キキリ・キキリ・キキリ

-北海道の昆蟲と自然-

北海道の昆虫の写真を中心に、身近な生き物や自然を紹介しています。

初秋の山歩き

2007年09月03日 | 採集記・撮影記
昨日、天気が良かったのでチョイ遠出。
夕張方面まで車を走らせてみました。




標高600mの尾根上に居ても、空は高い!あらためて秋を実感。
紅葉にはまだまだ早いが、風が吹けば半袖では寒い。

この場所、尾根上にダケカンバ、シナノキなどの巨大な立ち枯れが多数点在していた。
有名産地に何度出向いてもネキが採れない自分には、
このような場所で一日待ってみる方が性に合っているのかも・・・と思った。


さてさて、今日の目的は北限のヒメオオクワガタ。
石狩低地帯周縁の北部、あるいは東部の山地はヒメオオの国内分布の北東限。
生息密度は非常に薄いので、期待半分くらいに抑えおかないと、後でショックが大きい。




林道沿いはこんな感じ。
ヤナギ、ハンノキ、カンバなど、経験上ヒメオオの食痕が付いていた樹種は一通りチェックしてみた。
しかし、時々アカアシが見られる程度。
道南や千歳方面ならウハウハな環境なのに・・・。厳しいなぁ。
その内、雑虫撮影会になってしまった。



ベニヒカゲ[Erebia niphonica scoparia]★★

これが雑虫というと蝶屋に怒られてしまうが、「採集目的以外の虫」という意味ではこれも雑虫。
北海道産の個体で後翅表にオレンジ帯が表れたもんなら、こんなボロでもお持ち帰りするのだが、
そんなレアな個体が現れるハズがない。



アオクチブトカメムシ[Dinorhynchus dybowskyi]★★

背面は金緑色で大変綺麗なカメムシ。この時期、樹上で良く見られる。
脚よりも太い口吻で蛾の幼虫などを餌にしている。
こんなのに刺されたもんなら・・・。お~コワ。



ノシメトンボ[Sympetrum infuscatum]★

長距離移動する本種は、こんな山の上でもワラワラと無数に見られました。



フタスジハナカミキリ[Nakanea vicaria]★

この日のハナカミキリはこの子一匹だけ。
秋ってホント寂しいですね。


こんな調子で麓の集落まで降りて来たが、結局はヒメオオの痕跡も見つけられず
やはり、空知のヒメオオは激珍なんだろうと思う。



ヒメオオは諦め、何となく別の林道を入ってみると、大規模伐採地を発見した。
写真は撮り忘れたが、トドマツ、カラマツ、シナノキ、ミズナラ、ハルニレ、
ホオノキ、イタヤカエデ、クリ・・・。
ありとあらゆる樹木が野積みされ、このような大きな土場の数は数箇所あった。

そのうちの一つをダメもとで覗いてみたら・・・



ヒゲナガカミキリ[Monochamus grandis]★★

5頭。



センノキカミキリ[Acalolepta luxuriosa luxuriosa]★★

2頭。



シナカミキリ[Eutetrapha sedecimpunctata sedecimpunctata]★

1頭。


他にシラフヨツボシヒゲナガカミキリ1頭。


結構、ボロが多かったけど、久しぶりに大型のヒゲナガを採集した。
もし来年もこの土場があるのなら、ベストシーズンに入ってみたい。



道南の虫

2007年08月26日 | 採集記・撮影記
先週、道南で見られた昆虫を何枚か。



トラフカミキリ[Xylotrechus chinensis]★★★

「トラフ・トラフ・トラフ・・・」の呪文が効いたのかまたまたGet!
何となく発生木の雰囲気は判りましたが、道南でも良い条件のヤマグワは少ないですね。
この個体は24㎜の立派な体格でした。



オオアオイトトンボ♀[Lestes temporalis]★★★

北海道では主に西側半分に分布し、渡島半島以外では少ない。
特徴はアオイトトンボを一回り大きくし、雄は成熟しても粉は噴かず、雌は腹部末端が大きく膨らむ、など。
池周囲の木の枝が水面に浸かっている、やや深い池沼周辺で見られる。



アケビコノハ幼虫[Adris tyrannus]★★★

アニメチックな眼状紋を体に2対持ち、何かに驚くと体を曲げ目玉を強調させる。
北海道では少ない種で、ミツバアケビ?を食べていた。
成虫は枯れ葉そっくりで翅を開くと黄色い後翅が鮮やかな大型種である。



ベッコウハゴロモ[Orosanga japonicus]★★★

札幌付近ではまだ見たことが無い。
渡島半島沿岸部の草原、林縁部などでは局地的に発生している。



シマアメンボ[Metrocoris histrio]★★★

これまた北海道では少ない種。
薄暗い林内を流れる小川で、一般的なアメンボ類より忙しく動いている。
体長は5㎜程度。丸っこくてシマ模様なので他のアメンボ類とは見分けは容易です。



最近の朝晩は涼しいというより寒さを感じてきた。
野山で見られる甲虫の顔ぶれが段々と少なくなっているのが寂しい・・・。


雨・雨・雨・・・

2007年08月08日 | 採集記・撮影記
何なんだ今週の天気は?

