回覧板

ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1881-1885

2021年05月31日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



1881
カチカチ山の向こうにも
こちらにも
もう一つのカチカチ物語がある



1882
価値がないと断罪する価値峠には
関所抜けの
反価値や無価値も通りすぎる



1883
価値峠の価値・反価値・無価値
をカチカチ鳴らしながら
価値と無縁に通りすぎる者がある



1884
ちょうど授業中の子どもの
想世界みたい
価値の部屋で価値を超えている



1885
価値峠の麓には価値にまみれて
行きつ戻りつ
「あどけない空の話」の足裏がある

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1877-1880

2021年05月30日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1877
アッドオッドノッド
付け加えることもふしぎも
うなづくこともなく意味もなくつぶやく




1878
少年の日意味もなく
棒を振り回していた
無意味の意味というのはありそうだ




1879
意味がそれではと引き返す
そこから始まる
意味もなくの階段がある




1880
意味もなく一段二段と
下りて行く
言葉の肌に風が寄せている

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1874-1876

2021年05月29日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1874
あ 忘れ物しちゃった
(ま いいか)
なんとかなるだろう たぶん



1875
(あ そのことは触れてはいけない)
だったな
ええい ままよ 前に進むしかないな



1876
あ 〈あ〉の一語の峠で戦っている
妥協している
撤退している 感じる見える

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1870-1873

2021年05月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1870
張り詰めなくても瞬時に
織り上がる言葉
〈わたし〉には古い遺伝子も起動している



1871
〈ぼく〉〈俺〉〈自分〉と
手を替え品を替え
ても同じ言葉の海から浮上する



1872
濡れた言葉の葉葉からは
深みから
いくつもの朝の匂いがする



1873
言葉をちぎってもんでみる
あの遠い
村のはじかみの匂う

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1866-1869

2021年05月27日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1866
ひとりとふたりが溶けているから
時には
心は以心伝心する



1867
ひとりとふたりが溶けているから
朝日に照らされて
言葉はやさしい葉を開く



1868
途方もなく深い時間の海から
心も言葉も
ひとりとみんなを実装して瞬時に立ち上がって来る



1869
滴るみずみずしさが
知らぬ間に
心言葉を突き動かしている そんな夕暮れもある

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1861-1865

2021年05月26日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1861
くよくよしても始まらない
病気やケガや
身体の不自由になる前に 黒雲



1862
黒雲ばかり見つめていると
黒くなる
心を抱えて言葉の森をさ迷う



1863
暗い不毛の森で
きみは出会うんだ
金剛石みたいに堅い不動の言葉に



1864
言葉も神も超えた
名づけようもない
世界内 われらは日々泳いでいる



1865
その時はその時さ 折り返して
じっくり考えればいい
くよくよしても始まらない 

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1857-1860

2021年05月25日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1857
『スタートレック』の転送装置みたい
瞬時に
幻の岸辺に立つ 言葉の旅程が始まる



1858
後は人力で言葉の手足を
動かして
言葉の舟を操(あやつ)っていく



1859
霧が出ている水草もまといつく
まだ気配の言葉に
どこからか沈黙のアナウンスがある



1860
〔水草ハ絡ミツク棘モアル
手デ払ウト痛イゾ〕
という趣旨の稲妻が走る

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1852-1856

2021年05月24日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ




1852
確かに前を見ている
けれども
ぼんやりしていることはある



1853
先生に叱られる少年も
職場で
注意されている人もまた



1854
次々に繰り出される言葉の
力線に
乾いた言葉か沈黙で迎え撃つ



1855
別のクリアーな流れに浸かって
じいっと
自分の身も心も抱きかかえている



1856
そんな踏み固められた世界が
ひっそりと
言葉の街の裏手にはある

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1847-1851

2021年05月23日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



1847
静かな夜中 ひとり
微かな
世界の物音に耳を澄ます 脱



1848
大きな流れの面があり
誰もが 脱
その流速を背に受けている



1849
流れる 流される
その文目(あやめも分かず
流れ流れる流されるう 脱



1850
片付くことがないほど
次々に
感じ考えるものが現れる 脱



1851
わかっていても抜けられない
しがらみ
からみからむからむーちょ 脱

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 1843-1846

2021年05月22日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



1843
「黙っていたらわからないじゃない」
に呼応するでもなく
今では自然に言葉が流れ出す



1844
はた目にはわかりにくいけど
言葉への無数のいとは
等質ではなく強弱・pHもある



1845
張り詰めた大気の中
言葉の岸へ
心イオンたちが泳動する



1846
自分の部屋みたいな
沈黙の海から
いろいろ切り整えて出かけてくる 言葉よ