キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

野付半島の野生

2007年01月21日 | 動物
厳しい寒さの中でも、逞しく生きる野生動物は美しい。

野付半島ではそんな野生動物を間近で見ることが出来る。



野付半島の付け根の辺りはとても狭い。
道路一本の両サイドは30mくらいずつ海岸草原広がり、その外側は海である。
延長16km程度の道路沿いの電柱には、時々止まっているオオワシを見ることができる。



オオワシ[Haliaeetus pelagicus](天然記念物)

ワシは非常に敏感な鳥なので車から降りるものなら100m離れていたってすぐに逃げてしまうが、
車の中から観察するならば意外と逃げないのである。
ただし、ジッと凝視すると視線を感じて飛び去ってしまうので、エンジンを切り、そーっと窓を開け、
時々チラ見する程度であればワシの方は気にしない様だ。
(ただし、繁殖期の鳥類に対して、たとえ車の中であっても過度に接近することは禁物です。)



オオワシの成鳥は美しい白黒のコントラストに一きわ大きい黄色い嘴が特徴だ。
毎年、欧州から北海道に向けこの鳥の観察を目的としたツアーが組まれるなど、
世界中のバーダーの憧れの鳥らしい。
羽を広げると230cm前後。止まっていても90cm以上もある巨大なワシである。
アイヌの人々も「カパッチリ・カムイ」(ワシの神)と崇めていたようだ。


海岸に目を向けると、褐色で少し地味なオジロワシが目に入ってきた。


オジロワシ[Haliaeetus albicilla](天然記念物)
インパクトこそオオワシに劣るが、羽を広げると210cm前後、体長は80cm以上の大型のワシだ。

この個体は尾羽が完全に白くなく、目も褐色なので4~5才の若鳥であろう。
これをチラ見程度で撮影していたところ、どうも様子がおかしかった。
常に上方を気にしている様だった。
そこに・・・



ドロップキック!
と言わんばかりに他の個体が若鳥に攻撃してきた。



若鳥を追い払い、陣地を奪った成鳥は「カッ、カッ、カッ、カッ・・・。」とけたたましく鳴く。



「どうだ!」

ワシは種の違い、老いも若きも関係なく仲よく並んで止まっていることが多いのだが、
餌も持っていない個体に対してこういう攻撃を加えたのは始めて見た。



オジロワシも精悍な顔してます。



草原に目を向けると、一頭の黒い影が見えた。
エゾシカの雌だ。



エゾシカ[Cervus nippon yesoensis]

昔は野付半島には居なかったらしい。
近年、シカの個体数が過剰となり、あふれた個体が、凍結した野付湾の対岸から渡って来た様である。
野付半島でシカの個体が増えると、貴重な植物も食害されてしまうので心配である。


札幌付近でもこれらの動物に会えない訳では無いのだが、道東では出会う頻度がとても高く、
より身近で見られる。
道東の昆虫も素晴らしい種が多く、今後、機会を見て撮影をしたいと思っています。