釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

古い釜石の鉄の歴史

2014-11-30 19:12:17 | 歴史
今日は朝から予報通り曇天の一日で、夕方にはわずかに雨も落ちていた。庭の最後の紅葉もかなり葉が落ちて来た。まだ綺麗な葉がたくさん地面には散っている。花はこの時期になるとほとんど菊の種類くらいしか見かけず、冬の花の山茶花があちこちで見られるようになった。庭では唯一大文字草が終わりかけている。紫陽花も萎れた花がそのまま残っており、いずれは枯れて落ちてしまうのだろう。 和田家資料の『奥州風土記』に「採鉱鋳造史抄」がある。冒頭に「金銀銅なる鉱石に脈せるは羽州に多けれど鉄鉱脈少なし。鉄鉱石の多きは陸州に多く、日高見河を東西に区を分って、太古より鉱師その掘術を営めり。」とある。また「亦、鉄にては砂鉄を得て鋳せるも、質よきは閉伊なる仙人峠なる産鉄ぞ秀なり。古来より安部氏をして一族挙げて鉱探し、その成果を得たるは山靼帰化人にて技を伝授得たるものなり。」として、山に「タダラ」を設けた要処が流鬼国、千島国、日高渡島国、日乃本五十三郡の順にそれぞれ要処を詳述している。日乃本では仙人峠と並んで釜石の名が挙げられている。釜石には「鉄の歴史館」が造られているが、釜石市の説明では釜石の鉄の歴史は1727年(享保12)年盛岡藩の阿部友之進が釜石の大橋地区で磁鉄鉱を発見したことから始められている。次いで、水戸藩の要請で反射炉の操業に成功した大島高任が1857(安政4)年、南部藩の許可を得て、釜石に洋式高炉を築造したことが記されている。2011年の大震災で岩手県は沿岸部で多大な被害を受けたが、今、その復興のために沿岸部を南北に走る自動車道の建設が急がれており、その工事の際にたくさんの遺跡が発見された。自動車道は海岸に迫る山の中腹を貫く形で建設されており、そうした比較的高い位置に遺跡が発掘されている。縄文や弥生時代の遺跡が多いが、そうした時代の人々がすでに津波を恐れて、高台に住んでいたと言うことなのだろう。古墳時代の遺跡も出ており、鉄製の刀や兜も見られる。和田家文書にあるように仙人峠を含めた現在の釜石は江戸時代末期よりずっと以前から製鉄の歴史があったのだ。しかし、正史に載らない歴史は歴史として見做されない。敗者である奥州安部氏の歴史はまったく無視されてしまっている。現首相はまさにその奥州安部氏の末裔だ。官僚に振り回されて日本をさらに深刻な事態に追いやっている。よほど祖先の歴史を蘇らせる責務の方があるように思うが。いずれにせよ、釜石に限らず、東北は自分たちの歴史をもう少し掘り起こして欲しいものだ。
残った庭の紅葉

雨の一日

2014-11-29 19:13:26 | 自然
今朝から小雨が1日降り続いて、気温も朝は12度で最高気温も13度とほとんど日中の気温差がなかった。市街地周辺の山々には霧が流れて、朝はわずか100mにも満たない山が霧で峰が隠れていた。岩手では雨が降るとそうして山にしばしば霧が流れる。まるで深山幽谷に立ち入ったような錯覚すらすることがある。ほんとうにそうした風景は感動を覚えてしまう。しかし、この時期の雨は最後の紅葉を散らせてしまう。我が家の3本目の紅葉も今日はかなり葉を散らせてしまった。紅葉の木の下は落ちた紅葉の葉で埋め尽くされてしまった。予報では明日は曇天になるようで、休みの間は残念ながら日を浴びた八幡神社の紅葉は見られそうにない。
雨で落ちてしまった紅葉

