goo blog サービス終了のお知らせ 

観察 Observation

研究室メンバーによる自然についてのエッセー

最終講義-ラグビー仲間

2015-03-02 11:58:52 | 15
薬袋啓一(町田市)
高槻さん
 今日はラグビー部の仲間の海野、唐澤と清里でゴルフをして来ました。ところで、最終講義、お世辞ではなく、本当に良かったです。私も建築学科の先生達の最終講義を何回も聞いていますが、一番感動しました。母も妹も来た甲斐があったと喜んでいました。最前列で、真剣に聞いていた、男のお孫さんの表情も忘れられません。写真もいいですね。帰宅したら、母達に見せます。また是非遊びにきて下さい。


おじいちゃんの講義を聴く高槻柊(2年生)

薬袋(みない)さんは東北大学のラグビー部の同期で、お母様が植物が好きなのでいっしょに岩手の早池峰に登ってハヤチネウスユキソウを見たりしました。たぶん90歳くらいになられますが、最終講義に見えていました。最前列で見ていたのは孫の2年生で、じいさんの遺伝か、昆虫少年です。(高槻)


草原を歩く若者

2015-03-02 11:40:57 | 15
柿沼 薫(東京工業大学)

高槻先生

 久しぶりに先生の講義を拝聴し、また懐かしい方々と再会ができて、私にとっても思い出深い1日となりました。どうもありがとうございます。
 最終講義で紹介された、モンゴルの草原を歩いている若者たちの今と昔の写真は、大変印象的でした。この時代に生まれ、研究できることに感謝し、また精進しようと思いました。
 私も今年はモンゴルへ行く予定です。今後ともどうぞよろしくお願いします。


ホロンバイル草原を歩く日本とモンゴルの若者。最終講義ではこの同じ草原を1939年に歩いた同じ年頃の日本兵の写真を紹介した。


ヤマネに出会った!

2015-03-01 23:20:53 | 15
4年 鈴木詩織 

 この2年間で私はヤマネの食性と巣箱選択性を調べるために調査地である八ヶ岳へ5回行きました。どの調査も比較的毎回天候に恵まれ、ヤマネの糞もたくさん回収することができました。私の調査ではヤマネの糞を回収するために87個もの巣箱をかけたので、人手が必要で、たくさんの人に手伝っていただきました。とても感謝しています。
 調査に行くと、普段は入ることのない森林に足を踏み入れました。小さい様々な花が咲いていて綺麗でした。また、空気が澄んでいて気持ちよかったです。
 そんな調査の中で一番うれしかったのは、2014年5月の調査でヤマネに会うことができたことです。巣箱の中身を確認しながらひとつひとつの巣箱のフタをあけていきました。かなりの巣箱にコケなどが入っていました。だいたいは高槻先生が先に歩いていって「なーし」とか「あったよ」とかいい、私たちが追いついて記録をとり、次の巣箱に行くということをくりかえしていました。すると先生が大きな声で「ア!ヤマネだ!いたぞーっ!」と大声を出しました。私たちが急いでその巣箱に行くと、先生は一度フタを閉じていました。それから「そーっとあけるから、カメラを用意して」といって、巣箱のフタをあけました。コケの中にヤマネが眠っていました。「まだ冬眠から覚めてないのかなあ」と言いながら撮影しました。それを確認してから先生は「逃げるかもしれないけど、それならそれでいいから、開けてみよう」といってアクリルのフタをはずすことになりました。先生がアクリル板をとめているネジをはずし、アクリル板をゆっくりあけました。でもヤマネは起きるようすはありません。



それでもう一度撮影し、またアクリルのフタをして、ゆっくりと巣箱を気にもどしました。そのあと、そのほかの巣箱でもヤマネをみつけて、みんな大喜びしました。そのヤマネも眠そうにコケに頭をつっこんで寝ていましたが、ゆっくりと起きてぼーっとこちらを見て、それからまた眠りました。




「ヤマネ、見つけたよーっ』

 3年生の初めに、ヤマネに会える可能性は低いと先生から聞いていたので、出会えた時には驚きとうれしさでいっぱいでした。
 この先、私は動物や自然とは無関係の所に進みますが、学んだことを心に留めて過ごしていこうと思います。

高槻先生と歩く森

2015-03-01 22:25:45 | 15
3年 宮岡利佐子

 私はあることがきっかけで、高校生の時に野生動物に興味を持ち、麻布大学の野生動物学研究室に入室を決めた。そして高槻先生に指導していただきながら、テンの食性調査をすることになった。調査地は大学から40分ほどのところにある高尾駅周辺で、先生と一緒に調査に行くことが多かった。先生は花や鳥、蝶を見つけると、その名前や特徴を私たちに教えてくださった。ものすごい量の知識なので、驚きつつ慌ててメモを取るが、情報の多さにメモが追いつかず花の名前を書くだけで精いっぱいだった。そのメモを何度も見返し、花の特徴を思い出しながら覚えるようにし、最近では歩きながら少しだけ花の名前がわかるようになった。それでもまだまだ分からない植物が多く、一人で調査に行くと“たくさん植物が生えているな”となんとなく歩くだけだが、先生と一緒に行くと景色が変わったように楽しい調査地になる。
 研究室では自分の調査や研究以外に、研究室活動としていろいろな作業や活動がある。ロードキルや駆除されたタヌキやアライグマ等の死体の解剖や除肉、ウシやガゼル、ヒツジ、タヒ等の糞の洗浄などを経験することもできる。また、自主ゼミを通して仲間の研究内容を把握し、それについてみんなで意見交換する場もある。解剖に関しては、時々イルカや、トラなどのめったに見られないような動物の解剖もある。この解剖や糞の洗浄は、先生が研究室に呼びかけ人員募集や、情報を流してくださる。先生はこのように私たちにいろいろなことを経験できるような機会を与えてくださっている。解剖では、動物によって臓器の大きさや側頭筋の付き方、肉球の形などの違いを、実物を見ながら知ることができた。また草食獣の糞の洗浄を行うことで、食肉目であるテンの糞しか洗浄したことがなかった私は、食肉目と草食獣の食性の違いを糞を通して実感することができた。
この研究室に入室し、普段気付かないような小さな花に目がいくようになったり、いろいろなところに調査へ行くことができたり、様々な作業をすることで、そこで知識を得て楽しさを知るなど、行動することで学ぶことがたくさんあることを実感している。



