回覧板

ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5531-5534

2023年11月30日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5531
「嫌いな言葉は何ですか」
(表向きだけが
明る過ぎる言葉かな) ((・・・太宰治ノ 必死ノ格闘))



5532
「イヤな言葉は何ですか」
(元気アタエルとか
元気モラッタかな) ((アノ権威ノ ヤリキレナイ湿地))



5533
「好きな言葉は何ですか」
(西瓜かな
あの緑の肌や蔓や赤い果肉が目の前に浮かぶよ)



5534
「いい感じの言葉は何ですか」
(うーん うそいつわりなく言いたい・・・
言葉の手前の風のようなことばかな) ((ウーン 言葉デ言ウノハ難シイ))


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5527-5530

2023年11月29日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5527
ひとり 子どものように
〈もの〉を見る 触れる
もちろん心の内にさざ波立つ



5528
〈もの〉は 触れても
揺らしても
静かだ 静かなままだ



5529
同じ場にふたりいて
ひとりひとり
〈もの〉触れている 街を呼吸している



5530
ひとりひとりでも
互いの内の水面に
反響し 共鳴している ふたり
 
註.「街を歩き外で踊る2人組ダンスユニット。」アグネス吉井の表現を観て。


詩『言葉の街から』対話シリーズ 5523-5526

2023年11月28日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5523
〈ひとり〉が声を挙げる
無人島なら
鳥の声かこだましか返ってこない



5524
ひとりっきりでも
ことばの人は
言葉ゆえにつぶやきも反射する



5525
言葉は双方向のベクトルだ
放たれたら
何かを乗せて返ってくる



5526
そうしてまた違った位置から
つぶやくのだ
同じ言葉でも色合いが違ってくる


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5519-5522

2023年11月27日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5519
確かに〈ひとり〉で生きているのではない
他人と関わり合いながら
それでもひとり生きている



5520
人間世界の囲いの中に
〈ひとり〉は
ひとりひとり生きている



5521
〈みんな〉の影や大いなる自然の影を背に受けて
〈ひとり〉は
人間界の張り巡らされた糸通りを歩いて行く



5522
だからひとり引きこもっていても
ひとりっきりじゃない
いつもふたつの影を背にしている


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5514-5518

2023年11月26日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5514
ひとりの力が ちっぽけに見える
ひとりの力が 大きく見える
そんな矛盾の谷に〈ひとりの力〉は沈んでいる



5515
〈みんなの力〉の作り出した威力
にマレビトを遇するように
ひざまずいて来た歴史のひとりひとりがあり



5516
ひとりとひとりが〈ひとりの力〉
を絞り出す前に
〈みんなの力〉に遠慮する風習があった



5517
ひとりひとりの時代になっても
古い精神の遺伝子が作動して
〈みんなの力〉に道を譲るひとりがいる



5518
もっと気楽にひとりしようぜ
ひとりひとり
そこからしか小さな未知の朝は始まらないからね


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5509-5513

2023年11月25日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5509
〈ひとりの力〉が遙か後方に見えてしまうような
重機の力があり
この世界を削ったり掘り返したりする と信じられている



5510
重機の力は〈みんなの力〉
ひとりひとり結合手を差し出して
〈みんなの力〉≡〈ひとりの力〉が生まれていく



5511
〈ひとりの力〉は〈みんなの力〉の磁場の中
もはや昔の自分ではなく
平板な《ひとりの力》となってしまっている



5512
属する〈みんなの力〉の判断が優先されて
いくつも目をつぶり
昔の〈ひとりの力〉は考える森の奥で眠っている



5513
必ず訪れる凝り固まる対立の丘
を超えていく
のは無糖派無灯派 派の無い 〈ひとりの力〉の無党派だ


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5505-5508

2023年11月24日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5505
ボールを投げる
と ボールが 飛んで・・・行く
ボールは飛んで行ってしまった



5506
〈ボールを投げる〉には
当然に
投げる前と投げている時と投げた後があり



5507
観客たちは投げた後ばかりに駆け寄り
顔の表情や
ボールの球速を知りたがる



5508
人は誰でも日々〈ボールを投げる〉
いつでもどこでも
その全過程には風だけが触れている


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5501-5504

2023年11月23日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5501
柄柄柄ドイタドイタ
殻殻ミヲカタクシテ
コトバノ通リヲ開ケヨ!



5502
土死土死ドス タトエバ
コンナ時ニハ ドス
コンナ風二書クドス



5503
明るく華やかな言葉の通りから
薄暗い言葉の森へ
少し奇妙な音の響きがドシドス流れて来る



5504
目覚めるとにぎやかな言葉通り
スキルやリスキニングの帽子をかぶった言葉たち
が大手を振って歩いて行く (クソッタレ)


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5497-5500

2023年11月22日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5497
祝詞(のりと)の言葉みたい
に書き記される
言葉たちは神々しく輝いていた



5498
それが今やどうしたことか
言葉はスピード感の大量生産
過剰に生産され続けては通りで踏みつけられている



5499
世界よ ことばの人よ
言葉の中の 外へ伸びる触手たちや
小さな火は 深みに埋もれてしまったか



5500
漢語からカタカナ語へ
時代は反転しても
言うにいわれぬ祖語の翻訳は難しい


詩『言葉の街から』 対話シリーズ 5491-5496

2023年11月21日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 対話シリーズ



5491
他人のいる場で言葉が出ないことがあり
その場に流れる言葉の色に
なんとか翻訳するのも難しい



5492
そんなことは誰にもありそうで
齟齬(そご)を抱えて
祖語の森を沈黙が歩いて行く



5493
そんな時 ぼくの言葉
きみの言葉
この列島に伸びている言葉たちよ (その下での)



5494
好きな歌にのせて歌ってみるか?
でも歌の言葉じゃない
外来の書き言葉が神々(こうごう)しくカッコよさそうだ



5495
(このきもち 書き記すには漢語にのせる外ない?)
〔うまくのって輝いてくれるかな?〕
[ロデオの暴れ馬に振り落とされてしまうか]



5496
(あの多様にうごめく大陸の匂い
一筋の固い漢詩と読んでしまう)
[柔らかな恋愛詩なのにね]