釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

著莪(しゃが)の花

2017-04-29 19:15:16 | 自然
職場の隣の醤油工場裏の山肌に著莪(しゃが)の花が今年も咲いて来た。山野に雑草のように咲くことが多いので、ほとんど気付かれないで咲いていることが多い。しかし、花をよく見ると、とても綺麗な花だ。もともと中国の花で、いつの頃か定かではないが、古い時代に日本へ伝わったようだ。著莪は3倍体といい、動物や他の植物のように雌雄二つの2倍体とは異なり、3種が揃わないと、種が出来ない。しかし、日本に咲く著莪は遺伝子的に同一であるため、種を生み出すことが出来ない。同様の植物には秋に咲く曼珠沙華がある。著莪は漢字で射干とも書かれることがある。しかし、射干は本来は夏に咲くオレンジ色の檜扇(ひおうぎ)の漢名らしい。檜扇は黒い種が出来ることから、万葉集では射干玉(ぬばたま)として、黒を象徴する「夜・夕・髪」の枕詞として使われている。著莪は種がないため、地中で根を深く張って、根を通して繁殖し、群生する。著莪も檜扇もいずれもアヤメ科の植物だ。著莪は花を見れば、アヤメ科であることが十分納得出来るが、檜扇は色がとてもアヤメ科のようには見えないし、花もアヤメの風情は感じさせない。原産地の中国には何種類かの著莪があるようで、中国では著莪を『蝴蝶花』と呼ぶそうだ。中国名の方がこの花には似つかわしい。実際にもこの花にはよく蝶が寄って来る。蝶が好む香りを出しているのだろうか。岩手では少し人の通りの少ない山野の道に入ると、山野草が自生しており、どれもが可愛く、綺麗だ。もっとも、著莪は中国から持ち込まれたため、最初は人為的に植えられており、それが放置されたため、山野草となった。種では殖えて行かないので、どの時代かに人の手でそこに植えられたのだ。山中で著莪が咲いているところは、かってはそこに人が住んでいたのだろう。それは曼珠沙華も同様だ。東北には離農や引き継ぐ人がいなくなった野草の茂る田畑の跡が多く見られる。そんなところにも著莪や曼珠沙華が咲く。これらの花は人の歴史に関わる花だとも言える。
著莪


旧道

2017-04-28 19:13:54 | 文化
釜石の海岸に近い旧商店街から遠野の旧市街地まで、旧仙人峠を通って行くと43Kmある。2007年3月に18.4 kmの遠野住田ICと釜石西IC間が開通するまでは、その43Kmを利用していた。個人の利用する自動車が普及する前はその道を人が徒歩で行き来していた。家の近くには「定内の一里塚」がある。5~6mの土盛りがされており、ほぼ原型が留められている。里程標の始まりは、奥州藤原氏による。全国的に整備されたのは江戸時代になってからだ。徒歩での旅では、距離を里程標を確認することで、どこまで進んだかを知ることが出来る。現在の車の旅では進行距離は無論、道筋までナビゲーションしてもらえる。「定内の一里塚」は国道とは違った住宅街を走る道路ぎわにある。この道路が旧道である。甲子川沿いの両岸に住宅街が広がるが、この住宅街がある位置も、かっては川であった。川筋は時代ごとに変わり、従って、遠野に続く道も時代ごとに変化していた。今でも釜石は陸の孤島と言われる時があるが、自動車道がない時代にはなおさらその感が強かっただろう。舗装道路が整備される以前の旧仙人峠は難所の一つであったようだ。特に冬季の往来は大変だったと思われる。平地でこそ釜石は雪が降らないが、山中では必ず積雪が見られたはずだ。先日、遠野からの帰りに、もう雪も溶けた旧仙人峠越えで、釜石へ帰って来たが、暗くなっていて、一瞬動物が目前に迫ったが、とてもブレーキが間に合わず、はねてしまった。狸であったようだ。これまでは轢かれた狸だけを見て来たが、自分でもとうとうやってしまった。遠野側でもやはり轢かれた狸を見ていたのだが。猫もよく轢かれているのを見ることがあり、狸も猫も行動が似ていて、一瞬、すくんでしまって敏捷に回避出来ないようだ。徒歩の時代であればこうした動物の被害もなかっただろう。東北は自然が豊かだが、その豊かな自然の中で生息する動物たちには身近な危険が隣り合わせだ。岩手のような広い土地では山中を走る道路はたくさんある。その道を通らなければ隣の市へも行けない。その点ではトンネルの多い自動車道が出来たことは動物たちには、少しはいいのかも知れない。もちろん自動車道でもたまには轢かれた動物を見かけるが。道を行くこと一つを考えても、便利さと命の引き換えがある。
岩団扇

