最新の審美&インプラント日記

天王洲アイル・天王洲インプラントセンター 小川勝久先生による審美とインプラント治療の日記と情報

高精度光造型システム(Solid Creation System)を駆使した医療用光造型モデル

2005-09-29 17:53:06 | Weblog
医学の進歩には当事者の私も驚かされる。最新医学の技術では、CT(コンピューター断層撮影)やMRIからのデーターを立体造型装置によって、生体内の骨格や血管や臓器を、原寸大で‘手にとって見る事’ができるのである。つまり、目では見えない、患者さんの骨や臓器が実物大モデルとして再現できるのである。
私の医院では、東京渋谷のメデキャルスキャニングというCTとMRI専門機関と医療連携し、最新鋭CT撮影を行い、そのデーターからDENKEN(株)の高精度光造型システム(Solid Creation System)を駆使し医療用光造型モデルを作製しています。
http://www.denken-eng.co.jp/system/systemtop.html
これによって手術のシュミレーションが正確に行なうことができ、骨が溶けている形状や大きさが、まさに手にとって判り、治療上の問題点やその解決方法を検討し、練習までできるようになっているのです。
(歯科医のみなさん! サイナスつまり上顎洞の内側から骨形態を見た事ありますか?この光造型モデルでは、サイナスの内側の骨形態も正確に再現できるのですよ。ホントびっくりです!
インプラント治療において、最も大切なことは‘安心’でしょう。この安心に為には、手術前に、その手術と全く同じ状況のシュミレーションやそのトレーニングは必須です。従来、今でも、私たち医師は、患者さんで‘経験’という名の練習を重ねていることに、真摯に向き合わなければなりません。
10月23日、横浜パシフィコで開かれる国際学会では、この光造型システムを応用したインプラント治療について、私の医院で実際に行なった手術のビデオや資料を基に1時間30分の講演を行い、今後、多くの歯科医師や医院がこのシステムを知り、取り入れることができるように願うばかりです。

PS 昨日はスウェーデンのブローネマークセンターに留学していた口腔外科専門医の赤間先生と、麻酔専門医の岡本先生と私の3人で上あご犬歯の部分の骨が大きく溶けて欠損している患者さんへの自家骨(患者さんご自身の骨を、他の部位から取ってくる)移植手術でした。約2時間の手術でしたが、今日診ると、思ったほど腫れも無く、安心しました。

帰国2時間後の治療、、、。

2005-09-27 14:28:41 | Weblog
いやー疲れた!!
ミラノ~成田間は12時間。チョッとしたトラブル(キャンセル待ちの手続きが上手くいかず)から帰りの機内は散々でした
ようやく、26日月曜日朝9時35分成田着。10時、免税の緑のカウンターを抜けて、タクシー乗り場へ。携帯から、「チョッと遅れる!」との連絡を診療室へ。11時15分、診療室へ。インプラントの上部構造のセラミックを完成させる治療のMさんから。上の前歯の2本のインプラントを3ヶ月前に骨移植と同時に行い、他の犬歯や前歯を含め7本のセラミックのセット!!(昨日まで、イタリアで見ていた治療と同じ治療だったので、テンションは高く!技工士にいろいろ注文を。)チョッと噛み合せの調整の必要がありましたが、ほぼパーフェクト!
12時のNさんは14日にインプラント手術を行い、今日は糸をとって。もう一人のNさんは、奥歯へのセラミックの詰め物のセット。
お昼休みには、隣のビルのサウナに駆け込んで、リフレッシュ! ですが、ほとんど機内で眠れなかったので、あまりサウナで身体を温めないようにして、水風呂へ。
午後は、イギリスから来ているTさんの型取り、今週金曜日までに作らないと。アメリカ人のM氏には英語で歯周病の治療説明。SさんとOさんは奥歯へのセラミック冠の型取り。ナイキのTさんは矯正のワイヤーを調整して。銀座のおねえさんのTさんは奥歯の根の治療、等、、。
ミラノから朝ついて、これだけ治療できれば、十分通勤範囲。(笑い!)
うーん、ただ、夜は8時には寝てました。ホントに疲れた

