釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

歪められた歴史

2017-03-29 19:18:57 | 歴史
日本は古来、天皇家中心の単一民族だと言われるが、いずれも歴史を顧みると違っていることが分かる。天皇家も何度か途切れており、民族的にも古代において混血民族であった。今では日本の各地に見られる天照神社の元となる天照は現在の中国の浙江省寧波の出身であり、海洋民であり、そのため海人(あま)族として日本列島の対馬に漂着し、天(あま)族と標榜するようになった。対馬には現在も阿麻氐留神社が残されている。天照は集団で対馬に来ており、対馬に並ぶ壱岐には天ヶ原の地名が残る。天の原は天上の国を指すのではなく、天照たちの本拠地である対馬、壱岐の領域を指す。その後も中国や朝鮮半島での政変により、日本列島へ逃れて来た人たちや、西アジアからも東北へやって来て、住み着いた人たちもいる。平安時代以後は統一国家への体制づくりが強まったために、こうした諸外国からの流民は少なくなっているが。明治維新で政府の都合で歴史が作られてしまった。その歴史は基本的に現在も引き継がれており、今だに政府の都合で歴史を作ることが続いている。歴史学や考古学も科学としての建前はあるものの、基本は政府の意向で作られた歴史に従っている。遺物の発掘も解釈は全てその歴史に沿った解釈だけが取り入れられている。世界は移民の問題で揺れているが、日本でもすでに年間で在留する外国人は40万人に達しようとしている。地方の都市を構成する人数だ。政府の都合で作られた歴史に拘泥し、真の日本の歴史が解明されないままに、これもまた政府の都合で天皇家一元主義と、単一民族説がまかり通る。今の先進国で、これほど自国の歴史の歪められた国は他にはない。弥生時代の遺跡が何故北部九州に集中するのか、北部九州に少し遅れて、何故、いきなり本州の最北である青森県で水田稲作遺構が発見されたのか、現在の歴史学も考古学も沈黙するばかりだ。古代山城が戦勝国の唐が日本に進駐している中で堂々と作られたとする考古学の解釈は、素人でも疑問になる。科学的編年よりも土器編年を今尚使い続けることで、政府の作り上げた歴史を維持しようとしている。日本に生まれたからには、自分がどこから来たのか、日本と言う国はどのように出来て来たのか、とても知りたい。
椿

タイトロープ

2017-03-28 19:18:57 | 経済
現在の世界経済は大きく変容して来ている。日本や欧米先進国と言われる国々は資本主義経済であり、中国は共産主義経済であるにもかかわらず、今や、実態は変わってしまった。先進諸国は本来、市場での取引により、価格が決定されるが、今では中央銀行が債券や株式を購入して、市場を支える形になり、逆に中国が自由貿易の堅持を主張する。ドイツを除く、英仏などの欧州や米国、日本は政府債務を膨らませており、紙幣の増刷で製造業の不振を金融の好況で覆い隠している。政府債務の少ないドイツも、しかし、ドイツの主要銀行であるドイツ銀行が巨大な債務を抱えている。同じく、中国も企業が巨大な債務を抱えている。製造業が衰退した米国は国内で消費するものを輸入に頼るしかなく、常に貿易赤字を抱え、輸入品の支払いに印刷されたドルを当て、ドルを受け取った輸出国は、そのドルで米国の国債を買う。この流れが維持されて来たことで、米国は国内消費を続けて来られた。印刷されたドルが再び米国へ還流されることで、ドルの価値の下落に少しでもブレーキをかけることが出来た。しかし、世界も次第にドルの希薄化、ドル価値の低下に気付き始め、貿易の決済にドル以外の通貨や金(きん)を使うようになって来ている。EUの中心国であるドイツは早くから、ドル離れをしており、中国やロシア、インドもドルから離れる姿勢を示している。一人日本のみはあくまでドルへの従属姿勢を保っている。中国が外貨準備として持っていた米国の国債を減らすと、日本が代わって、それを補っている。米国のインフラ投資へ、ゆうちょうや年金基金を差し出すことまでやってしまった。すでにそれらの資金は米国の株や債券にも投資されている。米国経済の破綻の可能性など微塵も考えていない。日本は膨大な政府債務を抱えながら、その債務を少しでも減らすどころか、むしろ増やしてばかりいる。このため、政府が発行する国債の買い手が狭まり、危うさを感じて、今や中央銀行が途方もない国債の買い入れを行なっている。日本は突出しているが、米国はじめ先進諸国も同じような状態だ。中央銀行が国債の買取をやめたり、金利が上がれば、財政破綻は避けられなくなる。綱渡りをしているのが現在の世界経済だ。
椿