日本付近の地殻変動

2014-11-28 19:16:11 | 自然
今朝も放射冷却で車の窓ガラスが氷結していた。それだけに午前中は久しぶりの釜石ブルーが広がった。しかし、午後には次第に空には雲も流れるようになり、青空が隠されるところが出て来た。昼休みにはまた八幡神社へ行ったが、日射しを浴びた紅葉はほんとうに見事なものだ。これだけの紅葉が見向きもされないことが不思議なくらいだ。これこそライトアップでもすればとても綺麗だろう。釜石のとても大切な木だと思うが、地元の人に関心がないのが残念だ。 3日前の25日から阿蘇山の中岳の噴火が続いている。溶岩が固まってできた噴出物があるため、福岡管区気象台はマグマ噴火と見ており、今後1年近く噴火が続く可能性もあるとしている。噴煙は1500mまで達し、40Km離れたところでも火山灰が確認されている。中岳の噴火は東日本大震災の直後にも起きており、翌年も小噴火を起こしている。東日本大震災では太平洋プレートが大きく動いた。阿蘇山は間にフィリピン海プレートを挟んだユーラシアプレートの上に載るが、そのユーラシアプレートも当然影響を受けている。阿蘇山は過去30万年間に起きた4回の破局噴火によって形成された。特に4回目の8万7000年前の破局噴火は日本では最大の噴火で、その時の火砕流は鹿児島県を除く九州全県と山口県に達し、火山灰は遠く北海道東部でも10cmも積もっている。火砕流は1991年の雲仙普賢岳の噴火の100万倍の規模であった。この時に出来た阿蘇山中心部の窪地であるカルデラは南北が25Km、東西が18Kmにもなり、北海道の屈斜路湖に次ぐ日本で二番目の大きさのカルデラである。かってはそこに水が溜まり、屈斜路湖同様の湖であった。巨大なカルデラの中には今回噴火した中岳の他にも10箇所以上の小噴火による小さな火山がある。日本では過去12万年間に13回のカルデラを形成するような破局噴火が起きている。九州近辺が6回、北海道が5回、十和田湖が2回である。一番現在に近いところでは7300年前の鹿児島県沖の鬼界アカホヤ破局噴火で、阿蘇山の4回目の日本最大の破局噴火に近い規模であった。十和田湖では3万年前と1万5000年前に起きている。日本での破局噴火は1万年に2~3回の頻度で起きている。単純に数値だけで見れば、少なくとも5000年に一度は起きていることになり、最後の破局噴火が7300年前であるから数値的には破局噴火はいつ起きてもおかしくない。日本ではここ30年ほどで有珠山、雲仙普賢岳、三宅島、東日本大震災や阪神淡路大震災、御嶽山などの大地震や噴火が続いてる。先日の長野県神城断層地震を含めて、こうした地震や噴火は日本付近の地下で地殻の大きな変動が起きていることを示している。破局噴火に至らずとも、富士山の噴火や南海トラフ起源の地震など日本に大きな打撃を加える異変は十分起こり得るだろう。
八幡神社前の紅葉

すばらしい紅葉だ

小動物も沢山いる岩手

2014-11-27 19:15:43 | 自然
今朝は昨日に続いてまだ小雨が降っていたが、午前中のうちに青空が広がり、昼休みには日射しの中で、八幡神社前の紅葉の大樹のところへ行ってみた。誰も見かけないところで、この大樹は今年も見事な紅葉を見せてくれた。残念ながら、見ている途中から雲がたくさん流れて来て、日射しを遮ってしまった。しかし、ここでは来月初めまで毎日、岩手では今年最後のすばらしい紅葉を見せてくれるだろう。 岩手は自然の豊かさに溢れているが、それは動植物の豊かさからも十分感じられる。と同時に身近なところでは昆虫類も多く、夏には庭には必ず何箇所かでジョロウグモが巣を張るのを見かける。時とともに大きくなり、近くにはずっと小さい雄も見かけるようになる。生まれ育った四国では家の中を這うジョロウグモよりさらに大きいアシダカグモを見かけた。ジョロウグモのような鮮やかな色ではなく、むしろ燻んだ色で、見つけると追い立てて、殺したりもした。見るからに好感が持てないこともあってだろうが。そのアシダカグモは岩手ではまったく見かけたことがない。調べてみると、アシダカグモはもともとインド原産で、熱帯や亜熱帯に棲むもののようだ。日本へは外来種として入って来ており、1878年に長崎県で初めて報告されたと言う。岩手では見かけないはずで、日本では福島県以南にしか生息していないようだ。アシダカグモは見かけとは異なり、ゴキブリなどの害虫を捕食してくれる益虫なのだ。ジョロウグモの方は北海道には生息していないようだ。クモ類は本来は熱帯で生まれたものだろう。今年も夏頃から巣を張ったジョロウグモも今は姿を消した。ジョロウグモの寿命は1年らしい。冬を卵で過ごして、春に生まれ、虫がたくさん飛ぶ夏にそれらを捕食するために巣を張る。雨に濡れたジョロウグモの張った網は水滴がたくさん付いて、それらが輝いてイルミネーションのように見える。ジョロウグモの張る網の数を見ても、いかにたくさん虫がいるかが分かる。ジョロウグモだけでなく、小昆虫類は野鳥たちの栄養源でもある。野鳥が多く見られるのもそのたくさんいる昆虫類のおかげなのだろう。
燃え上がるような八幡神社前の紅葉