PS ミラノのドウモ(大聖堂)は素晴しいの一言。大理石を積み上げて作った世界最大の芸術品でしょう。中はこれまた、美しいステンドガラス!光がこぼれる中には蝋燭の明かりが灯り、思わず息を呑むほど。
でもって、外のガレリアも。まあ、言い尽くせないので、皆さん行ってください。

Willi Geller のセラミックトリートメント

2005-09-25 06:41:11 | Weblog
ベローナでの23日金曜日の講演でFradeani先生は、補綴治療での治療設計を事細かに診断し、治療目標を究極まで追い求めその中の一つに審美としての一面があると私は理解して講演を聴いた。プレゼンの綺麗さも含め、そのテクニックはとても参考になることが多かった。薄いグレーのスーツの似合う伊達男で‘リチャード ギア’みたい!
だが、もっとカッコ良かったのは、、Willi Geller先生!とにかく、あの治療は何って感じ。上手く説明できないが、現在、日本では、前歯が虫歯になったり,欠けたりした時は、オールセラミッククラウンやラミネートベニアと呼ばれるセラミックの被せ物や付け爪のような治療があのような治療が、最先端の審美歯科治療である。しかし、彼の作り出す、チョウ薄いセラミック(Creation Porcelain)は、まさにMinimal invasive restoration ! このような治療が存在することを知らなかった(ホント、情けない話。)。疑問だらけ。ホント!患者の皆さんはもちろん、歯医者さんや技工士のみなさん!! 見てみて、見たら僕の感動が伝わります。うーん。コンタクトラミネートも凄いけど次元が違いすぎて説明できない。
美しすぎて、審美とかの次元ではないのです。神の業!とでも言うべき治療でした。
思わず、パーティの会場で、「写真を一緒に撮って頂けますか」って言っちゃいました。診療室にWilli Geller先生との写真は飾っておくので、ぜひ見に来てくださいね。
日本からは原宿で開業している山崎先生が、これまた素晴らしい治療を紹介し絶賛を受けていた。
さて、ベローナでの学会会場はArena(円形闘技場)の前で、大理石で囲まれた美しい会場でした。Arenaを挟んで学会会場の反対側の裏に、ロミオとジュリエットの物語の舞台があって、ジュリエットの家も見ることができました。蔦の絡まる13世紀の建物で、大理石のバルコニーからロマンを夢見ることができて感動! 
映画(オリビア ハッセー とレナード ホワイティングの主演)は、僕が中学生の時で、あの時の,なんともいえない可愛いジュリエットを思い出しました。
でもって、スパゲッティーは最高に美味い。ボンゴレ!ビアンコ!チョウ美味い。さらに美味しかったのは、蟹のリゾット。CT(コンピューター断層装置)の会社の会長にご馳走になった郊外の丘の上のレストランでは、これほど美味しいシャンパンは飲んだことがなかった。4種類の赤ワインも全て美味しく、飲みすぎ!
イタリアって本当に美しく、綺麗な町ですよ。一言で言うと大理石の町って感じ。それと、イタリア人は男の人がお洒落!!!!とにかくカッコいい。叔父さんもカッコいい!のです。それにくらべて、、、僕は、、、、。でもまあ、オレンジ色(皆にアホ!っていわれそうですが。)のオペ着を買ったのでチョッとはカッコいいかも。
皆さんもぜひ、チャンスがあったらミラノ&ベローナへ行ってみてください!!!
では。Grazie!!!

ロミオ&ジュリエットの舞台 ベローナへ

2005-09-20 20:39:20 | Weblog
北イタリア ミラノとベネチアの間に位置するアルプスの麓にベローナはあります。
中世ヨーロッパのゴシック式の教会やロマネス式の歴史的建造物も多く残る都市で、ロミオとジュリエット(シェイクスピアの悲劇)の舞台でもあります。
22日木曜日、23日金曜日に、このベローナで、ヨーロッパ審美歯科学会(ECO)が開かれます。会長のDR Mauro Fradeani 先生は審美歯科ではスパースターで、その著書からは、まさに芸術とも思える医療や技術が垣間見えるのです。
彼の審美歯科に対するその分析の細やかさや診断用ワクシングやセラミック治療のノウハウを見てくることが、今回の第一の目標です。Fradeani先生はジョバノビッチ(サーシャ)先生の友人で、彼らのインプラント治療の審美もとてもすばらしく、本には出ていない‘実際やその後’も見てきたいと思っています。
私は、明日21日(火曜日)から、このECOに参加の為、イタリアに行って、26日(月曜日)の早朝に帰国し、11時から診療をします。
今回も、世界のトップ医療の技術はもちろん、考え方や理論背景も含めて、しっかり勉強してくるつもりです。が、多くの患者さんにはご不便やご迷惑をお掛けします。ご理解とご容赦を頂ければ幸いです。

