時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

新春、天を仰いでいます

2011年01月06日 | 労働の新次元



  年々、新春を迎えたという季節感や新鮮さが薄れている。年末に行きつけの理髪店の店主が、このごろは一年中同じようなものですと話していたが、実際そうなのだろう。大都市のデパートなどは、以前は形だけの仕事始めであった
12日から実質営業をしている。それどころか、某店の新春福袋セールには20万人近い人出があると聞いて、改めて仰天した。ちなみに私はこの種の現場?には近づいたことすらない(笑)。

 

 今年も年初から、職がなく求職活動をしている人々の復職を支援する事業をお手伝いすることになった。昨年初めから、毎月およそ250人から300人近い人々の求職活動(就活)の一部にかかわってきた。新しい熟練の習得の可能性、プランの設計の仕方、労働市場の状況などについて、いわば側面からの支援である。最初は、ほとんどボランティアのつもりであった。しかし、その実態に接している間に、さまざまな予想を超える現実に直面し、新年早々、かなり疲労ぎみだ。

 

 長らく仕事の世界を経験し、自分なりに問題のありかも整理してきたつもりなのだが、このごろの実態に接すると、改めて考えこむようなことが増えた。対面する人々は文字通り老若男女、年齢も20歳台から60歳台まで、実に幅が広い。世の中の縮図を見ているようでもある。これまでの人生ではどちらかといえば、10歳台後半から30歳代の比較的若い世代と日々対してきたのだが、労働市場が大きく変わってしまったということを改めて実体験している。

 

対面する人たちの中には、大学卒業後一度も会社との面接の機会を得られずに、すでに2年近く過ぎたという若者、小さな工務店に勤めていたが、倒産で失職してしまったという60歳代の大工職人の男性、自分で切り盛りしていた和食の料理店に働き手が来なくなり、店を閉めざるをえなかったというかなり高年の女性、中堅企業に勤めていたが、早期優遇退職に応募、退職した後、改めて求職活動しているが、以前に会社で聞いていた話と違ってまったく仕事がないという50歳代後半の男性、介護ヘルパーの仕事を転々としてきたが、これでは心身ともに持たないと思うと語る30歳代の女性、果ては大学のキャリアセンター、ハローワークのジョブサポーターに相談したが、役立つ情報が得られなかったという若者まで、ほとんどあらゆるケースが出てくる。


 近年の高い失業率の背景には、「労働需給のミスマッチ」があるといわれるが、そう簡単な表現では片付けられないという実感だ。ちなみに私は「ミスマッチ」という表現にはかなり前から抵抗感を持っていた。需要と供給の数がなんらかの原因で合わないという語感が与えるものと現実は、まるで別世界のようだ。今後に期待される雇用創出分野は、IT、環境・エネルギー、医療・介護、インフラ整備など、活字は躍っているが、現実の雇用創出につながってくるにはかなりの時間を要する。雇用政策にも新しい視点が必要に思える。他方、メディアが伝える政治の世界には、雇用対策にかかわる与野党間の議論など、ほとんど見かけることがない。さて、うさぎさん、どうしたものだろうか。

 

 

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2 コメント

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今までとは違う (arz2bee)
2011-01-10 23:50:25
 明らかに過去半世紀、あるいは一世紀かもしれません、とは違うことが起きています。今ままでの方法では通じません。前線に出ないことには Im Westen nichts Neues と見做してしまう恐れがあります。某元総理のいうところのミゾユウのことが起きていると町医者さえ感じています。
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なにをすべきか (old-dreamer)
2011-01-11 17:52:39
arz2beeさん
ご指摘の司令部報告がなされた1918年10月、戦況はすでに終決間際でした。しかし、こちらの戦禍は今後拡大必至。これまでの社会的枠組み(グリッド)から脱落、負傷してしまった人たちの救済は一筋縄ではゆきません。今日も、寄る辺を失った人たちの話を聞いて戻ったところ。タイガーマスクの志、壮とすべしと思いながらも。
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