しばらくはこの紅葉の大樹が目を楽しませてくれる

冬も内陸より暖かい釜石

2014-11-26 19:16:50 | 自然
今朝は4度ほどで、午前中は概ね曇天が続いたが、午後には小雨が降り続いている。最高気温も9度までしか上がらず、少し寒い日となった。庭の紅葉も雨でかなり散って来た。庭や紅葉のすぐ近くの塀の外の路面にもまだ綺麗な色の葉がたくさん落ちている。通勤路の裏道を通ると、家によってはまだ葉のたくさん付いた紅葉が雨に濡れて、色濃く見える。今日はいよいよ本格的な冬を控えて、タイヤを冬のタイヤに替えた。釜石市内を走るにはまだ早いが、市外へ出るにはもう替えておかないと、危険なところも出てくる。職場の人からの話だと、早朝、種山高原よりもかえって住田町を走っている時の方が路面が凍っていたようだ。毎年冬を迎えるたびに釜石はありがたく思う。同じ岩手県でも沿岸部の釜石は暖流が南から流れて来るために内陸のように気温が下がらず、雪も積もりにくい。海岸近くの山に夕方カラスが帰って行くのも、おそらく、海岸近くが暖かく、本能的に、その近くの山に巣を作っているからだろう。
まだ綺麗な葉がたくさん落ちてしまった

フォッサマグナ中央地溝帯

2014-11-25 19:12:42 | 科学
今朝は曇天でもあったためか、気温は8度になっていた。日中も10度ほどしか上がらなかったので、気温差があまりなかった。釜石市街地の南の山はかなり葉が落ちているが、よく見ると北側の山は南ほどは落ちていない。やはり風の強さが違うのだろう。甲子川には少し渡りの水鳥たちが来ているようだ。紅葉が終わると、渡り鳥たちに関心が移っていく。 2000万年前に日本列島は二つの島として、ユーラシア大陸から離れた。そして、200万年前頃からこの二つの島が繋がった。その境が130年ほど前にハインリッヒ・エドムント・ナウマンHeinrich Edmund Naumannに命名されたフォッサマグナFossa Magna、中央地溝帯と呼ばれる帯状の地帯だ。その帯状の地帯の西の端は糸魚川静岡構造線と呼ばれ、東は新発田小出構造線及び柏崎千葉構造線とされる。富士山や東京がすっぽりその中に含まれている。西端の全長150Kmに及ぶ糸魚川静岡構造線は複数の断層帯から成っており、北部の神城断層、松本盆地東縁断層、中部の牛伏寺断層、諏訪断層群、岡谷断層群、釜無山断層群、南部の白州断層、下円井断層、市之瀬断層群の3つの断層帯で構成されている。今回の長野県北部の地震はこの糸魚川静岡構造線に沿った北部の神城(かみしろ)断層で起きている。この断層はNHKでも報じられらように1200年前に100Kmに渡り断層がずれて、M8の巨大内陸地震を起こしている。海洋生態学研究者の辻環境文化研究所長である辻維周(まさちか)氏は今年4月時点で、地震予知につながる海洋生物と言われるユウレイイカ、リュウグウノツカイ、サケガシラ、カグラザメなどが1月から日本海、太平洋、南・東シナ海沿岸に大量浮上しており、過去に例を見ない現象であり、特にフォッサマグナに接した日本海側の佐渡や富山湾などで、続々とダイオウイカが浮上している現象は、この地域での異変の前兆を示しているとされていた。同じく、これまでいくつかの地震や火山噴火を独自の方法で予想してきた木村政昭琉球大学名誉教授もすでに春の時点で、伊豆諸島方面から本州の中心部へ潜り込む“フィリピン海プレート”の運動と九州有明海~四国~紀伊半島~愛知~フォッサマグナを横切って九十九里方面へ抜ける大活断層“中央構造線”の運動、そして四国~淡路~琵琶湖~富山湾~佐渡方面へ抜ける“日本列島断層”の運動の3つの運動が2011年の大地震をきっかけに足並みをそろえて強まり、フォッサマグナ地域に影響を与え始めていると述べておられる。特にフィリピン海プレート運動の活発化は、小笠原海域の海底地震と火山活動を見ても一目瞭然だと言われておられる。フォッサマグナには新潟焼山、妙高山、浅間山、八ヶ岳、富士山などの活火山が含まれ、立川断層などの首都圏を含む多くの断層が走っている。プレートの運動で結合された二つの島で構成された日本列島は、その結合部であるフォッサマグナと言う東京や富士山をも含む帯状の地帯が一番脆弱であるとも言えるだろう。
庭の紅葉