不老長寿の妙薬か

2017-03-27 19:12:03 | 科学
生物は誕生して、一定期間活動すると、必ず死を迎え、世代交代をして、種を保存して来た。しかし、生物の頂点に立つ人間は古来、その死を免れることを望んで来た。不老長寿である。万里の長城を築いた紀元前3世紀の中国の秦の始皇帝は不老不死を強く願った。東国に妙薬があると言う徐福に探索に向かわせた。また、自ら妙薬と信じて、水銀を飲み、逆に命を縮めたと言われる。現代でも老化のメカニズムの解明のために、様々の研究者が取り組んでいる。そんな中で、2013年にも一度報じられたが、このほど科学ニュースサイトである「Science Daily」は遺伝子レベルで若返る可能性のある物質についての研究成果を報じている。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究チームは、傷ついたDNAを修復する薬物を開発し、すでに動物実験に成功していると言う。半年以内には人でも試験される。傷ついたDNAを修復するには「NAD+」と言う物質が重要な役割を持ち、その「NAD+」を促進する「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」と呼ばれる物質を老齢のマウスに投与したところ、わずか1週間で若いマウスの細胞と区別がつかないほどに回復した。昨年12月には、この研究成果が米国の航空宇宙局(NASA)でも高く評価された。宇宙飛行士は宇宙では何種類もの放射線を浴びるため、細胞への障害が深刻で、その防止や回復にNASAは力を入れて来た。航空機のパイロットや度々長距離の旅客機に乗る必要のある人も同じく、放射線による細胞障害が起きている。細胞の遺伝子レベルでの障害の修復は、医療面でもいくつかの病気の治療にも役立つ可能性がある。本年中に米国の二つの病院で臨床試験が開始される。その結果、問題がなければ、3〜5年以内に市販される可能性もあると言う。ただ残念ながら、市販されても、1日当たり約5万ドルと言う超高額な薬となるようで、長寿も富裕者が優先的に享受出来ることになりそうだ。しかし、こうした薬が普及すると、世界は大きく変化して行くことになるが、少子高齢化の日本では、人の若返りは、生産年齢人口の減少にブレーキをかけられる可能性は出て来るかも知れない。とは言え、これが不死をもたらす薬となるのか。あるいは、予想を超えた副作用をもたらさないか。
椿

地裁判決

2017-03-24 19:14:55 | 社会
法治国家が建前の日本は、実際にはその基礎となる三権分立が確立されていない。戦前からの官僚統制が引き継がれ、司法の独立はなく、裁判所は上級審に行くに従い、政府の方針に従属的になる。米国とはその点で大きく異なる。去る3月17日、群馬県の前橋地方裁判所は、福島第一原発事故に対して、国や東京電力の責任を厳しく問う判決を下した。判決内容は国民から見て、ごく納得させられる内容になっている。平成14年7月に政府の地震調査研究推進本部が発表した巨大地震の想定に基づき、国と東京電力は、その数か月後には巨大な津波が来ることを予測出来たとし、平成20年5月に東京電力が予想される津波の高さを試算した結果、原発の地盤を越える高さになっており、「東京電力は実際に巨大な津波の到来を予測していた」ことも指摘している。「事故の原因の1つとなった配電盤の浸水による機能の喪失を防ぐため、非常用の発電機を建屋の上の階に設けるなどの対策を行うことは容易だったのに行わなかった。原発の津波対策は、常に安全側に立った対策を取らなければならないのに、経済的な合理性を優先させたと言われてもやむをえない対応で、今回の事故の発生に関して特に非難するに値する」と述べ、具体的な対策も可能であったはずのところ、それを怠ったことも明確にしている。国についても「東京電力に津波の対策を講じるよう命令する権限があり、事故を防ぐことは可能だった。事故の前から、東京電力の自発的な対応を期待することは難しいことも分かっていたと言え、国の対応は著しく合理性を欠く」と、国の責任を明らかに指摘している。私企業である東京電力の利益と国策の原発推進を図る経済産業省の思惑が、安全性を軽視した結果が福島第一原発事故である。このことは国民の目から見れば当然である。まして、直接被害を受けた福島の人たちには許すことの出来ない両者の怠慢と感じられているだろう。昨日には、日本海側でも平安時代後期に高さ30mを超える巨大津波が起きていた可能性を示す痕跡が見つかったことが、報じられている。その日本海側の若狭湾には原発銀座と称されるほどに原発がたくさん立ち並んでいる。事故直後には、原発ゼロの機運が高まったが、時が経つに従い、再び原発推進が勢いを盛り返している。電力会社も国も何ら反省が見られない。残念ながら「画期的」とか「衝撃」などとまで表現されるざるを得ない今回の判決も上級審ではまた覆されて行くのだろう。
椿

