今日のあしあと

Every cloud has a silver lining

アレルギーと生きる

2021年10月30日 | 食物アレルギー:つぶやき
長女の中学校は毎年人権主張大会なるものがあり、全員が夏休みに人権作文を書くのが恒例です。
夏休み中、何を書こうか悩みに悩んでいた彼女でしたが、自分の食物アレルギーをテーマに書き上げました。
長女の食物アレルギーに悩んでいた当時、重度の食物アレルギーについて情報が乏しく、情報交換や自分を奮い立たせるために書き続けていたこの場所ですが、最近では育児や日常の記録がほとんどとなっています。
この作文を読み、私自身もこれまでの長女とのアレルギーの日々を振り返る節目となりました。
今まさに食物アレルギーと戦っている方や長女を幼い頃から見守ってくれた方々、皆さんに彼女の今の気持ちが届くといいなと思います。
※ここに書くことについて、本人に同意を得ています

「アレルギーと生きる」

皆さんはアレルギーについてどの程度知っていますか。
私は、0歳の時に粉ミルクを飲んで、初めてアレルギー症状が出ました。病院で検査をした結果、乳製品を含め多数の品目に食物アレルギーがあることが分かりました。特に数値の高かった乳・小麦・卵については、三歳頃まで医師の指示に従い、完全除去を続けていました。しかし、これらの食品は様々な商品に使われているため、誤って食べてしまい、何度も何度もアナフィラキシーを起こしました。アナフィラキシーとは、複数の臓器に重い症状が現れる場合をいいます。私の場合、嘔吐・腹痛・喘息症状・まぶたや顔の腫れなどが、その都度症状を変えて起こりました。

4歳頃から食物アレルギーの専門医にかかり、乳製品や小麦を少しずつ食べていく治療を始めました。毎日食べ続けることで、だんだん症状が軽くなり小学校低学年になると乳製品・小麦・卵に関してはほぼ問題なく食べられるようになりました。ただ、今でも甲殻類は食べられず、野菜や果物も症状が出るものが多くあります。そのため、外食したり食べ物を買う時には注意が必要です。

例えば、外食に行って注文する時にはその料理にアレルギー物質が含まれていないか確認する必要があります。メニューにその料理の名前しか書いていない時は、わざわざ店員さんを呼んで確認しなければいけません。お店によっては、メニューにアレルギー物質の食品表示が書かれている所もありますが、こういうお店はまだまだ少ないと感じています。全てのお店でアレルギー物質の食品表示が書いてあれば、更に安心して外食ができると思います。

また、外食に行く以外に買い物をする時にも注意が必要です。初めて買う商品などは特に気を付けないといけません。その商品にどんなアレルギー物質が入っているのか、裏面の食品表示を確認しないといけません。昔に比べると表示されているアレルギー物質の種類も増えてきていますが、まだまだ分かりやすくできるのではないかと思います。

今は外食に行く時も家族と一緒で、買い物も母が確認して買ってくれています。しかし、今後私が高校生や大学生になって、友達と食事に行ったり、自分一人で買い物に行く機会が増えてくると思います。母の様に全ての食品表示を確認し、食べられるかを判断する自信が今の自分にはありません。アレルギー物質が主な食材として使われていなくても、目に見えないエキスとして使われている場合もあるため、全てのアレルギー物質を自ら確認するのはとても難しいです。だからこそ、どんなアレルギー物質がその料理に含まれているのかが、ぱっと見て分かるパッケージやメニューを見るとすごく安心します。メニュー表について店員さんに尋ねることも多いのですが、店員さんも詳しく説明できない事がよくあります。どんなお店でも、店員さん達全員がアレルギーの知識を持って、対応ができればアレルギー症状の心配をせずに食事ができると思います。

アレルギーのせいで嫌な気持ちになったり、ネガティブになったりもします。その一方で、アレルギーのおかげで気付けたこともたくさんあります。
それは、周りの人の優しさや、支えてもらっているありがたさです。例えば、友達とお菓子の交換をする時など、わざわざ何を食べられるか聞いてくれたり、アレルギー症状が出てしまった時に友達がすごく心配してくれました。私にとってはその何気ない一言一言がとても思いやりのあるものでした。他にも、食物アレルギーの主治医の先生や学校の先生方、両親や祖父母にもたくさん支えてもらいました。

私はこのように、色々な人に支えてもらいながら生きてきました。だからこれからは、私の今までの経験を活かして、私と同じようにアレルギーで悩んでいる人の役に立ちたいです。
でも今の私には、悩んでいる人を手助けできるような知識が十分ではないです。しかし、これからアレルギーについてより詳しく学び、アレルギーで悩んでいる人の役に立てるような、手助けできるような、そんな大人になりたいです。
社会から見れば、私の行動なんてほんの小さい事かもしれません。けれど、どんなに小さな事でもそれを続けることで、食物アレルギーがある人もない人も暮らしやすい社会にできると信じています。全ての人が毎日安心して食事ができる社会になることを願って、私は毎日行動し続けます。