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[ツイッター詩54] (10月詩)

2016年10月06日 | ツイッター詩

木々の中の一本の木
木肌に触れる
木(もく)する木
風が枝葉を揺らしても
木(もく)する
幹や枝葉や その内を
木々(もくもく)と流れている
と思うが
木の声は聞こえない
 
通りすがりの
見知らぬ人の
流れる風に
心開いていれば
肌はやさしく呼吸している
かもしれない
思い詰めた事情に
固く閉じているなら
空も風も日差しも
あまり浸透できないだろう
 
外と内では
風景が変貌する
このすれ違う見え方は
饒舌と沈黙
普段着と余所行き
いろんな対比に染まる
避けられない別れのようなものだろうか
見るだけではなく
言葉を開き
深く芯の方で感じるならば
境界からいくらか出入りできるか
 
内にいても外にいても
時に たいせつなのは
うさぎのような鋭敏な耳
千里眼のように感応する目
通りすがりの
見知らぬ女(ひと)の
うっすらと化粧の匂い
流れる風に漂っている


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