日本の科学研究の失速

2017-03-23 19:18:19 | 社会
日本の産業は今や政府に保護された産業が主流となり、将来の経済の柱となる産業が見えて来ない。1台につき200万円もの政府補助がつくハイブリットカーの生産と円安による利益誘導で成り立つ自動車産業や開発費の削減で新興国に後塵を拝するようになった家電産業では今後の日本の産業を維持することは出来ない。国立大学は2004年から独立行政法人となり、研究者は短期雇用者が増加して行った。予算を削減されたため、人件費を削減せざるを得なくなる。2000年代に入り、国は教育・研究予算を大きく削減するようになった。若者の理系離れも相まって、科学研究は後退して行った。英国科学誌NATUREは特集で日本の科学研究の失速を伝えている。世界のハイレベルな68の科学雑誌に掲載された日本の論文の割合は、2012年から2016年までの5年間で9.2%から8.6%に減少し、オランダの出版社が集計した、世界のおよそ2万2000の科学雑誌に掲載された論文の総数は、2005年から2015年にかけての10年間で、世界全体では80%増加したのに対して、日本の増加は14%にとどまり、日本は世界全体の伸びを大幅に下回った。ドイツや中国、韓国などは研究開発への支出を増やしているが、日本は逆に削減した。かっては日本も米国への留学生数ではトップであったが、2000年代には次第に減少し、1997年に4万7073人いた留学生は2015年には1万9060人までになり、9位まで落ち込んでいる。中国やインド、サウジアラビア、韓国などよりも少ない。中国は1998年に1位になってからは増加を続け、昨年はついに32万8547人となり、留学生全体の31.5%を占めている。一説では軍事技術ではすでに米国を追い越しているとも言われる。IMFは2030年までにGDPで米中は逆転し、2025年前後に日本はインド・ASEAN に追い越されると予想している。産業の発展は大学などの基礎的研究にかかっている。少子高齢化で、仕事に従事する生産年齢人口が確実に減って行く日本で、科学研究すら後退している。産業の発展のための前提条件が失われて行っている。その上、国家債務まで年々増加しているのだ。小手先だけの目先の現実にとらわれ、将来を見据えた対策は何も取られてはいない。もはや日本の財政破綻は避けられない。ただいつそれが起きるかだけだ。その時、日本が再生するための基盤すらない。
大船渡市碁石海岸


