最新の審美&インプラント日記

天王洲アイル・天王洲インプラントセンター 小川勝久先生による審美とインプラント治療の日記と情報

歯肉移植の繊細さと難しさと

2006-01-07 15:36:50 | Weblog

6日金曜日は、歯肉移植(結合組織)の手術だった。
歯を失うと、歯を支えていた骨は溶けてしまいます。特に破折や歯槽膿漏では、大きく骨が溶けてしまうだけでなく、その部分の歯肉も痩せて(付着歯肉も無くなる)しまう事になります。
患者Tさんは、上の前歯の2歯(左右の中切歯)が破折し周囲の骨や歯肉も痩せて、昨年の8月に来院されました。CT診断や精密歯周組織診断から、骨移植と歯肉の移植の必要性を説明し、同意して頂きました。

上の前歯のような審美領域の手術では、‘安全で確実’な治療計画が、大切である。というよりも、術者の技量や患者さんの組織の状況が、大きくその‘結果’を左右するので、術者が自分の技量と患者さんの状況を冷静に診断しなければならない。今回は、特に審美的要求も強く望まれたので(インプラント後の、歯と歯の間の‘歯間乳頭’とよばれる歯肉の再生を。)、慎重を第一に、術者にも患者さんにとっても安全で確実な方法を選択した。

抜歯即時での骨移植は、感染や手技の難しさから、2度に別ける方法を選択し、治療を進めていきました。
まず、一番目は、抜歯。感染部の治癒を待ち、インプラント埋入と同時に陥凹(骨が溶けている部位)に骨移植を行いました。移植した骨やインプラント上部では、血液供給が不十分になりがちなので、歯肉の移植は、移植した骨が安定してから行う方法を選びました。約5ヵ月後、骨移植部の再生の確認を行うと同時に、歯間乳頭の再建を目的とした歯肉移植(結合組織移植)を行った。
今回は、口蓋側から切開を加え、左右の小臼歯相当部口蓋側から、表層歯肉は残して、内側の組織を採取し、結合組織を挟み込み、高さも得られるように考慮した。(チョッと上手く説明できずにすみません!

私が思うに、インプラント手術は、骨がしっかりしていれば、比較的簡単な手技である。しかし、特に歯肉の移植のような‘軟組織のコントロール’は、非常に繊細で、本当に難しい手技である。

また、採取する部位は、口蓋動脈もあるので、出血のコントロールも大事。採取した結合組織から脂肪分をトリミングし、形態を整え、、、。つい、息がつまる。というか呼吸できない。
移植には、6-0の髪の毛よりも細い縫合糸(マイクロガット)で丁寧に慎重に縫い合わせていく。唇側の縦切開部は、見える部位のなで、切開部に段差が無いように特に丁寧に縫い合わせていく。‘じーっと’一つの部位に神経を集中するので、つい首が痛くなる。一つ縫っては大きく深呼吸する事も。

いやー。疲れたー!。といっても満足感の方が大きいので、本人は、大して疲れていないかも。(勘違いされるかもしれませんが、けっこう、楽しんでいる部分もあるのですよ。)

さっき、消毒に来院されたTさんに尋ねてみると。「昨晩は痛みは無かったです。が、チョッと出血がありました」とのお返事。「お口の中の左右の裏側から、歯肉を取ってきたので、その部位の出血なのです」とご説明しご理解を頂いた。じっさいは、我ながら上手くいったオペだった。(自己満足しすぎ!ですね。でも、この手技をおこなう歯科医の先生は、解ってくれますよね!)


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