ペンは剣よりも強し

2017-04-27 19:10:02 | 社会
釜石の桜はほぼ終わってしまった。昨日、今日と曇天でもある。連休が近づいて来たが、5月に入れば、いよいよ山野草の季節になる。職場の裏山では今日も椿の花にメジロの群れが来ていた。川の水鳥たちも気が付くといなくなっている。もう北の国に帰ってしまったようだ。代わりに南からツバメがやって来ている。 米朝は互いに本気では武力衝突は考えていないようだ。威嚇し合うだけである。もちろん、間違いは起こり得るが。北朝鮮はイラクやリビアが米国に崩壊させられたのは核を持たなかったからだと考えており、そのために核開発にこだわっている。米国は日本の真珠湾攻撃以外では自国が直接被害を被ったことがなく、それゆえに北朝鮮の米国まで届く大陸間弾道弾の開発には神経質になる。しかし、核を搭載した大陸間弾道弾ではなくとも、北朝鮮はすでに衛星を使った米国への電磁パルス(EMP)攻撃が可能である。電磁パルス攻撃はミサイルや衛星から発射された核を高高度で爆発させることで、地上の電気・通信機器に高電圧・高電流を流し、長期間通信や電気機器に障害をもたらす。直接的な人的被害はないが、通信を始め、インフラが長期に渡って閉ざされる。しかも、1発の攻撃で米国全土に被害が及ぶ。2012年には北朝鮮は衛星を打ち上げており、現在2機の衛星が米国上空を周回している。これには米国も今のところ防御手段を持たない。日本も同様だ。日本の場合は中距離ミサイルに核を搭載すれば、確実にインフラが機能不全となる。すでにこれも北朝鮮には可能となっている。北朝鮮は米国に対して、現状を認めさせることが目的であり、武力衝突は本気では望んではいない。中国同様に経済が発展する方向に持っていきたい。資源は韓国よりも豊富だ。米国経済の危うさを逃れて、シンガポールに移住した投資家のジム・ロジャース氏は北朝鮮はいずれソ連や東ドイツのように内部崩壊すると見ている。米国もいざとなれば、北朝鮮の核施設の攻撃については中国の了解を得たようだが、ロシアの動向も気にしている。さらに、韓国には2万8000人の米軍と5万人の米国民間人がいる。武力攻撃は米国民間人の避難が優先される。中国と北朝鮮の国営放送同士が互いに非難し合うようになった。米国の期待する中国の北朝鮮への圧力は望めそうにはないようだ。トランプのシリア攻撃はわずかに支持率を上げただけで、回復には届かなかった。となれば、トランプも下手に北朝鮮を先制攻撃出来ない。まして、韓国在住の民間人を犠牲には出来ない。いかなる米国の先制攻撃にも北朝鮮は韓国への報復攻撃は確実に行う。斬首作戦もイラクやリビアほど簡単ではない。首相は北朝鮮危機を煽り、軍事力強化に結びつけようとしているが、攻撃力ではもはや北朝鮮に敗れている。尖閣諸島をめぐる中国との対立も軍事力では中国に及ばない。米国のシュミレーションによると、日本は5日で中国に敗れている。外交こそが日本を真に守れる。軍備競争は国費の無駄遣いだ。歴史を見れば明らかだ。
二輪草