冬の暖房

2017-03-22 19:13:11 | 文化
もう春の到来を告げる陽気になって来たが、この冬は暖房について色々考えさせられた。職場が用意してくれた新居はオール電化で、暖房も深夜電力を利用した電気暖房だ。おかげで四六時中暖かい。石油ストーブとは異なり、部屋の空気も変に乾燥していない。しかし、あくまで電力に頼ったもので、震災直後のように電力が断たれると、機能しなくなる。電力はやはりソーラー技術のさらなる開発で、1軒の使用電力の全てを賄えるような状態になって欲しい。風呂や給湯もやはり夜間電力を使っているが、これらも電力が断たれると、同じく機能しなくなる。現在、世界でもまだ石油や天然ガスといった化石燃料を使った火力発電が主流だが、この火力発電の発電効率は平均で50%程度とされる。それに対して、ソーラー発電は20%前後に留まり、太陽エネルギーを十分に生かし切れていない。新エネルギー・産業技術総合開発機構の太陽光発電ロードマップでは、2020年までに25%の発電効率実現を目指すとしており、液晶パネルで失敗したシャープでは、変換効率30%を超える太陽光パネルの開発がすでに研究段階で達成されていると言う。さらに、現在はまだ半導体を使ったソーラーパネルが主流だが、量子を用いたパネルの研究も行われており、発電効率が40%に達するソーラーパネルの実現も視野に入って来てるようだ。太陽エネルーギーを電気に変換するパネルや、変換された電気を伝え、蓄えるコードや蓄電器などの効率化も進められれば、10年くらいで、安価で効率の良いソーラーパネルを使った家庭用電力が実用化される可能性もあるだろう。その一方で、暖房では、震災時に味わった薪ストーブの暖かさも忘れられない。薪ストーブもやはり、空気が必要以上に乾燥することがない。輻射熱によって空間が温められる。薪を燃やし始めて、部屋が暖められるまでに時間を要するが、一度暖められると、長く暖かさが保たれる。薪を準備すると言う手間がかかるが、人間が暖をとる最も原始的で、かつ人間が長く接して来た暖房手段にも近い。薪ストーブは利用者が少ないために、コスト的には決して安くはない。しかし、改良されたいくつかの薪ストーブも作られているようだ。暖房に関しては、環境に優しいソーラーパネルよりも、薪ストーブに惹かれる。夜間電力による電気暖房は便利だが、存在感がなさ過ぎるように思う。
紅梅

世界経済の崩壊の時

2017-03-21 19:19:41 | 経済
休日の晴天とは打って変わり、今日は朝から曇りがちで、小雨が降った。職場の裏山では今朝も2匹のリスの姿を見ることが出来た。甲子川ではもう白鳥の姿は見られない。この時期になると、内陸の仲間とともに北に飛び立って行ったのだろう。人間の世界で何があろうと、自然界は決まった経過を辿る。福寿草が咲き、梅が咲く。来月には桜も咲いてくる。 2007年に米国のサブプライムローン破綻に始まった2008年のリーマンショック以来、破綻しかけた金融機関を救済するために米国の中央銀行であるFRBは金融緩和と称する、ドル札の大量発行を行い、同じく負債を抱える金融機関のあるEUや日本にも金融緩和を求めた。そのため、ユーロや円も大量に印刷される。現実の製造業現場は需要不足で、新規投資は少なく、余剰の紙幣は株や金融商品に向かい、バブルを膨らませている。さらに日本では政権の支持率を保つため、景気の良さを演出する必要があり、年金やゆうちょまで内外の株式や債券などへの投資に無理やり注ぎ込んでいる。今や先進国も新興国もともに政府債務を膨らませ、日本では国債の暴落を避けるために、中央銀行がその国債を買取らねばならないまでに追い込まれてしまった。財政規律を無くした現政権は不祥事のたびに公文書を失っているとして、証拠隠滅に必死になる有様だ。戦後、米国を宗主国として、従って来た日本はひたすら米国の言われるままに行動し、翳りを見せている米国と一蓮托生となっている。同じ、敗戦国であるドイツとは明らかに違う。ドイツは米国の国債の購入を止めている。米国との姿勢の違いもはっきりと見せている。製造業の衰退した米国は他国からの輸入に頼らざるを得ない。輸入の支払いには無限に印刷出来るドルが使われる必要がある。そのためには何としてもドル高を維持しなければならない。支払ったドルが米国への投資と言う形で還流される必要がある。また、米国の国債も国内では消費しきれないため、日本や中国に購入してもらわざるを得ない。中国敵視は軍備強化のための見せかけであり、経済的には中国に頼らざるを得ない。その事情は基本的には日本も同様だ。中国貿易を失えば、日本の製造業は成り立たない。裏付けのない紙幣を無限に印刷する経済は、いずれ終焉を迎えざるを得ない。しかし、その終焉はあまりに膨らみ過ぎた経済規模のため、1929年に始まった世界恐慌をはるかに上回るものになるかも知れない。
白梅