『美しい国へ』

2014-11-24 19:27:07 | 社会
今朝は気温は2度ほどで、よく晴れてくれたが、風が昨日より少しあり、木々の葉がかなり散ってしまった。家のすぐ近くの山も植林された杉林を除くと、9割の木で葉が散ってしまっている。職場近くの甲子川で今シーズン初めて、鮭の背びれが川面に見えた。川下の柵状の鮭の遡上を防止するところをかいくぐって上って来た鮭だ。川の水も今は少なくなって来ているので、鮭も背びれを水面から出して、上っていたのだろう。長野県神城断層地震は今朝も震度4の余震があったようだ。全半壊住宅は150棟にもなる。余震でさらに被害が出る可能性がある。日本列島は世界でも稀なプレートの集中が見られるところなので、地震や火山噴火は一番警戒しなければならない。ある意味では世界でも一番危険な地帯なのだ。そこにさらに危険な原発がいたるとこに配置されている。一度は運転を取りやめたものの今またそれを稼働させようとしている。首相の目指す『美しい国へ』はこんな国のことだったのだろうか。
庭の紅葉

長野県北部地震

2014-11-23 19:16:58 | 自然
今朝まで雨が降ったせいで朝は9度になっていた。午前中から青空が広がり晴れた日になってくれた。しかし、最高気温は昨日ほどは上がらず、13度までだった。昨夜は長野県北部でM6.8の内陸地震があったが、被害が出ている。政府は自衛隊を派遣したようだ。18日にはすでにこの長野県北部で3回小地震が起きており、以後昨日まで数回余震らしきものが発生している。本震の後も今日もかなりの回数の余震が続いている。本震では岩手県の内陸部は揺れがあったようだ。釜石はほとんど揺れを感じなかったが。気象庁は山津波の警報も出している。今回の震源は糸魚川―静岡構造線に近く、東日本大震災の地震エネルギーが内陸にも大きく影響を与えた結果だろう。もともと日本列島の成り立ちはこの糸魚川―静岡構造線で東西に二つに分かれていた島がここで繋がったもので、ここには巨大な断層が走っている。今回の震源からは直線で200Km以内に富士山がある。この地震は富士山の地下のマグマにも影響を与えている可能性がある。いずれにしても、まだまだ日本列島は地震や噴火が続いて行くだろう。
庭の落葉

気温が上がった日

2014-11-22 19:20:02 | 自然
今朝は昨日より気温が高く6度で、日中も良く晴れて、気温は最近になく上がって、18度にもなった。風も穏やかで、とても気持ちのいい日であった。ただ今年は市街地近くの山々の紅葉が風や雨のために綺麗に揃わなかった。今、山裾では部分的に紅葉が残るが例年のような見事な紅葉風景は見られない。一部はもうすでに落葉して木だけが残る。晴れた空には時々筋雲が流れ、愛染山を1日はっきりと見ることが出来た。その左横にはなだらかな五葉山の稜線も見えていた。肉眼で見る限りは愛染山の先日見えた雪はひとまず消えたようだ。職場近くの甲子川の河川敷に1頭の鹿が出ていて、そのそばに若い男性が近づいて写メを撮っていた。緊張しているのか鹿は逃げもせず、かなり近づいていた。川にはもう鮭も入っているはずだが、まだ川の流れの中にはその姿が見られていない。しばらく前から毎年家の前に精魂込めて育てた菊を並べておられる元校長先生のお宅の前に菊が並んでいる。大輪の菊は以前に比べて少なくなったようだ。離れたところから見ると八幡神社前の紅葉の大樹も一層紅味を増して来たようだ。
庭の紅葉

