最新の審美&インプラント日記

天王洲アイル・天王洲インプラントセンター 小川勝久先生による審美とインプラント治療の日記と情報

ちょっとまじめに。EBMについて知っておこう。

2014-12-03 12:27:27 | Weblog
先日、カナダから 『 前歯のインプラント 』について治療の相談メールがありました。今日も、前歯を失った女性からも、『 ブリッジかインププラントか 』という問い合わせがありました。
以前にもブログにも書きましたが、インプラントが絶対に良いわけではありません。骨に穴を開ける手術ですし、まして、歯槽膿漏や大きな虫歯で歯を失うので、見栄えを良く治すには、骨の移植や歯肉の移植が必要な事が多いのです。
反面、ブリッジは、たしかに両隣の歯を削ったり、3歯分の噛み合わせを2つの歯で支えるので負担も大きくなります。
しかし、だからといって、『ブリッジよりインプラントが良い』という事ではないのです。

ここからちょっと真面目にお話すると、医師も患者も、『根拠に基づいた医療』(EBM:evidence-based medicine)の下で医療を行われる事が重要です。その上で、このEBMで、『1歯を失った時、インプラントがブリッジよりも勝る』というエビデンスも医療的根拠もじつは無いのです。
*歯科医の先生方にも真摯に考えて欲しいのですが、日本補綴歯科学会の歯の欠損のガイドラインにもこの事は記載してありますので、よく読んで頂ければと思います。

また、5年経過の予後で、ブリッジとインプラントの生存率ではほとんど差はございません。たしかに10年以上の経過を診るとブリッジの生存率は70%ちかくになってしまいますが、もし、インプラントで失敗が起こった場合には大きな問題を引き起こす可能性もあります。

この写真は、インプラントではなく、接着性ブリッジです。隣の歯を大きく削ること無く、外科的侵襲も少ない方法です。
*でも、歯肉は移植して増やしていますし、CADCAMのジルコニアで作っているので保険給付では行えません。
たしかに外れることもあるかもしれませんが、外れてもまた付ける事もできるのです。なによりも骨に穴は開けないし、健康な歯も削ることはない非常に優しい治療法です。

どの方法を選ぶかは、その患者さんごとの臨床所見(状況)や患者の要望(患者さんご自身の思い)を踏まえて、担当する医師の技量(腕や経験)を選んで治療を受けてください。

PS 歯科医の先生へ ブリッジ寿命や欠損のガイドラインの引用文献を知りたい先生はご遠慮なくお問い合わせください。

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