過去には超巨大津波が列島を襲った

2017-04-26 19:10:12 | 自然
日本時間で昨日の午前6時38分、チリ中部の陸地から39Kmの太平洋の沖合でM6.9の地震が起きた。チリ沖はナスカプレートにあたり、太平洋プレートと接している。プレートとプレートの間で生まれた歪みの解消が地震である。4つのプレートが集まる世界でも稀な地域にあるのが日本列島である。国土技術研究センターによると、世界のM6以上の地震の20%が日本で発生している。火山大国でもあり、20日には小笠原諸島の西之島で噴火している。2015年11月には英国マンチェスター大学のアルバート・ザイルストラAlbert Zijlstra教授(天体物理学)が100年以内に噴火の恐れがあり、かつ破局的噴火となる可能性がある火山として、「世界で最も危険な火山10」を選定しているが、1位が日本の硫黄島(東京都小笠原村)で、4位には熊本県の阿蘇山が選ばれている。琉球大学の木村政昭名誉教授は、独自の手法で近年起こりうる地震や火山噴火を予想している。小笠原諸島のM8.5の地震や富士山の噴火が含まれる。2011年の東北地方太平洋沖地震は日本海溝に沿うプレート境界の陸側で発生したが、10~15年以内にこの境界の海側でアウターライズ型の巨大地震が発生すると考える人がいる。仙台在住の民間の歴史家である飯沼勇儀氏だ。過去の歴史で地震と津波を調べ、1995年に『仙台平野の歴史津波 巨大津波が仙台平野を襲う!』を出版し、宮城県庁と仙台市に津波の危険性を直接訴えられた。プレート境界の海側でアウターライズ型の地震が発生すれば100mもの高さの津波が来る可能性があると言う。東北や東京もその津波に襲われる。氏によれば縄文時代から約200年周期で大津波が押し寄せていると言う。そして、さらにそれをも超える超巨大津波が約1千年周期で発生していた。しかし、宮城県南部沖のアウターライズは2000年近く動いていない。氏の歴史調査には戯書の疑いのある秀真伝なども含まれるために、軽視されているところがある。科学的に地震や火山噴火の予知が不可能な現在、過去の歴史から地震や噴火の発生の可能性を考えるのも一つだと思われる。昨日は佐賀県知事が玄海原発3、4号機の再稼働に同意した。新規制基準で地元の再稼働同意があったのは鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内1、2号機、愛媛県伊方町の四国電力伊方3号機、福井県高浜町の関西電力高浜3、4号機に続く4例目である。しかし、一昨日、名古屋高裁金沢支部で行われた関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟控訴審の口頭弁論では、地震予知連絡会長や日本活断層学会長を歴任し、原子力規制委員長代理まで務めた島崎邦彦東京大学名誉教授が関西電力が基準地震動を過小評価していることを指摘している。誤りを反省しなければ、さらに大きな参事を招くことは日常的には常識である。原発推進にはその常識が通じない。
都忘れ