中国の晋の内乱の時代

2017-03-17 19:11:33 | 歴史
今朝も広く青空が広がり、放射冷却で水たまりは凍っていた。しかし、昼前から空を雲が多く流れるようになり、日射しが遮られることが多くなった。ようやく午後も遅くなって来て、再び日射しが戻って来た。昼休みに職場の近所を歩くと、やはり、いつもの空き家の庭先で福寿草が咲いていた。そこから少し山に向かう道を進むと、八幡神社があり、その側の梅も咲き始めて来ていた。白梅と枝垂れ紅梅が見られる。 昭和62年に津軽書房から出版された山上笙介編『總輯東日流六郡誌』の「荒覇吐王国之建国」では安日彦、長髄彦兄弟をそれぞれ王、副王として荒覇吐王国が兼ごくされたのが、唐土東周の恵王甲午二十五年とあり、西暦では紀元前649年となっている。安日彦、長髄彦兄弟は難を逃れて津軽に漂着した中国晋の群公子の娘、秀蘭・芳蘭姉妹をそれぞれ娶った。以前、当ブログでは中国晋の群公子が津軽に漂着する原因となったと考えられる「驪姫の乱」を紀元前672年としたが、荒覇吐王国の建国の紀元前649年とは少し離れているため、今一度調べてみた。その結果、「驪姫の乱」は紀元前656年であった。晋では驪姫の乱の後も、国は内乱が絶えず、太子以外の公子たちは国内に留まることを許されなかった。驪姫を寵愛し過ぎた献公の妃たちは、それぞれ子がいたが、後に文公となる公子以外は非業の死を遂げている。文公の即位は紀元前636年であった。従って、晋では「驪姫の乱」のあった紀元前656年から、文公が即位する紀元前636年までは国が乱れ、公子たちは国外へ逃れた。津軽へ漂着した群公子がどの妃の子たちであるかは定かではないが、『總輯東日流六郡誌』に記された内容が歴史的事実に裏付けられる。『總輯東日流六郡誌』などの元となった和田家文書の多くは東北の語り部たちに受け継がれて来た伝承であるが、語り部には文字はなかったが、記号のような独特の印があり、それが長く伝承され、貴重な歴史が伝わって来ていた。晋の時代には、すでに中国では広く稲作が行われるようになっており、その稲作が漂着した群公子によって津軽にもたらされた。東北地方最古の稲作遺構は弘前市の砂沢遺跡から見出されており、砂沢遺跡の年代測定2530±45年前とは100年程度の差があるだけである。今後も青森県近辺からさらに古い稲作遺構が発掘される可能性もあるだろう。現在の考古学は何故東日本最古の稲作遺跡が本州最北端で見出されたか、解明しきれていない。弥生文化が北部九州で花開き、近畿王朝が唯一とされる史観からはとうてい解明されることはないだろう。勝者の歴史でしかない正史ではなく、発掘から得られた事実から歴史を再構築しなければ、真の日本の歴史は見出せないだろう。
福寿草

