22日の臨床写真に、多くのブログ読者の質問があるようなので、治療内容を解説してみます。(一般の読者にはチョッと難しいかもしれませんが、読んでみてください。写真は術前と術後のレントゲン像です。)
患者さんは30代前半の女性、インターネットでの治療相談でご自身のお悩みをご相談され、来院されました。初対面での印象は、マスクをして顔を伏せ、不安で全身を覆っているようでした。
重度の歯周病に罹患し、適切な治療や衛生指導を受けていない事から、口腔内環境は残念ながら不良な状態であり、精神的なケアーの必要性からカウンセリングにおいても、患者さんのお気持ちや今までの医療の経緯を十分に察し、慎重にお話を伺いながら治療方法を模索しました。
本来であれば、まず第一に、口腔衛生指導やその必要性を十分に医師と歯科衛生士とで行い、患者の信頼や協力を得て、歯周病の初期治療から進めていく事となります。しかしながら、この患者さんに限っては、口腔衛生指導の重要性を含めブラッシング指導は行ったものの、本格的な歯垢、歯石の除去等を行うことは非常に難しい状況でした。
さらに、スタディーモデル作成のための印象採得もできず、咬合関係の記録やスタディーモデルからの診査も行うことが出来ませんでした。
そこで今回は、口腔内写真とパノラマレントゲンからの情報に加え、CT(コンピューター断層撮影)から得られた各位置方向からの断層画像に加え、立体的3D画像の構築を行い、その立体的3D画像から、保存的治療を選択した場合の将来の治療後の予治性やパーシャルデンチャー等の取り外し式義歯の問題点、インプラントを応用した場合の外科的課題や補綴形体を検討しました。特にインプラント治療を選択した場合では、最終的補綴設計から外科的埋入部位や角度に補綴的考慮を加え、必要なインプラント本数と形状を踏まえ、治療計画や治療方法を検討しました。
一般的には大掛かりなインプラント外科手術時にはCTから得られた情報を元に的確な埋入位置や角度を検討し、最適なインプラントを選択して、その上でサージガイドを製作して手術を行う事となります。しかしながら今回は、抜歯前のCTであり、また、骨整形の必要性から、シンプラントからサージガイドの製作を行い、3D画像から埋入位置や角度を模索し必要なインプラントの種類と本数を検討して手術に当たりました。
実際の手術時では、抜歯後、直ちに骨整形と軟組織の整形を行い、その後、前述した方法からインプラント埋入をおこないました。埋入にあたっては、抜歯部では初期固定を考慮しアダプテーションテクニックを用い、前歯部では口蓋側の骨量にインプラントホールの形成を行いました。また、自家骨移植を併用し、骨量の少ない上顎臼歯部ではソケットリフトや傾斜埋入を駆使しました。埋入の位置とインプラント形態や本数は、最終的には骨質、骨量を十分に踏まえ、顎骨の撓みや上部構造の設計、下部構造の3分割と言った補綴的見地の検討を加えて決定し、上顎に9本、下顎に8本のITIインプラントを配置しました。
なお、麻酔医との連携を行い、静脈内沈静法による全身管理を併用し上下共に1回で、残存している全ての歯を抜歯し、及び骨整形、インプラント埋入手術を適応した。
その後、上下共に通法により印象採得を行い、上下固定性の治療用インプラント義歯(上顎は6本のインプラント。下顎は4本のインプラントで支えている)を作成した。この治療用固定式インプラント義歯から、咬合平面の位置をはじめ、個々の歯の大きさ、形態、を顔貌や口唇に調和するように修正を行い、患者さまの要望や技工士の意見も取り入れ、最終的上部構造の全体像を模索しました。
完成した下部構造上で、前歯部の形態や位置、大きさを口唇や顔貌との調和を計り、歯頚部の調整や支台歯部の角度の修正を行い、再度、正確な咬合関係の採得を再度おこないました。
下部構造の歯肉の部位には、ハイブリッドセラミックスを応用することで失われた歯周組織の形態や歯間乳頭部部の繊細な形態と色調を再現し、個々のセラミックスは全てオールセラミックスとし、生理的咬合面形態はもとより、自然な色調と細かな形状を再現しました。
~ 重度の歯周病に罹患し、多くの歯の抜歯を余儀なくされた場合、歯周病の初期治療を踏まえ、患者自身の歯の温存を第一に考えていかなければなりません
しかしながら、咬合機能の回復や、その予治性を十分に検討し、さらに審美性や精神的考慮を苦慮したばあい、今回のようなインプラント治療のその役割と恩恵は大きく、失われた咬合の回復のみならず、得られた精神的な喜びは計り知れないものがありました。 ~
