釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

東北に咲く花たち

2014-04-09 19:13:11 | 自然
朝は放射冷却で3度であったが、雲が少なく晴れ渡っていた。しかし、春霞が全体に広がっていた。日中も風がなく、とても気持ちのいい春の日となった。午後には気温も17度まで上がったが、風がないのでちょうどいい気温になった。この時期は東北の素晴らしさの一つかも知れない。東北へ来て感じさせられたのは、東北と言う自然の溢れる風土には洋風の花より、古くから日本に咲いている花が似合うと言うことだ。これはある意味では当然だろう。東北の風土に適応して来たものが、現在も花を咲かせているのだ。釜石市内では、梅が一番良く咲いている。蕾が膨らんで白い花びらが見え始めた白木蓮もあちこちで見かけるようになった。しかし、辛夷(こぶし)は市街地では極めて少ない。園芸用に白木蓮はたくさん販売されているせいなのかも知れない。仙人峠を通る旧道沿いの山の中に辛夷の大きな木がある。木蓮は紫で、中国が原産であり、古くに薬用として日本に入って来た。辛夷の方は日本原産で、逆に中国にはない。東北の山間に入って行くと、もうすぐこの辛夷が木に白い花をびっしりと付けている光景を見ることが出来る。白木蓮と辛夷の関係に良く似ているのが、やはりまもなく見ることが出来る山法師と花水木だ。二つの花は良く似ていて、花びらの先が山法師は細く尖った形になっているが、花水木は丸くなっている。日本では山法師が山間で咲いて来た。日本だけでなく、朝鮮半島や中国にも分布しているが。一方、花水木は米国が原産であり、外来種になる。しかし、市街地では白木蓮同様に花水木の方が多く見られる。これもまた園芸用に販売されて来たためなのだろう。山法師が釜石の市街地で唯一咲いている所は、知る限り小佐野小学校の古い体育館前だ。昨年、偶然そのそばの道を通りかかって、花水木が咲いていると思ったのだが、日を変えて、そこへ行ってみると山法師であった。釜石へ来るまでは山法師を知らなかった。滝沢村のチャグチャグ馬コを見に行った時に、出発地の鬼越蒼前神社には人がたくさん集まって来るため、少し離れたところに特設駐車場が設けられた。その駐車場に当てられたところに花水木によく似た花が咲いていた。しかし、よく見ると、花びらの形が違っていた。後で、日本の山間に咲く花だと知った。辛夷も山法師も太古から日本の山中で咲き続けて来たのだ。来月には山野草が次々に咲いて来る。早いものはもう既に咲いているが。先日の片栗の花なども山野草だ。東北にはたくさんの山野草があることを各地の産直を訪れて知った。それらの山野草がとても綺麗だ。しかし、この素晴らしい山野草もやはり岩手の多くの人が知らない。住田町には山野草の専門店まである。住田町は地域の山野に自生する希少な山野草のカッコ花、敦盛草(あつもりそう)を保護育成している。とても可愛く綺麗な花だ。希少な花なので値段も他の山野草とは比べものにならいほど高い。逆に、産直で売られる山野草はネット上で販売されている値段より遥かに安い。驚くほどだ。職場の玄関口には洋風の花が並んでいる。近くの青葉通りなども同じだ。釜石市が整備する花壇はほとんどが洋風の良く見かける花ばかりだ。せっかく、素晴らしい東北の固有の山野草や花木がたくさんあるにもかかわらず目に付く所にはそうした花ではなく、洋風の花ばかりなのだ。地方ほど都会への憧れが強いからかも知れない。しかし、地方こそ都会には見られない地方固有の花を飾るべきだと思う。その花も地方の誇りの一つに上げられるのだから。
北上市の市街地に咲いていた辛夷

山間に咲き始めていた三ツ俣(みつまた)

近所で咲いた手鞠桜(てまりざくら)