果実を台において訪問する動物を撮影する準備をする筆者(2014年12月)

 先生には、いろいろなことを体験する機会を下さった感謝の気持ちと、これからも私の調査・研究に関してお世話になることが多々あると思うので、よろしくお願いしますという気持ちを伝えたい。

この一年で体験したこと – 鳥を飼い、教える職場で -

2015-03-01 21:44:32 | 15
平成25年度卒業 小森康之

 昨年3月に卒業して、私はかねてからの希望通り動物と関わる仕事に就いている。就職活動でかなり苦戦した末に入社した職場で、鳥を中心に飼育管理しながら客に動物の紹介や記念撮影をおこなう仕事である。現在私が働く環境は、観光スポットとしてこれから改装する途中でまだまだ動物の数が少なく、花のシーズン以外では来客も殆ど来ないが、それでも前向きに作業をこなす毎日を送っている。
 幼い頃よりどんな生き物でも好きなことは、社会人になった今も同じだが、鳥との関わりを通して新しく得た知見もあった。そこで今回の執筆を機に、この10ヶ月あまりで生き物に対する気持ちの変化を振り返ってみることにした。
 まず何より変わったことといえば、鳥に対する興味が以前よりずっと増したことだ。就職前の私にとって、鳥はさほど関心のない動物だった。爬虫類と両生類、昆虫への興味が格別に強く、鳥に関する理解は決して深いとはいえなかった。そこでまず職場にいる鳥がどんな種類か、何を食べて、どういう性質なのかから知る必要に迫られた。それだけではない。鳥の感情や表情を読み取ることは、経験上両生類などのそれを読むより難しいことだった。フクロウを例に挙げてみても、睨みを利かせているのは警戒しているのか怒っているのか、あるいはそう見えて実は怯えているかもしれない。比較的人に近い顔立ちのフクロウでそれだから、ニワトリやオウム等はいつ攻撃を仕掛けてくるか初見で判断することはかなり困難なことであった。
そのへんは経験で付き合い方を会得していくと良いとして、また次の問題が立ちはだかる。それは体調の良し悪しをはかることである。鳥はよく動くうえに羽毛で覆われているので、やはり私にとって爬虫類や両生類よりも判断が難しく、稀に視察に来る上司の指示によって初めて分かることが多かった。紆余曲折あり半年以上一人きりで管理を任されることになった私は、とにかく経験不足と物資の不足に常々悩まされている。
 そう大変な思いをしつつ鳥を扱ううちに、生活の場周辺の野鳥に興味を持ち始めた。職場にはアオサギからカワセミまで大小様々な水鳥が飛来し、オオコノハズクがかなり近くで暮らしていることも分かった。夜中に活動するシギがいたことには驚いた。ツバメは育雛から旅立ちまでのドラマを毎日のように目にした。1度シルエットを見た猛禽はほぼ覚えたが、イヌワシかトビかはっきりしない鳥を目撃したので、いつか確認できる日が来ることを期待して待ちたい。
 この一年間で地元の見た鳥は一通り覚えたと思うが、まだ見てない鳥の方が圧倒的に多いから今後のバードウオッチングが楽しみである。
 もともと爬虫類両生類が好きなのだが、その興味は一層大きくなったように思う。現在暮らしている地域には、首都圏や卒業研究で通ったアファンの森では見なかった生き物を多数生息している。東海地方を境にして、東西で生息する動植物が変わることは知られているが、正しくその通りであったと実感した。トノサマガエルやヌマガエルは野生状態のものをみたことはなかったが、ここにはいくらでもいていたく感激した。それから、ヘビの個体数も多い。シロマダラ以外の本州に生息する全種のヘビを見つけ、夏の盛りには見かけない日がなかったと言ってもいいほどヘビが多かった。アオダイショウの成体は捕まえるとまさに「青くさい」においを発することを実感して、もう不用意に素手で掴むのはやめようと決心した。
 また、動物について人に説明して教えることの楽しさも経験した。仕事柄、フクロウについて人から質問を受けることがしばしばある。何を食べるのか、日中目は見えているのか、首は何度回るのか等々、老若男女問わず私に聞く。また飼育する鳥以外に、池で見たあの鳥はなにかとか、温室にいたヘビはなにかなど、仕事とは直接関係がない動物についても私に質問が飛んでくる。受ける質問は、研究者や動物好きにとってごく初歩的なものがほとんどだが、動物をまるで知らない人々からすれば大きな疑問なのだろう。それに対して的確かつ分かりやすく説明することは、私のような仕事に就く者にとっては腕の見せ所のひとつといえる。相手の理解レベルに合わせて答え方を変えることは、研究室にいたときに培った経験として今活かされている。そうして相手に理解してもらえた時、達成感を感じることができる。その意味でよい職場で働ける喜びを感じる。
 これからももっと多くの生き物のことを知り、そのすばらしさを人に伝える努力をしたい。

 

アメリカワシミミズク

 
筆者と仲良くなったクロワシミミズク