いつもなら一番暑く眩しい季節なのに、シトシトジメジメのエゾ梅雨状態。

プチ出張から戻ってきたけど、BIGな虫には会えなかった・・・。

でも何も無いよりマシなので、僅かですがUPします。




アオカナブン[Rhomborrhina unicolor]★★

たまには野菜も摂らないとね。ムシャムシャ。




ヒメシロコブゾウムシ[Dermatoxenus caesicollis]★★★

渡島半島の南端に分布するゾウムシ。
ウドやタランボが好物。




ウスイロトラカミキリ[Xylotrechus cuneipennis]★★

不全気味です。




アカガネカミキリ[Plectrura metallica metallica]★★

本州産とは別亜種になります。



明日は甲虫以外を少し













最近は週末になると・・・

2007年08月06日 | 採集記・撮影記
雨が降ります


AM9:00を過ぎても小雨は止みそうもないので、
今日は市内の林道へカミキリではなくヒメオオ探しに行って来ました。
札幌市内のヒメオオは結構レアなんですよ。



目的の林道へ到着。天気は全く回復しそうにありません。


林道沿いに咲いている花を見ると、


カラカネハナカミキリ



マルガタハナカミキリ



サカハチチョウ



サッポロフキバッタ

などが見られます。小雨でも気温が高かったので虫達は活動しているようです。


しかし、ヒメオオの好むヤナギやケヤマハンノキを中心に車内からルッキングしても何も見えてきません。
林道沿いよりは、藪漕ぎして奥に入った方が良いのだろうか?そう思い始めた時・・・






直径5cmのぶっといウ○コがこんもりと・・・・・・ヤバイ



その後も、林道沿いの車内ルッキングは続きます。
良さそうな木や花を見つけた時は車から降りますが、できるだけ離れないようにします。
30mも車から離れると少し怖いです。特にこの日のような天気の時はなおさらです。


ゆっくりと車を走らせていると、ハチの様な甲虫の様な2cm弱の虫が低いところを飛び、地面に着地しました。
慌てて、虫を拾い上げると・・・



コバネカミキリでした。

今年はネキに振られっぱなしでしたが、コイツだけは近寄ってくれました。


林道をさらに進むと霧がどんどん濃くなって、雲の中に居る様な感じなってきました。
それでも、セミは鳴いていました。主にないているのはコエゾゼミです。




林道の峠を過ぎた辺りで、やっと目的の虫に出会いました。



居ると判っててなかなか採れない札幌のヒメオオです。
この後もう一頭見つけましたが、網を外して笹薮へ落としてしまいました。


目的は達成されたので、カミキリを探すことにしました。


しかし、なかなか良いカミキリが出てきません。
出てくるのはミドリ、ヨツスジハナ、フタスジハナ、クロハナ、ホクチチビハナなど。
枯れ枝のスウィープやビーティングをやっても、網が雑巾のように水を吸って非常にやりづらかったです。


それでも最後の最後にオノエヤナギの衰弱木でカミキリ数種をまとめて採集することができました。


キモンカミキリ(初採集)



トゲバカミキリ



ゴマダラモモブトカミキリ(初採集)


他にはこの木でキッコウモンケシ、フタオビアラゲ、ヒメヒゲナガ、シラホシがいました。


山を降りる頃には自分が濡れ雑巾になっていました。



故郷の夏の虫

2007年07月28日 | 採集記・撮影記

函館山を望む夜景。通称「裏夜景」。
遠くに津軽海峡の漁火も見える。




エゾオオミズクサハムシ[Plateumaris constricticollis constricticollis]★★★

スゲの生える湿地で沢山見られました。



アオオサムシ[Ohomopterus insulicola]★★★

北海道では函館近郊にのみ分布する移入種。
何かの文献で北海道産は[O.i.kantoensis]と整理されていたような・・・。記憶が定かではありません。
局地的に生息するものの個体数は多い。河川敷や畑の脇などで見られます。



ベニモンマダラ道南亜種[Zygaena niphona hakodatensis]★★★★★

北海道では函館近郊にのみ分布する亜種。
ツルフジバカマが生える草原に生息。個体数が少なく分布も局地的で、
北海道RDBの『絶滅危惧種』に選定されている綺麗で貴重なガの仲間。



セボシジョウカイ[Lycocerus vitellinus]★★★

北海道では渡島半島に生息する10㎜くらいのジョウカイボン。
日当たりの良い草原で見られた。



ガロアケシカミキリ[Exocentrus galloisi]★★★

北海道では主に石狩低地帯以南に分布。
クリやミズナラが生育する林の下の落ち枝で見られた。初採集。



ヨツキボシカミキリ[Epiglenea comes comes]★★★

北海道では主に石狩低地帯以南に分布。
ヌルデの衰弱木に多数集まっていた。



ヘリグロリンゴカミキリ[Nupserha marginella]★★★★


本種は北海道では函館近郊でしか確認されていない珍しい種。
近縁のムネグロリンゴカミキリは全道に普通に分布している。
今回、オオヨモギが生える日当たりの良い草原や林内など数箇所で
目撃できたことから、函館周辺では普通のようだ。初採集。


あぁ、道南の虫はいつ来ても面白い。
本州では普通種だけど、札幌付近では見られない珍しい虫がたくさん見られるのだ。