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興(こう)ちゃんの手掘り郷土史

山本家住宅 (その4応接室)

2017年06月12日 | 山本家住宅

山本家住宅は、玄関から入ってすぐ左側の応接室とその奥の書斎と階段室が洋室の設えになっています。
その他の部屋は中には窓が洋風である和室もありますが、基本は和室です。
全ての部屋に言える特徴は、当時としては天井が高い事と、銘木が使用されている事です。
それぞれの部屋が特徴を持ち、他の部屋に無い設えになっている事に驚きを感じます。
まずは、応接室をご案内致します。

床は寄木細工、壁は玉杢(たまもく)の楓(かえで)材による腰板張りの上部クロス張り、天井は漆喰の装飾仕上げに暖炉があるという完全な洋風の造りとなっています。

床は、少し解りずらいかもしれませんが、薄くスライスした銘木を寄木細工にしています。 


壁は玉杢(たまもく)の楓(かえで)材による腰板張りの上部クロス張り。
洋室の全ての腰壁に使用されている、楓は吉野より取り寄せたと伝わっています。

 


天井は漆喰の装飾仕上げに、枠の部分は木曾桧(きそひのき)を使用しています。

風聞では、この家には煙突が無い為に暖炉は炭暖炉でした。薪では無く炭の熱を利用して、天井の隅にある通気孔から熱が伝わる構造であったようです。

暖炉は、西洋では部屋の格式を決める上での重要な調度品でした。
日本の建築でいう床の間にあたり、その部屋の顔でした。

暖炉のマントルピースは大理石で、その上に飾られている鏡の枠の部分は、高級銘木の黒柿を使用しています。
黒柿の孔雀杢(くじゃくもく)という入手困難な金額を付ける事ができない程の最高級品です。
山本家住宅の特徴のひとつと言っていいのかはわかりませんが、高級銘木の黒柿がいたるところに使われています。


高級銘木の黒柿の孔雀杢くじゃくもく)

銘木で作られたソファやテーブルの家具調度類も当初のままです。


この部屋の調度品は、葉薊(ハアザミ)、別名(アカンサス)をモチーフにされています。

楓材のテーブルは、象嵌(ぞうがん)寄せ木細工で作られた、もちろん山本家住宅のみのオンリーワンの家具です。
象嵌寄せ木細工とは、一つの素材に異なった素材を嵌(は)め込む技法です。
アンティーク家具においては、切り絵のように色をつけ、その絵にそって切り取った木片で家具の表面を飾る技法です。
その中でも象嵌は「インレイ」と呼ばれ、家具の表面をくりぬいて、異なる木材や貝殻をはめ込む技法のことです。

クロスのまわりは珍しい紐綱飾りをまわし高級感を演出しています。

今ではとても手に入れることのできない厚手のドレープカーテンも必見です。

【マントルピース(mantelpiece)】
マントルピースとは、壁つきの暖炉につける前飾りのことで、焚き口の廻りを囲む飾り枠などを指します。
暖炉の焚(た)き口の周辺部分。また、暖炉の上部の飾り棚。
暖炉のたき口を囲む飾り。木,石,煉瓦,大理石等で造る。上部に炉棚(マントルシェルフ)を設ける。
暖炉の炉の上部・側面を囲むかたちで壁面に設けられる飾枠。
木,煉瓦,タイル,石,大理石等で造られ,室内の重要な装飾要素となる。
上部には炉棚mantelshelfが設けられ,ここに陶器や美術品,写真,置時計などを並べることが多い。
その上の壁面には装飾レリーフを施したり絵画,鏡などを飾る。
マントルピースは洋室における飾棚を兼ねるもので,和室における床の間に類似した機能をもつといえる。

【ドレープカーテン】
厚手の生地や織物の総称。視線の遮断や断熱など、機能的なカーテン。

【カーテンの歴史】
日本でカーテンが使われるようになったのは江戸時代の初期で、長崎の出島に外国公館が出来た頃というのが通説になっていますが、外国公館で使用されたというもので、実際に日本人が使い始めたのは、幕末から明治にかけての時代であったと考えられています。
当時は「窓掛け」といわれ、ほとんどが輸入品の重厚で高価なものでした。
「カーテン」という言葉が使われる様になったのは、明治末期になってからで、素材として綿・毛・絹・麻などが用いられ国内で生産され始めました。
大正期に入って中産階級が増え、生活改善運動の影響もあって次第に広まっていき、関東大震災後は建築の近代化及び洋風化が進み、カーテンも増えてはきたもののまだ一部の上流階級のものでした。そして昭和30年代に入り、一般住宅に本格的にカーテンが普及し始めました。それは日本住宅公団によるアパート建設が始まってからの事であり、住宅産業が盛んになり、カーテンが生産されるようになりました。

協力:網干歴史ロマンの会・あぼしまちボランティアガイド
    銘木関係:原匠江尻店長

※山本家住宅を見学された方はご存じのように、立ち入り禁止箇所からの写真が掲載されておりますが、山本家住宅を管理しております「網干歴史ロマンの会」の了解を得ております。見学の際は調度品等を傷めるケースがありますので、赤い絨毯部分のみからの見学にご協力をお願い致します。

 ※山本家住宅は、第1、第3日曜日の10時00分~16時00分に公開中です。



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