リセット

2017-04-25 19:17:35 | 社会
快晴の春らしい陽気が2日続いた。主だった桜は散って来ているが、遅咲きの桜ではまだ蕾だけの木もある。ウグイスが鳴き、メジロたちが群れで椿の花にやって来る。雪柳の白い花と山吹の黄色い花も目につくようになった。道端にもタンポポが咲く。よく見るとツクシも伸びて来ている。今朝のニュースでは内陸の盛岡で桜が見頃だと言う。連休には遠野の桜が満開になるだろう。 かって製造業が日本の産業を牽引した時代には、製造業の経済団体である経団連が「財界総理」として、政府に対して一定の意見を出して来た。しかし、製造業の経営者の堕落と共に製造業は斜陽化し、経団連も政府にただ物乞いをするための団体と化した。それは経団連御三家である東京電力・新日鉄・東芝の凋落ぶりからも分かる。東京電力と東芝は実質的に破綻企業となっている。今や日本のGDPの74%、雇用の70%はサービス業である。そして、そのサービス業は賃金が製造業に比べて低い。東芝は野心だけで政府にすり寄った経営者が米国の負債のある原発産業を買い込んだために粉飾決算をせざるを得なくなった。その同じ経営者によって郵政もまた負債企業を買い込む愚を犯した。旧来の日本の製造業の経営手法を捨て、米国流の企業経営手法をノウハウも身に付けないままモノマネをした結果である。製造現場や人材を重んじず、研究開発を軽んじた。米国への留学生の低下がそれを端的に物語る。かっては日本も3万人を超える学生が米国に留学したが、今では1万9060人まで減少している。台湾やベトナム、韓国よりも少なく、中国の32万8547人は無論、インドの16万5918人にも遠く及ばない。教育、研究予算を削る国は廃れて行く。GDPで日本の2倍を超えた中国は政府債務は、GDP比で240%にもなっている日本に対して、わずか49%でしかない。もちろん中国にも大きな問題がある。中国の企業債務はGDP比で210%にもなる。いずれ何らかの形で経済危機を迎えることにはなるが、それを整理後にはまた活力を取り戻し、さらにしばらくは成長して行くだろう。ドルが基軸通貨であるためにあらゆる借金を許されて来た米国も、やはりいずれは経済危機で整理する時期を迎える。しかし、米国は日本に比べれば、整理後の復活はまだ可能だ。日本は経済危機で凋落のスピードをさらに上げるばかりだろう。復活のための教育・研究が枯渇しており、ベンチャー企業を生み出す土壌もない。経済危機は政府破綻に繋がり、政府も余力を失う。政官財の腐敗がまさに日本を滅ぼす。日本は今、一度シャットダウンが必要なのかも知れない。
白根葵

財務省が支配する日本銀行

2017-04-24 19:13:03 | 経済
米国財務省の今月の現金残高は1890億ドル(22兆円)でしかない。財務省は 1日平均20億ドル(2300億円)で政府機能を運営している。既存の債務の償還には、月に1000億ドル(11兆円5000億円)が費やされる。米国では2015年11月4日にオバマ政権下で、歳出額を2016年度・2017年度の合計で800億ドル増額する政府債務の上限引き上げが議会で承認されたが、その期限が先月の15日で切れた。米国では1917年成立の公債法で政府債務の上限が決められており、1962年以降にすでに債務上限引き上げを75回行って来た。議会の休み明けである25日から28日までの間で、債務上限の引き上げが議会で承認されなければ、政府機能は29日から停止せざるを得なくなる。2014年度に一度16日間だけ政府機能が停止している。今回、債務限度額を引き上げるためには下院で218票が必要となるが、237議席を有する与党の共和党には、過去に債務上限の引き上げを続けることを拒否して来た「ティー・パーティー」のメンバーが29人にいる。下院での審議期間がわずかに4日間しかないこともあり、米国政府はかなり厳しい状況に追い込まれている。政府債務が20兆ドルである米国も厳しいが、それ以上に日本の政府債務は厳しい。政府が借金をする場合は国債を発行し、市中でそれを買ってもらう。この際、国債の価格と金利は逆相関する。価格が上がれば、金利が下がる。日本の国債はこれまで財務省主導で民間の購入がある意味合議で決められて来た。しかし、ゼロ金利になると民間が購入から遠ざかるようになり、国債金利の上昇の危険性が出て来た。財務省から送り込まれた黒田日本銀行総裁は以前より巨額の国債購入を行うことで、金利上昇を無理やり押さえつけている。そればかりか、マイナス金利にすることで、いわゆる「金融抑圧」による政府債務の償却に積極的に踏み出した。一般に政府債務が税収では償却出来なくなった場合は、その債務を踏み倒す方法に二通りある。一つは「金融抑圧」であり、もう一つは「財政破綻」である。「金融抑圧」は意図的な超低金利とインフレを長期間維持することで、債務を低減させて行く手法であり、「財政破綻」は短期で債務を帳消しにする手法である。第二次大戦終了直後の英米は膨大な戦費のために大きな政府債務を抱えた。両国は「金融抑圧」により政府債務の低減を行なった。経済成長の著しかった米国は長くはかからず、政府債務から解放されたが、英国は長い期間を要して、経済大国から経済小国へ転落してしまった。現在、日本の政府や日本銀行が行なっている「金融抑圧」による政府債務の低減には長期間を要し、しかも国の経済力を破壊する。さらには、何らかの原因で金利が上昇すれば、たちまち財政破綻に追い込まれる。金利が3%になると財政破綻となると言われる。株まで支えている日本銀行は株が暴落すれば、「金融抑圧」を維持する体力も失ってしまうだろう。日米の株や債券にまで投資させられたゆうちょや年金も大きな損失を出す。火種は世界中に満ちている。
レンギョウ

