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ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4659-4662

2023年04月30日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4659
あの峠の向こうでなら
幼子に語りかけるように
言葉は濁りなく無心に流れ出す



4660
こちらの街の通りでは
ことばはいろんなものを探知して
飛び立つ言葉は揺れ揺られ濁ってしまう



4661
ことばは場を意識する
以前に
場に左右されて言葉に影を生む



4662
だから読み聞かれる言葉たちは
文字通りを超えて
その影まで踏み込まれる


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4655-4658

2023年04月29日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4655
造花がリアルに咲く時代
「右」も「左」も
「保守」も「リベラル」も咲いている



4656
葉脈を血が流れていない
造花の言葉たちが
バーチャルな街路をのし歩いている



4657
家族でも社会でも国家でも
何か肝心なところの
傷や衝迫(しょうはく)だけが本質的か



4658
太宰治風に言えば
何か肝心なことが
薄らしていてその文字が読めない


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4648-4654

2023年04月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4648
言葉たちの集結には未完の物語があり
ことばのからだや魂に支えられ
あるいは背(そむ)かれて物語は進行する



4649
遠い世界で大雪崩れがあり
人も国家も崩れ落ちた
そうして空虚な伽藍の言葉たちの物語も崩れた



4650
波及する波及する 世界中が共振する
張り巡らされていた 幻の
対立する言葉群がばらばらと倒れていった



4651
もう今日からは「右」も「左」もあるもんか
血塗られた「革命」という言葉が闇の方に倒れ
言葉はやけのヤンパチ融通無碍?



4652
言葉もまた敗戦の虚脱の中
クレムリンを臨む闇市の賑わいを
昔の言葉の足を引きずりながらゆらゆらとゆく



4653
「資本主義」が(もうこれからは我らの天下)
と思ったかどうか
突っ込まれることなくまた虚構の対立を演じている



4654
「資本主義」にも「革命」にもぼくはイカレたことはなかったが
ただ世界の渦中の言葉たちの
物語にならないちんもくを測り続けてきた


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4644-4647

2023年04月27日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4644
言葉にも寿命があり
いつかは
死に体になり人も離れて行く



4645
打ち捨てられた死語は
かび臭い
言葉の歴史の倉庫に眠る



4646
時折訪れて来るのは
物好きか
言葉の研究者だけ



4647
けれど時には埃を払ってリバイバル
〈スイーツ!〉
みたいな新たな装いで街を歩き出す


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4640-4643

2023年04月26日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4640
言葉もいつかどこかで生まれ
人から人へ
旅をしながら生きていく



4641
人の心の明暗の
スペクトルみたい
言葉にも背負った明暗があり



4642
言葉の舞台を明るくしたり
暗くしたり
うふふと戯れたり



4643
誤用してその読み意味は違うんや
御用!御用!
と責め立てられても澄まし顔


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4636-4639

2023年04月25日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4636
藪を脱け丘を越えて
みどりの道に出る
はる みどりのダンスが聞こえる



4637
微妙な それはびみょうな
言葉じゃないと
掬(すく)い取れないような



4638
小さく波打つみどりは
力みすぎると
言葉の破れ目からするりと抜けていく



4639
はる 集落の向こう みどりのダンス
ダンスダンスダンス
ひかり匂う聞こえる


最近のツイートや覚書など2023年3月 ②

2023年04月24日 | 覚書
 最近のツイートや覚書など2023年3月 ②


2023/03/18
『よつばと!』という言葉に出会って、そのマンガを無料サイトで3話読んできた。おもしろかった。『ちびまるこちゃん』より少し過激そうだが、それと同じ天真爛漫系の作品みたい。私たちの現実は清濁からみ合っていて重たいことも多いが、それを照らす鏡のような作品、また息抜きになるような作品か。



