最新の審美&インプラント日記

天王洲アイル・天王洲インプラントセンター 小川勝久先生による審美とインプラント治療の日記と情報

インプラント治療でミスが起こったら。

2006-03-29 18:16:29 | Weblog

WBCで、今江(ロッテ)3塁の落球が一因し、韓国に敗戦した。その後、第三戦目、名誉挽回となるヒットも打って、日本は韓国戦に勝利し、世界一となる事に繋がる。
日々練習を重ね、血の滲むような努力をして勝ち得た‘技術’でも‘ミス’は起こる。「このまま日本に帰ったら、居場所が無い」と語った、今江の言葉は本心だったろう。

医療も、歯科治療の現場でも‘ミス’は起こる。こんな事を書くと、患者さんには不安や不信をあたえてしまうかもしれない。友人の歯科医や医師から怒られるかも。
問題は、ミスを防ぐ事が、最も重要な事である。が、本当は、‘起こった後’ではないでしょうか。インプラント治療に関わる外科手術では、‘完璧’を追求しても、正確なCTを撮っても、最善の材料と最新の器具を使っても、ミスは起こる。

この数ヶ月、他院からのインプラント治療での転院の希望の患者さんの相談にのる事が数件あった。正直、僕もミスはある。他院での‘上手く行かない’事例を診ると、僕も自分自身と思って反省しながら診察や助言を患者さんにお話させて頂く。
しかし、僕は自分への戒めを含めて、患者さんに有益な事を一番に考えるようにしている。これは、決して他院を批判することでも無いし、他の医師のミスを指摘するものでもない。例えば、他院のミスを指摘して、問題を大きくし法的な解決を進めるものではない!。時として(以前)、他院でのインプラントの事例で、弁護士同伴で当院に来院された患者さんもいた。弁護士さんでは、その不具合やミスを基本的に解決できないと、僕は思っている。と言うより、僕の思う解決は‘患者さんが上手く歯は入って、美味しく食べ物が食べられ、美しい笑顔を取り戻す事’と思う!

子供のころ読んだ漫画‘巨人の星’で、主人公の星(星飛馬)は、二軍の試合中、落球するが、審判は「アウト」の判定をする。しかし、星は、自ら落球を認め、結果試合には負ける。同僚や敵からは嘲笑われるが、川上監督は「馬鹿正直こそ尊い」と、失意の星に助言する。

上手く、このブログを読んでくれる患者さんや歯科医、先輩に、私の思いが伝わるかチョッと心配であるが、私の治療計画書の最後の言葉は「何か問題が生じた場合には真摯に対応する事をお約束します。」と記入している。
僕は、医師がミスを認めるのは、辛い!苦しい!本当に悔しい!!でも、正直に事実を認めることで、解決への光がはじめて見えるものと信じている。
正直に謝って、誠意を持ってお話をして、ご理解とご容赦を得る事以外に道は無いと思う。


前歯への審美的インプラントを希望の患者さんへ その2.

2006-03-23 14:59:59 | Weblog
前歯のインプラントが「なぜ、難しいか?」という疑問や質問に、もうチョッと詳しくお答えさせて頂きます。

まず、上前歯の埋まっている位置は、骨の中央でなく、外側(唇側)に埋まっているのです。ということは、外側の骨は薄いのです。正確には0,6mmくらいしかありません。歯を抜いたり、歯槽膿漏に罹ると、その薄い骨は簡単に溶けたり、痩せたりしてしまう為、インプラント理想的な位置に埋入することが大変難しいのです。
また、骨がやせると骨の形状が変化する為、インプラントが斜めに傾いて埋入されてしまう事につながります。そうなると、出っ歯になったり、長い歯になったり、歯肉が大きく痩せたりしてしまうのです。(インプラントとインプラントの距離も理論的に決まっていて4mmの間隔をあけることや、自分の歯との距離も2mmあけないと歯間乳頭の再建はできないのです。)