巨額な事故処理費用

2017-03-16 19:12:25 | 社会
曇天が続いたここ2〜3日だが、今日は久しぶりに青空が広がった。家の近所では梅が開いて来ていた。同じ3月でも震災の時よりも暖かく感じる。食べ物と暖房がないと、体感温度も違ってくるのかも知れない。今朝の甲子川では白鳥の姿がなかった。もう北へ向かって飛び立って行ったのだろうか。日射しを浴び、風がないと、本当にもう春だと感じられる。ようやく東北の長い冬も終わって来たのだ。 今月7日、どちらかと言うと、政府寄りのシンクタンクである日本経済研究センターが「2050年への構想」の中で、「エネルギー・環境選択の未来・番外編 福島第一原発事故の国民負担」と題し、「事故処理費用は50兆~70兆円になる恐れ-負担増なら東電の法的整理の検討を、-原発維持の根拠、透明性高い説明を 」と言う論文を載せた。昨年12月9日、経済産業省は東京電力福島第一原発の事故処理にかかる総費用が22兆円になると発表した。事故処理費用は事故の翌年には6兆円としていたが、その2年後には11兆円と訂正し、昨年はさらにその2倍と変更して来た。変更しただけではなく、その一部を電気料金に上乗せして、国民負担とした。日本経済研究センターは経済産業省の甘い試算を指摘した上で、独自に試算すると50兆円ないし70兆円を要すると結論付けている。この20兆円の差は「汚染水100万トン程度に分含まれるトリチウムを取り除く」費用で、「トリチウム水を希釈して海洋放出」した場合は20兆円は必要としない。経済産業省の試算は、1979年のスリーマイル原発事故を参考に試算しているが、福島第一原発事故はスリーマイル島原発事故をはるかに凌ぐ。溶融した核燃料はスリーマイルでは原子炉圧力容器の底で止まったが、福島第一では原子炉容器には止まっていない。この論文ではさらに、「経済面でいえば、本来であれば、東京電力の法的責任を明らかにし、資産の清算を行ったうえで、消費者・国民の負担を問うべきであろう」と、「法的整理をすれば、賠償主体がなくなる」と言う国の曖昧な姿勢を批判している。国民負担については「(閣議決定という)政府の一存で可能な仕組みになっている」として、安易に「国民負担を増額させることになるのではないか」とまで言及している。昨年の消費税収予想は17.2兆円である。それを考えれば、事故処理費用がいかに多額になるか分かるだろう。東京電力は私企業である。私企業がこれだけの負担を負えば倒産しているはずである。私企業である東京電力を倒産整理させないまま、国民負担を増やすことに政府系シンクタンクですら批判的である。論文では高速増殖炉についても、「商業的な見通しも見えない」状況で、「多額の資金をつぎ込む余裕はないはず」とやはり政府の核燃料サイクルにしがみつく姿勢を批判している。今だに甚大な被害をもたらす放射性物質を抱え、途方も無い経済負担を要し、廃炉作業の工程すら見えない。決算を延期しなければならない状態に追い込まれている東芝に作業用ロボットの開発を任せてもいる。世界が原発から距離を置こうとする中で、日本だけが無理やり原発を推し進め、それに関わる企業が大きな負債を抱えても政府が国民負担で保護しようとする。
ウミネコ

家にいた犬たち

2017-03-15 19:19:28 | 文化
子供の頃、父親が犬が好きで、日本犬を何頭か飼っていた。犬の檻も父親が日曜大工で自分で作っていた。一時期は迷い込んだ猫も一緒に飼っていて、凛々しい雄猫は犬より強く、犬の方が遠慮していた。いつも犬や猫がいることに感覚的に慣れていたせいか、兄や妹もやはり家庭を持ってから、犬や猫を飼っていた。小学生の頃、父親がある日、成犬のジャーマン・シェパードを連れ帰って来た。大きい犬に恐れをなしたが、その雄姿には感動した。結局は家では面倒を見きれないと、手放された。しかし、この時の記憶がずっと残り、その後、自分でも家庭を持ってから、ジャーマン・シェパードを都合3頭飼った。1頭は北海道の訓練チャンピオンになった。警察犬としても登録したので、事件で犬を連れて、何度か出動したこともある。この犬は親の血統は決して優秀ではなかったが、シャパードに詳しい方が子犬の様子を見て、勧めて下さった犬だった。訓練では防護具を付けた人の腕に噛み付いて、噛んだままムチで叩かれても、指示を出すまでは絶対に放さなかった。犬の訓練にも人間並みの小学から大学、大学院に相当するような訓練の段階があることを知った。飼主であってもこの犬にはどこか恐れを感じることがあるほどだった。とても迫力を感じさせられた。子犬の時にはまるで熊の子供のようで、周りからもよく可愛がられていたが。残念ながらこの犬は8歳を前にして、病気で亡くなった。次に飼ったシェパードは警察犬として登録しなければならないことを考えて、途中で訓練を止めてしまった。この犬も2年前に老衰で亡くなり、現在はベルジアン・タービュレン、通常、ベルギー・シェパードと言われる犬がいる。しかし、今年に入り、いよいよ老境のために、かなり弱って来ている。今年の9月で15歳になるので、何とか誕生日を迎えさせてやりたいが、大型犬なので、なかなか厳しいのかも知れない。犬が好きであっても、やはり動物なので、手を抜くことは出来ない。自分の年齢を考えると今の犬が最後の犬になるのだろう。特に、大型犬はそれなりの運動量が必要だ。旅行の時には大船渡にあった訓練所に預かってもらっていたが、その訓練所も震災後に閉じてしまった。
12歳の頃のベルジアン・タービュレン