2023/03/20
RT
美術ファン@世界の名画@bijutsufan
ジョン・コンスタブル『麦畑』1816年 クラーク美術館


うわあ、二百年ほど前の世界(のイメージ) に出会えるなんて。まだまだ手仕事中心の時代。

これで連想するのが、数億光年(光で数億年かかる距離)先からの光が現在に届いたとして、観測する私たちは数億年前の過去と数億光年離れた場所で出会っている。上の絵が、同じ地球上でその絵と同じ場所に立てたとしても約200年の時間の隔たりがあるのに対して、光の場合は、

場所からは数億光年隔てられ時間からも数億年隔てられている。それに、距離≡時間みたいに感じられる。やっぱりミラクル。
ついでに、ヤフー知恵袋である問いに対する回答で「すでに到達してる『過去の光』を観測してます。その光の年代は約130億年前の姿~ほぼ現在までの姿が保存されております。」

というのがあった。初めて耳にすることだった。数億年旅してきて届いた光にも何らかの変化や摩耗みたいなことがあるのだろうか。



安倍晋三の二度目の政権投げ出しより前だったと思うが、モーニングショーで「政治評論家」の田﨑史郎が「自民党内で安倍さんが信頼されて力があるのは、選挙に強いからです」という趣旨の話をしていた。その時は、わたしは興味なくふう-んとしか思わなかったが、内から見れば選挙は議員にとっては切実

なもので、選挙を制する力は党内の権威・権力の源だったのだろう。日本会議系-安倍政権-ネトウヨ応援団との認識しかなかったが、実は統一教会(ネトウヨ応援団A)≡日本会議系-安倍政権-ネトウヨ応援団Bとまではまったく思い至らなかった。



2023/03/21
「「新スタートレック」終了から四半世紀! 遂にジャン=リュック・ピカードが帰ってきた!!」って、知らなかった。昔よく観たスタートレックシリーズだが、そのUSSエンタープライズの艦長だったピカード艦長の話『スター・トレック:ピカード』が、最近、作られて放送されているのは知らなかった。

宇宙船USSエンタープライズの艦内では、音声で尋ねるとコンピュータ(AIか)が音声で応答してくれる。(なぜスタートレックを検索したかというとこの確認のためである。)私たちの現在も、それが幸か不幸かは別にして、PCやスマホなどでそれと似た世界を実現している。




2023/03/23
「現代の日本のどこかにあると言われるUQ殿。
その宮殿には女王UQUEENが君臨し、UQに関する様々な取り決めを行っている。
これは、スマホの未来を切り拓くべく奮闘する、QUEENと執事たちの物語である。」
 ( https://www.uqwimax.jp/cm/ )

上のHPにある、2月22日から放送されているという「UQUEEN『お忍び視察』篇」を今日テレビで見かけた。宣伝を司るUQUEENが、市中をお忍び視察しているのがバレてしまうという物語の構成。そして同時にナレーションが加えられたその物語全体が私たちへの宣伝となっている。

CMの観客であるテレビの前の私たちは、そのCMの物語を味わいながら同時にCM(宣伝)として受けとめ感じている。auのCMも物語的であり、「新人さんのあまのじゃこ」篇(au三太郎シリーズ)では興味深い新人(あの)を起用している。CMスタッフは楽しみながら物語を構成し、同時に宣伝となっているのだろうか。

しかし、楽しみながら、同時に宣伝しているということは、前時代のCMであるチンドン屋さんの場合となんら変わらないだろう。ただCMの中の物語は複雑になってきている。そうして、その物語の価値(ウケること)が宣伝価値とうっすらつながっているように見える。




2023/03/24
くびられし祖父よ菜の花は好きですか網戸を透きて没(い)り陽(ひ)おわりぬ

「くびる」には、「ひもなどでくくる」意味があり、まずそこから歌に入ったが、どうも不穏なふんいきがする。調べてみると、「縊る(くびる)」には「首をしめて殺す」の意味がある。
「佐伯の祖父の土肥原賢二は、東京裁判でA級戦犯として裁かれ、昭和23年12月23日に東条英機らとともに巣鴨プリズンで

