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ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

画像・詩シリーズ #15 田んぼの現在から

2024年09月07日 | 画像・詩シリーズ
画像・詩シリーズ

#15

 田んぼの現在から

植えられた稲の苗が
静かに風に吹かれている

上の田んぼから流れ込む水
と下の田んぼへ流れ下る水
考え出された長年のシステム
ぴいんと張られた水の中
稲も日々育っていく

見てはいないけど
この稲は
手植えではなく
田植え機械によるものだろう
なぜなら現在は
ほとんど機械による田植えになってしまったからだ

数年前のニュースでは
人工衛星を通してコントロールし
無人で田植えなどができるそうだ
そういう動向は止まることはないだろう
あるいは
稲作に土は要らなくなる
もあり得るかもしれない
そうして
種蒔きから収穫まで
現在と違ってどんなに高度化していっても
生産する人と それを眺める人と
単なる仕事 単なる収入
を超えて
(いい風が吹いてるな)
(ああ よく実が入っているぞ)
柳田国男が発掘した
農の感動のようなもの
の中に人がしばらく立ち尽くす
それは止むことがないだろう 






詩『言葉の街から』 マイ世界論シリーズ 70-73

2024年09月07日 | 詩『言葉の街から』
詩『言葉の街から』 マイ世界論シリーズ



70
風はずっと吹いていた けれど
今 ここで
ぼくは初めて今日の風に触れる



71
外に出てネコのように
風の匂いを嗅ぐ
今日の何か小さなはじまりがある



72
言葉のからだが踏み出していく
一、二、三・・・
言葉の芯が小さく歪(ひず)む



73
ヒートした言葉の終わりには
歪みを修正するように
自然と言葉のからだが身を解(ほど)いて振り返る