さて、昨日(19日)の関東地方は晴天に恵まれましたよね。中三の息子と二人で、波乗りに行ってきました。湘南(江ノ島)は穏やかな波で、いわゆる‘膝腰’(ひざ こし)という初心者には最高の波でした。息子の板にもワックスを塗り、リーシュを足に巻き、朝の海へ。
裸で入るにはちょっと冷たかったですが、すぐに慣れ、秋を惜しむ最後の日差しの中で楽しんできました。午後には上がって、海岸通りのイタリアンレストランへ。テラス席で日焼けを楽しみながら白いワインとコーラで乾杯!
お陰で、今日一日は、体がグチャグチャ(首と肩が筋肉痛!)でした。

PS ベローナからの美味しいパスタ&ワインの報告もお楽しみに!

インプラント治療の練習は?&徒然草

2005-09-17 21:49:39 | Weblog
野球選手だって、ゴルファーだって、いきなり試合に出て良い結果は残せませんよねえ。ホームランを打ったり、良いスコアーを出すには、練習は欠かさないでしょ。素振りや相手ピッチャーの球種やコースをビデオに撮ったり、データーを揃えて、研究、コースを確認しますよね。
医師も一緒なんです。インプラント治療において今までは、骨の形態や状況、神経との距離関係とかは、レントゲンやお口の型を取って検討していました。
近年、CT(コンピュータートモグラフィー)の開発や3D画像からイメージだけでなく、患者さん固有の骨の状態を‘光造形’によって実物大に再現できるようになりました。この最新の‘光造型モデル’を応用すると、どうなるか?
つまり、患者さんの手術の練習(シュミレーション)が出来るのです。この光造形モデルは‘ハンスフィールド値’(骨密度)も含まれるので、骨が柔らかいとか、実際の骨の幅や骨量が、手にとってわかるのです。また、この‘光造形モデル’にインプラントを入れてみたり、骨移植を行ない、手術時にどんなことが起こるのかも想定できるものです。
今月末に難しい骨の移植の患者さんが2名おり、その患者さんの為に、この最新の‘光造形モデル’を作製し、手術のシュミレーションを行いたいと思っています。

さて、最近読んだ本で、チョッと良い話が載っていたので、ご紹介しますね。渡辺淳一の‘手書き作家の本音’というエッセイ集。
この中の、「夏果てて秋くるにはあらず」(徒然草の中の一節)というエッセイには、まさに、今。今が書かれています。季節の変わり目も‘五感’を研ぎ澄ませていれば、夏の中にも秋は見えるということですが、これは、人生や仕事にも言えると作者は述べています。
~ 人生や会社、が隆盛の時にも、徐々にひずみや問題点が出始めていることも。でも目先の‘良さ’に目を奪われて、そのひずみや問題点が大きくなって、気がついた時には、すでに遅し、、、 ~
夏果てて秋くるにはあらず! いろいろな事を考えされられる言葉ですが、皆さんはいかがお考えでしょうか

審美を優先の抜歯即時埋入インプラント

2005-09-15 09:57:05 | Weblog
従来インプラント手術では、抜歯後、歯肉の治りや骨の安定を待ってインプラント埋入手術を行っていました。しかしながら、骨や歯肉は‘痩せて治る’つまり、歯を抜歯すると、その歯を支えていた骨は日に日に痩せていき、それに伴って歯肉も痩せてしまうのです。
なので、審美的には、骨が痩せる前にインプラントを埋入する方法が推奨されています。

さらに、一般的には、歯肉を開いて、骨を明示して手術をおこなうのですが、この方法だと、歯間乳頭(歯肉の間の三角形の歯肉)とよばれる部位が凹んでしまい審美的でないので、‘フラップレス’と歯肉を開かない方法が考案されています。
ただ、経験の浅い先生では難しいので気をつけてね。

