。餌をやる人がいなくなったので、白鳥たちも餌の豊富な内陸へ移動したのだろう。鮭は少なくなって来ているが、まだ遡上してくるようだ。 保守派の論客であった西部邁(にしべ すすむ)が昨日亡くなった。自ら最期を決めた。同じ保守派であった三島由紀夫の最期と同じだ。以前はTVに登場した西部の論述をよく聞いていたが、著書まで読む気はしなかった。歯切れの良くない模糊とした論述に、何を言おうとしているのか分からないことも多く、結果的に現状を肯定する姿勢に納得出来なかったことを覚えている。西部の思想には納得出来なかったが、彼が「病院死を選びたくない」として、それを実行した点はある意味で感服させられた。三島由紀夫のような派手な自決とは異なり、一人多摩川に入水し、命を絶った。体調が悪くなっていたようで、1ヶ月前に出版された『保守の真髄』の中でも、自分の死をほのめかしていたようだ。三島にしても西部にしても、死期を自ら決める姿勢を考えると、彼らの「保守」とはどこか江戸時代の武士の理念が流れているように感じる。「潔さ」が根底にあるのだろう。「病院死を選びたくない」としても、自宅で誰にも気付かれずに衰弱するままに死を迎えることもあり得ただろう。結果的に西部らしく三島同様にマスコミで派手に報じられている。ただ、歳とともに人生の最期をいかに迎えるかは誰にとっても大きな問題であることは間違いない。多くの人が西部のように「病院死を選びたくない」と思っているだろうが、病に倒れると、本人よりも家族が回復の期待で、どうしても病院を選ぶ。誰にとっても家族に見守られながら、自宅で最後を迎えることが一番だと思うが、その最期までの過程で家族の負担が大きいことも確かだ。厚生労働省は医療費削減の観点から、在宅医療を進めている。しかし、現状は各世代がそれぞれ独立して生活しており、しかも若い世代は夫婦が共に働かざるを得ない時代である。老いた病者を介護する人がいなかったり、いわゆる老老介護が多くを占めている。介護施設も医療費と同じく福祉の支出削減で、運営が困難になり閉鎖するところが出ている。欧米では本人が食べられなくなると、それ以上の医療は行われない。ますます高齢者が増える一方で、日本の財政は行き詰っている。最期のあり方を考え直す時期かも知れない。
椿の蕾

東北の伝承

2018-01-20 19:18:34 | 歴史
今朝は放射冷却で−4度であったが、日中は晴れて、気温も7度まで上がり、寒さが遠のいた穏やかな日だった。裏の空き家の日当たりのいい庭にタンポポが咲いていた。ニュースを見ると、米国の債務上限問題で、つなぎ予算をめぐって議会が時間切れとなり、4年ぶりに政府機関の一部が閉鎖されることになったようだ。日本もだが、米国も財政赤字が年々積み上がっている。 和田家資料2「丑寅日本記第一」に「東国日本之誕生誌」があり、「人祖の族を号けて紋吾露夷奴族と曰ふなり。凡そ三十万年乃至十五万年前の古事なり。今に曰ふ山靼のブリヤートモンゴール族なり。都度に渡来せる捨郷の民は、流鬼島に渡り、日高渡島を経て東日流に渡り、海幸山幸の天恵に定着せし、通称アソベ族、ツボケ族、ウソリ族をして子孫を殖し、西域に移りゆきたり。是ぞ、わが丑寅日本国を誕生せしめたる元民なり。」と記され、また「丑寅日本記第二」の「日本古史正伝」でも、「人間、狩猟に飢えてその後跡を追えり。山靼より東北へ幾山河を越え渡り、此の国に落着しける民こそ吾らが祖先なり。号けて是を紋吾露夷土族と曰ふ。即ち、ブリヤート族と曰ふ。」と記され、日本列島へやって来た人たちがブリヤート族であることを繰り返し記している。ロシアのバイカル湖東岸に今でもブリヤートの人たちが住んでいる。大阪医科大学学長を務めた松本秀雄は免疫グロブリンを決定するGm遺伝子から日本人の起源をバイカル湖畔とした。ミトコンドリアDNAを分析した国立科学博物館篠田謙一らの研究結果でもブリヤートとの共通因子があるとした。また國學院大学の考古学の加藤晋平教授は、東日本で発掘されるクサビ型細石核をもつ細石刃文化はバイカル湖周辺から拡散して来たものだとする。和田家文書にはこうした日本人の起源について、後世の科学的な知見が得られるずっと以前に、明確な記述が載せられている。古事記や日本書記から、神武の時代は2600年前とされている。紀元前600年頃だ。和田家文書では荒覇吐王国(あらはばきおうこく)を建国した安日彦・長髄彦兄弟は大和で神武に侵略されて、東北へ逃れたとされる。亡くなった古田武彦氏は兄弟が追われたのは北部九州へ侵略して来た天照の孫であるニニギだとされていた。しかし、ニニギの時代は紀元前900年頃であり、安日彦・長髄彦兄弟は建国にあたり、中国の晋の戦乱を逃れて来た郡公子の娘たち、秀蘭・芳蘭と結婚しており、その晋の時代は紀元前7世紀である。また、荒覇吐王国の建国は紀元前649年である。東北では語り部たちが記憶と記号により歴史を伝えて来た。晋の郡公子たちが文字をも伝えた可能性もある。しかし、津軽藩初代藩主である津軽為信は荒覇吐王国の系譜である奥州安倍氏や安東氏にまつわる文書をことごとく処分した。以後は、語り部たちの間で密かに東北の歴史が伝承された。
空き家のタンポポ