落人の里

2017-04-22 19:17:23 | 歴史
釜石ではまだ桜を見られるが、おそらくこの週末が見頃の最後となるだろう。日射しの良い山の斜面ではもう山桜も咲いて来ている。ソメイヨシノに少し遅れて枝垂れ桜が咲くが、その枝垂れ桜も見られるようになった。職場の裏山の満開になって来た椿に、今年もメジロが群れでやって来ている。ウグイスの声も何度か聴いた。山の斜面の裸木にも淡い緑の若葉が出始めて来ている。東北にも本格的な春がやって来た。 三陸沿岸の山田町豊間根は以前にも書いたように1051年に始まった前九年の役で敗れた安倍頼時の五男安倍正任の子、安倍孝任が逃れ着いた地である。その子孫は現在も豊間根姓で続いている。職場にも豊間根姓の方がおられる。前九年の役では安倍氏が北上川沿いに「柵」を設けて防御の陣を張ったので、岩手県内に現在も多くの伝承が残されている。安倍孝任が逃れた地は「味兵邑」と言われたようだが、安倍孝任の子孫は難を逃れるためにいくつか姓を変えており、地名である豊間根を名乗ったとされる。「味兵邑」と「豊間根」の名がどのような繋がりがあるのかよく分からない。「豊間根」は「痩せた地」を意味するアイヌ語から来ていると言う説がある。釜石や遠野でもアイヌ語由来とされる地名がいくつかあるが、確かにそれらは「日本語」としては意味をなさない地名である。アイヌ語とされる言葉は、おそらく和田家文書に言う阿蘇部族や津保化族の言葉であったろうと思われる。豊間根は安倍氏の末裔が住み着いたところだが、その山側に隣接する荒川には室町時代末期に幕府のキリスト教徒迫害を逃れて、城主であった荒川政近が逃れ住んだと言われる。いわゆる隠れキリシタンの走りである。キリスト教の日本への伝来は1549年に鹿児島に上陸したイエズス会のフランシスコ・ザビエルによるとされる。当時の室町幕府の将軍足利義輝に謁見しようとしたが、京都には義輝がいなかったので、謁見は叶わなかった。ザビエルは山口や大分にいた。どのような経緯で荒川氏にキリスト教が伝えられたのだろう。岩手には主に江戸時代の隠れキリシタンの伝承が残されている。隣の遠野のカッパ淵で知られる常堅寺には観音像に仕立てたマリア像があり、一関市の大柄沢キリシタン洞窟には一度行ったこともある。この近辺では伝道神父を含めて300名もの隠れキリシタンが処刑されている。東北各地は古より難を逃れて移り住んだ人たちがたくさんいる。


