かたむいて建付けの悪くなった玄関の引き戸をガラガラと開ける。そこは裸電球の世界!料金を払おうとすると、おじさんが出てきて「そこじゃ寒いから…」とお部屋に招き入れてくれた。すぐに、入浴料500円なりを払おうとすると、
「うちは、女の内湯と混浴の露天しかないけどいい?」
と聞かれた。
「そういうのがいいんですよ~!ここは前から来たかったので嬉しいです!」
と言ったら、やっと安心したのか料金を受け取ってくれた。傍らにはお年を召したご夫妻が1組。
「露天は混浴だから、よく見てから入ってね。脱衣所もそばには無いからね」
とおじさんに念を押され、部屋を後にお風呂に向かった。
お風呂へのアプローチにも、裸電球が…。雰囲気良過ぎる!
「わ~い!!嬉し~い!」
と、女性用内湯に入っていったら、ちょうどふたりのおばさんが上がったところだった。
「今ダレもいないから、ゆっくり入って。心配だったら、中から鍵かけられるんだからね」
とノタマワる。中から鍵なんて、そんな偉そうなことはしないのが心情なのでそのまま入る。湯口からは、ぬる目の湯が掛け流されている。
「ふぅ~、極楽。久しぶりの本物温泉は、やっぱしみるねぇ」
などと思いながらゆるりと堪能した。
こうなると、露天にも入りたい。「男湯・露天」と書いてある扉を開けたら、先ほどのご夫婦が上がってきたばかりだった。
「あの~、入ってもいいですか?」
「今、貸切で気持ちいいよ~。ゆっくりね~」
と言ってくださる。バスタオル巻きで、男湯を通過して川沿いの露天に下りていった。目の前には、二岐川の清流が白い飛まつを上げて流れている。タオルを近くに置いて、素のまま大きな方の露天に飛び込んだ。
「うっほほ~い!やったぁ!う~れし~いぃぃぃぃ!」
と、大興奮状態(^^;さらに川に近い方の小さな露天に移動して、オートで写真を撮った後にまったりと浸かった。ふと見ると、膝から流血している?何?と記憶を手繰り寄せてみると、大きな露天に入った時、中ほどの大きな岩に膝をぶつけたような…。痛さを感じる暇がないほど、嬉しかったということですな…。
ぬる湯の感触を楽しみながら、小一時間も浸かっていた。ふと見上げると、対岸の木立の中に白く光るものが?ああ、月が昇って来た。しかもにゃんこの守り神の上弦の月。青から紺に変わる空に昇る、煌々と輝く月を
見ながらの「月見露天」。至福の時。神さまが、頑張った私に見せてくれた贈り物に違いない。
堪能し終わったところで、ついでにダレもいない男湯にも浸かって(オイオイ…)、やっと風呂場を後にした。先ほどの休憩室でお水をいただきながら、いろいろなお話を聞いた。去年の大雪の日に、雪かきをしていたおじいちゃんが脳溢血で倒れ、それをきっかけに経営者のおじいちゃんとおばあちゃんは、今年は岩瀬湯本に引き上げてしまったそうだ。今は地元の有志4人が交代で管理しており食事までは出せないので、日帰りと週末に素泊まりだけの宿泊を受けているという。つげ義春が描いたふすま一面の絵は、おじいちゃんが消してしまったとか…。ファンはさぞかし涙することだろう。維持は大変だろうが、このままの形でぜひ続けて欲しいとお話をした。
すでにバスを降りてから1時間半が経過。暗くなった山道を上がって行き、今宵の宿「ふじや」にやっとチェックイン。ふじやでは、着くべき時間になっても姿を現さない私の動向を心配(?)した面々が、すでに集まって酒盛りを始めていた…(^^; (つづく)
「うちは、女の内湯と混浴の露天しかないけどいい?」
と聞かれた。
「そういうのがいいんですよ~!ここは前から来たかったので嬉しいです!」
と言ったら、やっと安心したのか料金を受け取ってくれた。傍らにはお年を召したご夫妻が1組。
「露天は混浴だから、よく見てから入ってね。脱衣所もそばには無いからね」
とおじさんに念を押され、部屋を後にお風呂に向かった。
お風呂へのアプローチにも、裸電球が…。雰囲気良過ぎる!
「わ~い!!嬉し~い!」
と、女性用内湯に入っていったら、ちょうどふたりのおばさんが上がったところだった。
「今ダレもいないから、ゆっくり入って。心配だったら、中から鍵かけられるんだからね」
とノタマワる。中から鍵なんて、そんな偉そうなことはしないのが心情なのでそのまま入る。湯口からは、ぬる目の湯が掛け流されている。
「ふぅ~、極楽。久しぶりの本物温泉は、やっぱしみるねぇ」
などと思いながらゆるりと堪能した。
こうなると、露天にも入りたい。「男湯・露天」と書いてある扉を開けたら、先ほどのご夫婦が上がってきたばかりだった。
「あの~、入ってもいいですか?」
「今、貸切で気持ちいいよ~。ゆっくりね~」
と言ってくださる。バスタオル巻きで、男湯を通過して川沿いの露天に下りていった。目の前には、二岐川の清流が白い飛まつを上げて流れている。タオルを近くに置いて、素のまま大きな方の露天に飛び込んだ。
「うっほほ~い!やったぁ!う~れし~いぃぃぃぃ!」
と、大興奮状態(^^;さらに川に近い方の小さな露天に移動して、オートで写真を撮った後にまったりと浸かった。ふと見ると、膝から流血している?何?と記憶を手繰り寄せてみると、大きな露天に入った時、中ほどの大きな岩に膝をぶつけたような…。痛さを感じる暇がないほど、嬉しかったということですな…。
ぬる湯の感触を楽しみながら、小一時間も浸かっていた。ふと見上げると、対岸の木立の中に白く光るものが?ああ、月が昇って来た。しかもにゃんこの守り神の上弦の月。青から紺に変わる空に昇る、煌々と輝く月を
見ながらの「月見露天」。至福の時。神さまが、頑張った私に見せてくれた贈り物に違いない。
堪能し終わったところで、ついでにダレもいない男湯にも浸かって(オイオイ…)、やっと風呂場を後にした。先ほどの休憩室でお水をいただきながら、いろいろなお話を聞いた。去年の大雪の日に、雪かきをしていたおじいちゃんが脳溢血で倒れ、それをきっかけに経営者のおじいちゃんとおばあちゃんは、今年は岩瀬湯本に引き上げてしまったそうだ。今は地元の有志4人が交代で管理しており食事までは出せないので、日帰りと週末に素泊まりだけの宿泊を受けているという。つげ義春が描いたふすま一面の絵は、おじいちゃんが消してしまったとか…。ファンはさぞかし涙することだろう。維持は大変だろうが、このままの形でぜひ続けて欲しいとお話をした。
すでにバスを降りてから1時間半が経過。暗くなった山道を上がって行き、今宵の宿「ふじや」にやっとチェックイン。ふじやでは、着くべき時間になっても姿を現さない私の動向を心配(?)した面々が、すでに集まって酒盛りを始めていた…(^^; (つづく)