絞首刑に処された。・・・中略・・・1947年生まれの佐伯は、ひっそりと世を憚るように暮す戦犯の家で育った。処刑の前年に生まれた佐伯には、祖父の直接の記憶はないはずである。「くびらるる祖父がやさしく抱きくれしわが遙かなる巣鴨プリズン」という歌があるが、この時佐伯は二歳に満たないので、実際の記憶ではなく家族から聞かされたものだろう。」
(橄欖追放 東郷雄二のウェブサイト 069:2004年9月 第3週 佐伯裕子)」
とある。

作品から、作者やその時代に分け入って(調べてみる)みないと、現在からはよく見えてこない。強いられた不穏を抱えて作者は生きてきたのだろう。戦犯で裁かれた者もいれば、うまく生き延びて「妖怪」のように政界に生き延びその子供達にバトンを渡した者たちもいた。




2023/03/27
RT
日経BOOKプラス@nikkeipub
多くのAIスタートアップに携わる孫泰蔵さんは、もはや人間はAIと競争してスキルなんて身につけなくていいと語ります。では、どうやって稼ぐのか、どう暮らしていけばいいのでしょうか? その意外な答えとは?


能力の「リスキニング」などを私たちに脅迫的に迫ってくる、現在の社会の「能力主義のメリトクラシー」(註.メリトクラシーは、「業績主義」、あるいは「能力主義」のこと)を振り切って、その後の社会をイメージされている。孫正義の弟さん。AI(人工知能)の普及・深化がもたらす社会革命のイメージが興味深い。

上の文章を読んでいて、坂口恭平君を思い浮かべた。つまり、二人の共通性を感じた。



2023/03/29
ドラマを観ていて、あの人は殺されてしまうかもしれない、なんとか助かって欲しいなと思っても、敵の残虐さを強調するために殺されてしまうかもしれない、あるいは、小さな幸せをすくい取るために生き延びさせるかもしれない。それを決めるのは作者(演出家や監督)のモチーフである。

ドラマの中の作者のモチーフは、現実社会の〈法〉のように絶対的である。あの登場人物はこうしたらいいのにと思っても、作者のモチーフという〈法〉に縛られる。現実社会では〈法〉を破ってしまうことがあり得るが、ドラマの中では、作者のモチーフという〈法〉は絶対であり登場人物は〈法〉を破れない。



詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4632-4635

2023年04月24日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4632
時には日差しを浴びた若葉の
みどりの波揺れる
やわらかな歌をつぶやいている



4633
この大地に生まれたから
善人でも悪人でも
我知らずみどりの言葉を深みに持っている



4634
日々の言葉の不等価交換にうんざりして
折り返してしまい
籔(やぶ)に入り込んだ棘(とげ)言葉もあり



4635
それでも時にはみどりの歌をうたう
気恥ずかしそうに
子どもの頃の色合いで歌っている


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4628-4631

2023年04月23日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4628
「人間社会で大事なことは
コミュニケーション・スキルです!」
(う、うう。うーうーうーうー)



4629
「人間は力を振り絞り
必勝を目指す存在だ!」
(カチって何?尻に火の付いたカチカチ山か)



4630
(エンクロージャーされた
ニンゲン、ニンゲンシャカイ・・・
もっと大きな世界もあるよな)



4631
息苦しい あらゆる大文字の
ゴチック文字には
疑問符を投げつけながらぼくは気ままに歩く


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 4624-4627

2023年04月22日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



4624
コミュニケーション論が大流行りみたい
仕事や学校生活で
現場を代理する者たちが起動する



4625
コミュニケーション論
こういう時はそうして
そういう時はこうしてと手取り足取りしてくる



4626
現場人は困っている
ことが確かに覚えがあるから
胸に手を当て引かれていく



4627
(ぼくは〈コミュ障〉なんだけど・・・
それってマズイわけ?)
と コミュニケーション論の網を脱けていく