現実？ 夢？ それとも・・・ ～ 土曜の夜の出来事 ～

　今回は少し気味の悪い話です。

　先週の土曜日は出勤日だったので、普段通りに働き、肉体労働で疲れたので、夜の9時頃は床につきました(今年の冬は毎日こんな感じです。映画を観たり、ゲームを楽しんだりはできていません）。
　そんな感じで早く就寝した私でしたが、「ドーン!!」と言う大きな音と部屋が少し揺れる感じがしたので目が覚めました。枕元の時計を見ると深夜の1時30分くらいでした。「なんだ？。」と思って暗闇の中で聞き耳を立てると、

　「てめぇ、なんだこの野郎!!。」

と言う男の怒鳴り声が聞こえてきました。深夜にもかかわらず、かなり大きな声です。「前の道路で酔っ払いが騒いでいるんだろう。」と、その時は思い、再び頭を枕に乗せて眠る体勢に入りました。しかし、枕越しに、

　「てめぇ、なんだこの野郎!!。」
　「お前がくだらねぇことを言うからだろうがぁ!!。」
　「謝れ、こらぁー。謝れよぉー!!。」

と言う声が聞こえてきます。どうやら、その男の怒気をはらんだ声は私の住んでいる部屋の下の階から発せられているようです。何かトラブルが私の住んでいるアパートの一室で起きているようですね。少し心配になってきたので、私の眠気は完全に去ってしまいました。
　ちなみに、聞こえてくる声は1人だけです。怒っている男が一方的に誰かに怒鳴っている感じです。

　その後も、「謝れ、こらぁー。謝れよぉー!!。」と言う言葉が何度も何度も壊れたレコードのように続いたので、「もういいじゃねぇか。寝ろよ。しつこいなぁー。」と私は思ったのですが、少ししてから、

　「俺は怖いものなんかないんだ。」

と言う新たなワードが出てから、男の声が聞こえなくなりました。「ようやく収まったか。」と私は少しホっとして、「酔っ払って友達同士が喧嘩でもしたのかな？。」と、この真夜中の珍事に勝手な結論を付けようとしたら、今度は、

　♪　「小倉生まれで玄海育ち～、口も荒いが気も荒い～。」　♪

と言う、懐メロの名曲『無法松の一生』の歌声が聞こえてきました。思わず私は、「下で怒っている奴は何歳なんだ？。じいさん？。」と心の中でツッコミを入れてしまいました。まぁ、気分よく歌って眠ってもらえるのならば私は万々歳です。

　その歌声の後は静かになったので、「ようやく寝れるな。」と思ったのですが、しばらくしてから今度は、

　「お前が俺の人生を狂わせたんだ!!。」

と言う新しいワードがリピートされる事になりました。なんだか暗い、暗すぎる展開です。そして、しばらくして次に出現したリピートされるワードは、

 「お前に俺の気持ちがわかるか。わかるのか？。」

と言うモノです。今まで出てきたワードから考えると、単なる酔っ払いの喧嘩ではなくて、親子や兄弟による揉め事の可能性も出て来ました。時間も深夜の3時くらいになっていたので、私は、「警察に電話した方がいいのかなぁ？。直接、部屋に文句を言いに行った方がいいかなぁ？。でも、どの部屋かわからないしなぁ。他の部屋の人は気づいてないのかなぁ？。」と心の中で葛藤が生じていました。そんな事を考えていたら、

　「ドーン!!。」と言う大きな音とともに部屋が揺れて、
　「なんだ、この野郎!!。」と言う大きな怒鳴り声と争うような物音、
　部屋の中を転がるビンの「ゴロゴロゴロー。」と言う音が、私の隣りの部屋の方から聞こえてきました。それを聞いて私が、

　「えっ、隣りの部屋？。」と思って、ベットから飛び起きた瞬間に、今まで聞こえていた怒鳴り声や音がピタっと止まりました。その後は静かな土曜日の深夜に戻りました。
　その後も隣りの部屋の動きに対して私は耳を澄ましていたのですが、そのまま寝てしまったみたいで、気がついて起きたら朝の7時になっていました。静かな日曜日の朝でしたね。朝食を買いに外に出ましたが、私のアパートに不審な痕跡はありませんでした。


　以上が、私に降りかかった土曜日の夜の出来事の全てです。

　あれから約５日が経過しましたが、私の住んでいるアパートに警察が来たり、いつもは来ない大家さんが来たり、他のアパートの住人が騒いでいる、等と言う変わった出来事はありません。下の部屋も隣りの部屋もいつものように静かなままです。
　唯一、焦ったのは、月曜日の朝に、『人生を狂わされたと言う理由で男が女性を暴行!!。』と言うニュースが流れた時です。あまりにもタイムリーで聞いた声の内容に似ていたので、「あっ、俺のアパートか？。」と思ったのですが、それは東京で起きた事件でした。全く関係のない事件でしたね。

　と言う事で、私が土曜日の夜に遭遇した出来事の真相は謎のままです。
　現実だったのか、夢だったのか、超常現象だったのかは、現時点ではわかりません。