世界の不安定要素

2017-04-21 19:19:27 | 経済
北朝鮮問題はどうやら米国も警告だけで終わらせたいようだ。中国を通して、北朝鮮が核開発を中止することが出来れば良しとする。北朝鮮も本気では戦いたくはない。米国には差し迫る国内問題が山積みでもある。2月28日の議会で、トランプは「9400万人の米国民が無職である。4300万人以上が貧困で、同様に4300万人以上が低所得者用フードスタンプ(食品購入用金券)を受け取っている。働き盛り世代の5人に1人以上に職がない。」として、米国の深刻な状況を述べている。そうした実態とはかけ離れて、米国の株は歴史始まって以来の高さになっている。英紙The Guardianは世界の不安定要素の一つとしてIMFが米国企業の負債を上げていることを報じている。残高がGDPの2.5倍とも言われる企業による社債発行がある。米国の企業は低利を良いことに社債を発行して、得られた資金を設備投資や研究開発に投じるのではなく、自社株の購入に回している。それにより史上稀に見る株高が演出され、株による含み益で、企業利益を確保する。製造業が製造で利益を得るのではなく、自社株を上げることで、利益があるように振舞っている。株が暴落すれば、負債は返済出来ない。株も債権もバブルになっている。中国も同様に企業負債が膨大になっている。EUにも英国に続く離脱国が出る不安要素があり、ドイツ銀行の巨大な負債もある。日本は企業よりも国に大きな負債があり、日本銀行がそれを助けるために長期に渡って低金利を続け、民間では買い切れなくなった国債を買い取り、さらにはついにマイナス金利まで導入せざるを得なくなっている。デフレは実体経済から生じたものではなく、政府債務救済のために日本銀行が生み出したものだ。政府の国債を直接日本銀行が買い取ることは日銀法で禁じられているため、形式的に、一旦は民間が政府の発行した国債を買い取り、その日のうちに日本銀行が買い取るという姑息な手段を取っている。そのために日本銀行は発行時の額面よりも高い額で国債を民間から買い取っており、買取が増えれば増えるほど含み損を大きく抱えている。このような状態はいつまでも続けられない。どこかで買い取った国債を、米国の中央銀行であるFRB同様に手放す時期を探らねばならない。その時、金利が高騰する危険がある。金利が高騰すれば、政府は破綻する。日本の場合は金利が3%になるだけで、政府の税収額が消えてしまう。黒田総裁は来年4月までの自分の任期だけは無事に終えたいと考えているだろう。資本が自由に世界を駆け巡る現代は、どこの国で経済危機が発生しても、必ず連鎖する。まして、米国での金融危機は2008年のリーマンショックをはるかに超えた巨大な危機となり、世界恐慌となると予想する投資家もいる。印刷され続けるドルは、価値を薄めて来ており、危ういドルを助けているのが日本である。そんな日本は米国が転ければ、共倒れである。トランプは弱いドルを望んでおり、1985年のようにドルの切り下げをやるかも知れない。そうなれば、日本の米国に対する債権の半分は再び踏み倒される。日本国内にも大きなショックとなり、金利の暴騰もあるかも知れない。
旧居の杏の花

2017-04-20 19:17:04 | 自然
釜石の桜はまだ見頃だが、昨日はかなり強い風が吹き、夜の散歩で見かけた桜並木には花びらがたくさん落ちていた。遠野では猿ケ石川沿いに2Kmの桜並木があり、名所となっているが、釜石には規模の大きい桜の名所がない。甲子川の支流である小川川を含め、甲子川沿いの一部には桜並木があるが、並木が分散しており、どこか中途半端だ。せっかく大きな川と川堤があるのに、上手に利用されていない。甲子川沿いに桜を植えれば、素晴らしい名所になるだろう。小川川が甲子川に合流する地点付近いは少しだが梅の並木もある。日本さくらの会によると、日本に自生する桜は9種類を基本として、100種類以上あるそうだ。その9種類は、山桜、大山桜、霞桜、大島桜、江⼾彼岸、丁字桜、豆桜、⾼嶺桜、深山桜であり、この他に沖縄には寒緋桜が自生しているようだ。桜は木の大きさに比べて小さな花が木全体にたくさん咲くために、遠くから眺めていても綺麗に感じられる。梅は桜ほどには花の数が多くならないために、目立ちにくいところがあるが、近くに寄ると、花は桜以上に可憐に見える。老木に咲く梅の花はとても趣がある。万葉集には梅が118首、桜が44首詠まれている。九州王朝の存在と、万葉集の原本が九州王朝下で成立したことを考えれば、当然だと思う。「倭国」すなわち九州王朝では中国で愛でられていた梅が王朝の花であった。701年以後に成立した「日本」はあえて桜を愛でるようになったと思われる。左近の桜も本来は梅であった。いずれにしろ、桜は日本列島に自生していた。その桜を時の権力者たちが愛でるようになり、愛でるために多くの桜を植えた。豊臣秀吉は京都の醍醐寺に700本の桜を植えたと言われる。今でも醍醐寺は桜の名所であり、何年か前に訪れたことがある。江戸時代には園芸用の桜が多く作出された。旧宅の庭には何種類かの桜の鉢植えを置いてあるが、大島桜は鉢底を抜いて、根が土にしっかり付いてしまった。木も大きく成長してしまった。園芸用の桜も美しいが、東北の山野に見かける山桜もとても美しく感じる。沿岸部では自生する山桜と椿が重なって見られる。残念ながらもう今週末には釜石の桜は終わって、内陸に移って行くだろう。北上の展勝地や盛岡の城跡の岩手公園などで見頃になると思われる。遠野はさらに1週間遅れるだろう。晴れれば、今年はまた秋田の角館の桜を見たい。
職場の裏山の桜と椿

