釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

特異な釜石の気候

2014-04-19 19:17:13 | 自然
今朝は4度であったが、その後もあまり気温が上がらず、雲も多く流れて、昼前後に一時青空も見えていたが、再び雲が多く流れて、空を覆うようになった。日中の最高気温も7度までしか上がらず、寒い日となり、ストーブを入れざるを得なくなった。強めの風が吹かないだけまだいいのかもしれない。この時期からは釜石より内陸の方が気温が高くなる。冬は釜石の方が高く、春からは内陸が高くなるのだ。ほぼ満開になって来た桜も、今日のような気温だとかえって咲く期間が若干延びるのかもしれない。さすがに寒いので、今日は桜を見に出かける気にはなれなかった。午後3時近くにはまた汽笛を鳴らしてSLがやって来た。当分は座席の予約が取れないようだ。 東北でも釜石などの沿岸部は気候的にやや特異な地域であるようだ。関東以南や北海道に住んでみて、釜石へやって来ると、ほんとうの自然の豊かさがあることに驚かされた。北海道は自然が豊かであるように思っていたが、予想に反して、意外に思ったほど豊かには思えなかった。大地は確かに広大だが、動植物の種類は東北に比べるとずっと少ない。魚介類も意外と限られていて、何年か住んでいるうちに飽きて来た。これはやはり冬の気温が余りにも厳しいためではないかと思う。冬の厳しい気温がそれに耐えられる植物や動物たちを限られたものにしてしまっているように思う。東北は北海道ほどの冬の気温の厳しさはなく、夏も関東以南ほど気温が上がらない。寒さも暑さも程よい位置にある。さらに釜石はその東北の中でも冬は内陸より暖かく、夏も内陸より涼しい。つまり釜石のような沿岸部は年間を通しての気温差が少ないと言うことになる。これが植物の植生に極めて良い影響を与えているのではないかと思われる。花が長く咲く理由もそこにあるのだろうと思う。植生が豊かであるために、植物の葉や果実を食物とする動物たちも多くなる。鳥類も同じだろう。花巻出身の職場の同僚の話では子供の頃お祖母さんが木蓮が咲くのは仙台までだと言っていたそうだ。しかし、今や、釜石ではこの時期になると、コブシよりモクレンの方が多く見られる。コブシはもともと日本の山に咲いていたもので、モクレンは中国が原産だ。園芸用にモクレンが販売されているために、かえって、モクレンの方が個人で入手しやすいのだろう。それでもそのモクレンが釜石で咲くと言うことは、やはり、同僚の子供の頃よりも現在の方が温暖になっているからなのだろう。鹿や猪などの北限も少しずつ北上していると聞く。昨日、大阪から釜石に嫁いで来られて、もう長く釜石に住んでおられる90歳に近い識者の方とお話したが、この方もやはり釜石のこうした動植物の在り方をご存知なかった。釜石で生まれ育った人たちも多くがそのことを知らない。釜石の風土が当たり前のような形で思われているため、気付かないのだ。釜石で驚くのはこうした気候に海流が関係していることだ。暖流と寒流がともに流れ込み、さらには海岸地形がリアス式であるため、とても豊かな漁場を本来形作っていることだ。その結果、暖流と寒流の両方の魚介類が口に出来る。海も山もこれほど豊かなところは知らない。東北でも釜石は、従って、とても素晴らしい自然に恵まれた街なのだ。山野草や花木を鉢植えで購入して、水をやる程度のことしかしなくても、毎年、自然に芽を出して花を咲かせてくれる。それもまた、釜石の気候の恩恵なのだろう。岩手県は北海道に次ぐ広さを持つ県なので、同じ岩手であっても、釜石とは年間の気温がずいぶん違うところもある。特に、遠野のように盆地になっているところでは冬寒く、夏は暑い。暑いと言ってもそこは東北なので、関東以南の暑さにまではならない。むろん、一時的にはかなり高い気温になり、関東以南と同じぐらいになることもあるようだが。寒さの点でも、北海道と同じぐらいの気温の低さになるところも一時的にはある。そんないくつかの気候パターンの地域をもつ岩手だが、やはりそんな中で釜石は動植物に最も適した地域のようだ。
今も咲いている杏の花

仙台枝垂れ桜

普賢象

八重の桃の花

椿

日本古来のすみれ