悼む人

★悼む人☆　　天童　荒太

　週刊誌記者蒔野は、北海道で奇妙な男に出会う。
彼は坂築静人と言い、新聞などで得た情報をもとに、
事件、事故で亡くなった人の亡くなった場所に行き、
生前、その人が誰に愛され、感謝されていたかを聞き、
その場でその死者を悼む、という旅を続けている青年に。
蒔野は不審がりなからも、彼の心に大きな存在感を残す。
　静人の母、巡子は、末期の胃がんだった。
病院での療養も効果が出ず、自宅でのホスピスを選ぶ。
だが、旅を続ける息子に、自分の病状は知らせず、
ただひたすら彼の帰還を待つ。
そんな中、娘の美汐が妊娠していることが判明。
だが相手の男とは破局。
巡子には新たな心労がかかる。
　夫を殺し、服役。その後出所した奈儀倖世。
自分が夫を殺した場所で、夫を悼む静人と遭遇した彼女。
惹かれるものを感じ、彼と共に悼みの旅についていき・・・

直木賞を獲った作品ですね。
人の死はすべて平等で、あの人の死が重く、
この人の死が軽い、ということはない。
それを深く感じさせてくれる作品です。