昨日のオペは、この‘抜歯即時埋入インプラント’でさらに、‘フラップレス’を併用した手術でした。銀座のM先生や口腔外科専門医K先生も見学に来院され、手術の見学をされました。
抜歯即時で難しいのは、インプラントの埋入方向が上あごの裏の骨に埋入する為、角度や付き易く、また、初期固定(初期の安定性)に十分注意を払う必要があります。そして、なんといっても‘歯肉の形態を保存すること’です。ですので、けっこう、神経質になって、スタッフの女の子(歯科衛生士)もピリピリしていました。
ヒーリングアバットもカスタムで歯を抜いた形態や大きさに合せて作るので、ホントに細かい細かい治療なんですよ。!


私(当院 天王洲インプラントセンター)は、特に、審美的な部位でのインプラント治療の研修施設の一面もあり、経験の浅い先生やインプラントを勉強している先生達への実際の手術を見学してもらいながら講義をおこなっています。
10月22日、23日(土日)は‘グローバル オーラル インプラント アカデミー’という国際学会(GOIA http://www.goia-japan.com )が横浜の国際会議場(パシフィコ)で開催され、私も「審美領域でのインプラント治療を考える」というタイトルで1時間30分の講演を行なう予定です。
また、神奈川歯科大学の豊田教授、出口教授の市民公開講座も開催されるので、もし、インプラント治療にご興味ある方はぜひ、良いチャンスなのでご来場ください。

新しいインプラントのコンセプト‘All-on-4’ を知っていますか?

2005-09-13 14:11:31 | Weblog
はじめまして! 小川勝久です。東京天王洲アイル(品川)の歯科医です。患者さんにはもちろん、歯科医の先生たちとっても、海外の最新情報や話題満載の情報源にしたいと思います!
では、今日の話題から!


ポルトガルのリスボンに‘クリニカ マロ’と呼ばれる歯科医院(口腔機能再建をはじめ骨移植、等の外科から審美治療に至るリハビリテーションセンター)があります。ビジネスビルの8階~11階までを占めるその面積は1200坪!年間6000本のインプラント治療!スタッフ200名!月に20,000本のセラミック!月に7000件もの患者がヨーロッパ全土から訪れると言うのです。

これを聴いた日本の歯科に先生はおそらく‘絶句’ですよ。この‘クリニカ マロ’のPauo Malo 先生(42歳)にはいろいろな意味で逢いたくなってしまいました。アフリカに生まれ、難民(亡命)として両親とポルトガルに移民し、物理学を専攻した後にりすボン大学にて歯科医の学位を所得して開業し、今に至っているのです。他にワイナリーも持っていて。そう!!他にスペイン(マドリード)、フランス(パリ、マルセイユ)、米国(ニュージャージー)、ロシア(ワルシャワ)等にも関連した歯科医院を経営し、その医院へは自家用ジェットですって!

そして、このPaulo Malo 先生は、新しいコンセプトの治療方法を考案し、多くの無歯顎患者さん(歯をすべて失ってしまった人や多数歯欠損の人)に大きな大きな夢と希望を与えているのです。
この新しいコンセプトは‘All-on-4 ’と呼ばれるもので、4本のインプラントだけで片顎の全ての歯(12歯分)を支え、審美的にも満足させるシステムなのです。そして、この方法のもう一つの良いことは、大きな骨の移植が避けられる事なのです。
従来は、上あごの無歯顎(総入れ歯)では、上顎洞といわれる空洞があるため、骨の移植を行ないインプラント治療を行なわざるを得ませんでした。が、この‘All-on-4 ’では、犬歯部分の骨の豊富な位置を利用し、インプラント埋入に傾斜埋入法という方法を応用する為に、上顎洞や骨吸収の大きな部位を避ける事が出来るのです。

そして、この理論には、物理学的応力解析や診断にも裏打ちされた理論的根拠もあり、欧米の専門医の中では大変評価されています。

ここまで、聴いたら、皆さんも、僕に「ぜひ、行って来てください!」って言うでしょ。ですから、行って来ます。
日本でもきっと、この治療方法に恩恵を受ける患者さんはきっといるはずです。そして、Pauro Maro先生から、言葉に言い表せない何か(治療方法とかは勿論ですが、、、)を学んで帰ってきます。