世界の軍備

2017-04-19 19:16:43 | 社会
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は毎年、『軍備・軍縮年鑑』を出しているが、その内容は国際的にも高く評価されている。現在のところ2017年度版は出されていないが、昨年のもので見ると、2015年の世界の軍備費は1兆6760億ドル(185兆円)となっている。国連によれば世界の1日の生活費が2ドルに満たない極端な貧困と飢餓に苦しむ人々の数は8億人いる。同研究所は、国連が2015年9月に採択した、2030年までに世界中の貧困と飢餓を撲滅することを主な目標とするプロジェクト、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成のために、各国がその軍事費の1割を拠出さえすればよいという。日本では第二次安倍内閣成立以降、毎年、軍事費が増加している。『軍備・軍縮年鑑』によれば、世界の軍需産業100社のうち42社が米国だ。日本は3社が入り、28位三菱重工、37位川崎重工、76位三菱電機となっている。軍事費では世界の36%を米国が占め、中国が13%、サウジアラビア5.2%、ロシア4%、英国3.3%、インド3.1%、フランス3%、日本とドイツが2.4%と並ぶ。日本の軍事費は2013年から増え続けているが、国内の軍需産業の売り上げは減少傾向にある。その理由は米国からの武器購入が増加しているためだ。米国では軍需産業は巨大で、自らの利益を確保するためには世界のどこかで戦いがある必要がある。今回の北朝鮮を巡っても、日本も韓国も米国から巨額の軍備を購入している。国家を相手にした商売であるため、利益率は高い。敵味方双方に軍備を売っている可能性がある。北朝鮮が急速に核開発を進められた裏には先進国の技術移転がある。ジョージ・ブッシュ大統領の下で国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドDonald Henry Rumsfeldはその前にスイスの巨大企業ABB社でただ一人米国人として役員をしており、2000年に北朝鮮との軽水炉の原子炉2基の売却契約が締結されている。テロ組織とされたアルカイダはアフガニスタンでの戦いで、米国CIAが育てた組織であり、後のIS(イスラム国)に発展した。おそらく、ISにも欧米の軍需産業から武器が売られているだろう。米国では軍部と手を結んだ軍需産業やウォール街の金融資本が政治的圧力を加える。トランプ政権で、今まさにその圧力が加えられている。大統領就任前のトランプはシリアを攻撃すべきでないと言っていた。開発されてから10年以上も使われていなかったMOAB(大規模爆風爆弾)までアフガニスタンで使った。戦争は軍需産業を潤すが、国の借金を大幅に増やしてしまう。現在の米国の政府債務はイラク戦争の戦費により膨らんだ。国家にとって戦争は決して割りに合わない。
朱鷺草(ときそう)