それと、骨が痩せると同時に歯肉も痩せるので、インプラントが埋入された分の歯肉を増やしておく事が、審美性を確保するのにとっても重要な事なのです。その為に、歯肉の移植や再生といった手術や治療を行なわなければなりません。
無論、CT撮影はもとより、治療計画や診断用ワクシングといった治療前のシュミレーションをしっかり立てて、患者さんに理解とご協力を求めていかなければなりません。

さらに、従来のインプラント治療は、奥歯や入れ歯の治療に対してデザインされたものが多く、また、術式や考え方が、日々変化し、新しい器具や材料も進歩しているので、私たち専門医は、常に勉強して技術を習得に努めていないといけません。

なので、くどいようですが、前歯でのインプラント治療や、奥歯でも審美的な形状や自然感を求める場合には、主治医の先生に、主治医の先生が行なった前歯のインプラントの結果を見せて頂き、本当にできるのかどうかを、聞いてから、医院や医師を選んで治療を受ける事が大切です。

PS 私や私の医院は、‘審美的な領域でのインプラント治療 模型実習&手術見学’という研修や講義を定期的に行ない、経験の浅い医師やこれからインプラントをはじめる先生の教育(日本歯科医師会 生涯研修認定)や指導を行なっております。
次回は6月4日日曜日10時~。午前中講義&模型実習、午後 実際の手術見学と検討会、という内容です。受講ご希望の先生は、http://www.itx.co.jp/events/contents/seminar_advance.shtml#08 ないし当院へお問い合わせください。

前歯への審美的インプラントをご希望の患者さんへ。

2006-03-15 10:43:06 | Weblog
この数ヶ月、‘やりがいのある’(難しい!)患者さんばかりを診ている。インプラントでは前歯の骨移植を行なう患者さん、骨が薄く大掛かりな外科を必要とする人。あるいは、全ての歯を仮歯にしたり。審美治療では新幹線で通医院さえている方。等、私や当院を選んで頂き光栄なのです。
その反面、キャンセルや日程の変更が多く、私を含めスタッフの心のゆとりが無い日々です。本当は、この一ヶ月、詳しくはお知らせ出来ないのですが、今、本を書いていて(恋愛小説ではございません、歯科治療の専門書です)、原稿の締め切りが迫っていてるのです。
でもって、土曜日曜は、相変わらず無く!学会や講演、当院での研修を含め忙しくしています。

骨移植や歯肉の移植や今年になって多く、特に前歯へのインプラント治療にかかわる手術の依頼が多いように思います。
そんな患者さんの為に、ちょっとアドバイスを。
1.歯を抜くと支えていた骨は痩せて治るので、インプラントを行なう時期や手技を選ばなくてはなりません。(抜いて、そのまま放置すると半分以上の骨はなくなってしまいます)
2.前歯の骨は、とても薄い場合があるので、骨の補填が必要な場合があります。
3.女性に多いのですが、歯肉が薄い人は、歯肉が痩せてしまう事があるので、歯肉の移植が必要な場合があります。
4 歯と歯の間の歯冠乳頭と呼ばれる三角形の歯肉を再生する事は可能です。が、その為には、インプラントを植える位置や角度やご自身の歯との間隔がとても重要です。
  正確な診断とピンポイントでのインプラントの埋入技術が必要です。
5 審美的なインプラントの為には、外科の手技だけでなく、細かなセラミックの手技や知識も必要です。
6 インプラント治療をされている先生は沢山います。が、前歯へのインプラントが出来る先生は少ないのです。(骨の移植や歯肉の移植のテクニックを行なえる先生は少ないという事)

患者さんご自身のご希望や要望を、主治医の先生に細かく伝え、その主治医の先生が‘実際に前歯のインプラントをしたことがあるのか’や‘主治医の先生の治療結果’を見せてもらった方が確実だとおもいます。
―本当に前歯へのインプラントは難しい―という事を知って頂ければ幸いです。

PS 写真のように周囲の歯肉や形態と理想的に調和させるように手術することが大切です!!