患者さんは30代前半の女性、インターネットでの治療相談でご自身のお悩みをご相談され、来院されました。初対面での印象は、マスクをして顔を伏せ、不安で全身を覆っているようでした。
重度の歯周病に罹患し、適切な治療や衛生指導を受けていない事から、口腔内環境は残念ながら不良な状態であり、精神的なケアーの必要性からカウンセリングにおいても、患者さんのお気持ちや今までの医療の経緯を十分に察し、慎重にお話を伺いながら治療方法を模索しました。
本来であれば、まず第一に、口腔衛生指導やその必要性を十分に医師と歯科衛生士とで行い、患者の信頼や協力を得て、歯周病の初期治療から進めていく事となります。しかしながら、この患者さんに限っては、口腔衛生指導の重要性を含めブラッシング指導は行ったものの、本格的な歯垢、歯石の除去等を行うことは非常に難しい状況でした。
さらに、スタディーモデル作成のための印象採得もできず、咬合関係の記録やスタディーモデルからの診査も行うことが出来ませんでした。
そこで今回は、口腔内写真とパノラマレントゲンからの情報に加え、CT(コンピューター断層撮影)から得られた各位置方向からの断層画像に加え、立体的3D画像の構築を行い、その立体的3D画像から、保存的治療を選択した場合の将来の治療後の予治性やパーシャルデンチャー等の取り外し式義歯の問題点、インプラントを応用した場合の外科的課題や補綴形体を検討しました。特にインプラント治療を選択した場合では、最終的補綴設計から外科的埋入部位や角度に補綴的考慮を加え、必要なインプラント本数と形状を踏まえ、治療計画や治療方法を検討しました。
一般的には大掛かりなインプラント外科手術時にはCTから得られた情報を元に的確な埋入位置や角度を検討し、最適なインプラントを選択して、その上でサージガイドを製作して手術を行う事となります。しかしながら今回は、抜歯前のCTであり、また、骨整形の必要性から、シンプラントからサージガイドの製作を行い、3D画像から埋入位置や角度を模索し必要なインプラントの種類と本数を検討して手術に当たりました。
実際の手術時では、抜歯後、直ちに骨整形と軟組織の整形を行い、その後、前述した方法からインプラント埋入をおこないました。埋入にあたっては、抜歯部では初期固定を考慮しアダプテーションテクニックを用い、前歯部では口蓋側の骨量にインプラントホールの形成を行いました。また、自家骨移植を併用し、骨量の少ない上顎臼歯部ではソケットリフトや傾斜埋入を駆使しました。埋入の位置とインプラント形態や本数は、最終的には骨質、骨量を十分に踏まえ、顎骨の撓みや上部構造の設計、下部構造の3分割と言った補綴的見地の検討を加えて決定し、上顎に9本、下顎に8本のITIインプラントを配置しました。
なお、麻酔医との連携を行い、静脈内沈静法による全身管理を併用し上下共に1回で、残存している全ての歯を抜歯し、及び骨整形、インプラント埋入手術を適応した。
その後、上下共に通法により印象採得を行い、上下固定性の治療用インプラント義歯(上顎は6本のインプラント。下顎は4本のインプラントで支えている)を作成した。この治療用固定式インプラント義歯から、咬合平面の位置をはじめ、個々の歯の大きさ、形態、を顔貌や口唇に調和するように修正を行い、患者さまの要望や技工士の意見も取り入れ、最終的上部構造の全体像を模索しました。
完成した下部構造上で、前歯部の形態や位置、大きさを口唇や顔貌との調和を計り、歯頚部の調整や支台歯部の角度の修正を行い、再度、正確な咬合関係の採得を再度おこないました。
下部構造の歯肉の部位には、ハイブリッドセラミックスを応用することで失われた歯周組織の形態や歯間乳頭部部の繊細な形態と色調を再現し、個々のセラミックスは全てオールセラミックスとし、生理的咬合面形態はもとより、自然な色調と細かな形状を再現しました。
~ 重度の歯周病に罹患し、多くの歯の抜歯を余儀なくされた場合、歯周病の初期治療を踏まえ、患者自身の歯の温存を第一に考えていかなければなりません
しかしながら、咬合機能の回復や、その予治性を十分に検討し、さらに審美性や精神的考慮を苦慮したばあい、今回のようなインプラント治療のその役割と恩恵は大きく、失われた咬合の回復のみならず、得られた精神的な喜びは計り知れないものがありました。 ~