これからさらに染まる葉もある

日本の国債の暴落の予兆

2014-11-21 19:20:30 | 経済
今朝も放射冷却で冷え込み、1度になっていた。空は晴れ渡り、釜石ブルーが大きく広がった。日中も13度まで上がって、風もなく、とても気持ちが良かった。駅近くの公園を歩いていると、まだ紅葉が残っていて、日射しを浴びてとても綺麗な色合いを見せてくれた。空には一部に秋の筋雲が流れ、冬を真近にしたとてもいい秋日和を感じさせてくれた。 衆議院が本日解散された。来月14日に選挙が行われることになった。首相は前回の内閣でも途中で責務を放棄して降板したが、この解散も似たものを感じる。労働者派遣法や女性活躍推進法案などの重要法案を審議することなく、放り出してしまった。自らの保身のためだけの解散だ。何より現在の日本の経済は悪化しており、円安と株高誘導と言う保護政策によって、巨大企業がだけが利益を得て、他の大企業や就労者の9割が就労する中小企業は苦しい経営に追い込まれている。昨日の東京新聞によれば本年度上半期(4~9月)の上場企業約1380社の利益が14兆3070億円になり、過去最高を記録したが、半分の7兆円はトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループなど全体の2%程度にすぎない上位30社で占めていると言う。自動車が売れなくとも収益があると言うことこそが異常である。巨大企業の保護による高収益など見かけの回復でしかなく、経済の基礎が回復したわけではない。むしろ、見せかけの回復を図ったことが、今後の経済悪化を急速に進めて行く可能性すらあるだろう。日本の政府の借金である債務残高は対GDP比で230%を超えており、米国の106%やドイツの83%を考えると、世界でも最悪である。そうした状況の中で、アベノミックスは第一の矢「大胆な金融政策」と称して、日本銀行の総裁を無理やり更迭してまで、異次元の金融緩和を実行させた。2年以内に2%のインフレ目標を達成するとして、ネットで年率50兆円、グロスで同90兆円の国債大量購入政策を日本銀行にとらせた。国債と言う政府の借金を中央銀行が引き受ける。しかも、10月31日にはさらに国債購入枠を30兆円追加すると日銀総裁が発表している。経済は市場の自由競争に任せるのが原則だが、国債市場は日本銀行の管理下に入ってしまった。一度、こうなってしまうと、国債金利を上昇させないために日本銀行は毎年今後も政府から発行される国債を引き受け続けなければならなくなる。米国も同じようなことをやっているが、米国の場合は本来の経済の景気が日本ほどは見かけ上悪くはない。日本の場合は政府保護に頼って高利益を売る巨大企業しかなく、この保護を失えば、収益は見込めなくなるような状況だ。この日米の違いははっきりと見取られており、欧米系大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは日本国債の格付け見直しを表明している。他の3大格付け会社の米国S&Pとムーディーズも追従する可能性が大きい。実際の経済の基礎がしっかりと活況を呈することで、税収入を得て、国の借金がなくなるのが本来だ。アベノミックスは目先の企業収益を上げさせるために、国の借金を重ねて、斜陽産業を保護し、本来の新興産業を育てることを怠り、日本の国債の暴落を招きかねないことやってしまった。経済が思わしくない時に、ただ税金だけを回収しようとする財務省官僚の言いなりになって、消費税を増税して、さらに経済を悪くさせてしまった。政府のおかげで円安と株高で高収益を得た巨大企業もその収益を就業者の賃金に回すよりも結局は社内に溜め込んでしまう。賃金上昇が見込めず、輸入物価の高騰でGDPの6割を占める消費は縮小していくだけだ。
公園の紅葉

もう一つの公園の紅葉

葉が散って来た街路樹のプラタナス