
トランプ大統領が就任以来、世界は大きな混乱に陥り、世界は右往左往の状況が続いてきた。今後、世界はどこへ向かうのか、有力な指針らしきものも無くなった。すでに大統領選挙の過程で、来るべき時代が平穏で希望に満ちたものとなるとは、ほとんど誰も予想はしていなかったろう。しかし、これほどまでに無秩序で混乱に満ちて希望のない時代が到来するとは、誰が予想しただろうか。
9/11当時から、新しい世紀が「危機の世紀」となることは、本ブログ『時空を超えて Beyond Time and Space』などにも記したようにかなり見えてはいた。それから四半世紀近くを経過した今日、現実は波瀾万丈、トランプ大統領の力勝負に賭けた一人舞台のような状況を呈している。
ウクライナ・ロシア、シリア・ハマス・イスラエル間の戦争に見られるような悲惨な事態が世界各地で起きている。時代の立役者を自賛するトランプ大統領、そして対抗する中国、ロシアなど覇権国の間で、世界は力が支配する殺伐としたものとなった。理性を失った指導者が、核兵器に手をつける可能性はかつてなく高まっている。
「新しい資本主義」は何処へ
他方、トランプ政権登場の直前、同時代の日本の政治家たちの中には新しい世紀に多少なりと期待もしていた人々もいたかもしれない。2020年9月に自由民主党総裁選挙への出馬に合わせて出版された岸田文雄元首相の著書『岸田ビジョン 分断から協調へ』には、「新しい資本主義の構築を目指す」とのスローガンを掲げ、その概略ともいうべき内容が提示されているが、今ではほとんどメディアにも登場してこない。かねて強調されていた特徴である「サステナビリティ」の概念も迫力がなく、脆くも後退してしまった。政府主導の研究会も、ほとんど世の中の注目を集めることなく終わってしまった。「新しい資本主義」は、看板倒れで、研究会の内容も、未来への構想がないままに議論は細分化され、国民の印象に残るものとなり得なかった。
突如浮上した「外国人政策」
与党の大敗となった参院選において唐突とも言える形で浮上した論点のひとつは、なんと外国人政策であった。政府は省庁横断で外国人政策を担う事務組織として、「外国人との秩序ある共生社会推進室」を開票日前に設置した。半世紀以上前から、このテーマを研究課題のひとつとしてきた筆者にとっては、今更の感が強いものだった。
このたびの参院選を機に、各党が急きょ開示した公約を見ても、これまでいったい何をしてきたのかという疑問が多数残る。例えば、多くの公約は圧倒的に受け入れ側の管理制度の次元に集中し、「多文化共生社会」なる響きの良い(聞き古した)スローガンを掲げてもいる。しかし、この半世紀に限っても、このスローガンはどれだけの成果を挙げたのか、その評価もほとんどない。ヨーロッパの右傾化をはじめ、現実は理想から大きく離反し、今回、日本にも浸透し、影響を与えた面もある。
議論は、ほとんど受け入れ側の制度的強化に焦点が当てられている。しかし、議論から欠落している重要な論点も多い。外国人を送り出す側にはいかなる課題が生まれ、その帰趨はどうなるかなど、ほとんど議論されていない次元も多々ある。筆者が小さなブログで、グローバルサウス、奴隷貿易、アメリカの分断などの次元に言及してきたのは、新たな世界観の再構築にまで及ばない限り、光は見えてこないという点に発している。
変化する資本主義への評価
資本主義と呼ばれる体系が形を成してから、さまざまな変化はあったが、その考えや理念が賛美の対象となることは少なく、むしろ批判の対象となってきた。古今の経済学説に関する出版物は枚挙にいとまがないが、そのほとんどはその対象に楽観的ではなかった。
いくつかの例にみると、アダム・スミスに始まり、カール・マルクスはそれについてのすべてを嫌っていた。ジョン・メイナード・ケインズでさえ、その存続の成否にはシステム全体が作り直されることにかかっていると信じていた。
最近、海外で話題となったジョン・キャシディの新著『資本主義とその批判:産業革命からAIまでの歴史』*は、資本主義に批判的な立場から書かれているが、初期のアダム・スミスのような理論家は、初期には好意的ではあったが、両手を上げて賛同していたわけではなかった。
資本主義の賛美者もいる中で、その誕生から今日までを厳しい批判者の視点から見た現代の最善の歴史書ともいわれる本書に出会い、酷暑の日々を多少でも忘れたいという思いもあって取り上げてみたが、600ページを超える大冊と炎暑にかまけて、未だ読みきれない。本ブログはまもなく終幕の時を迎えるが、何かの機会に少し詳しい感想を記すことを目指したい。
*John Cassidy, CAPITALISM AND ITS CRITICS, Farrar、Straus and Giroux; 2025, pp 624
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