六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

芸術の秋 1

2008年10月25日 | 舞台
 前売りを買って楽しみにしていた「大琳派展」(会場:東京国立博物館 平成館 開催期日10月7日~11月16日)に、早速行ってきました。

 ちなみに「これから行こう」と思われる方は10月28日以降にした方がいいかもしれません。
 というのは。チケットの図柄にもある、有名な「風神雷神図屏風」。俵屋宗達がまず描き、それを尾形光琳が模写、さらに酒井抱一、鈴木其一がそれぞれの想いと技量を傾注して新たな模写を描いた。
 その4種を並べて一度に鑑賞できるのは、28日以降になるらしいんです、展示できる日数が限られているらしくて。私たちが行った日は、宗達が無くて、光琳、抱一、其一の3つだけが並んでいました。
 私はこの「風神雷神図屏風」はオリジナル(?)の宗達が一番好き。でも、過去に「宗達と光琳」「光琳と抱一」を並べた展示は見たことがあるので、今回宗達が無くてもまぁいいやって感じでした。其一の風神雷神は初めて観れたので、それが良かったです。

 前回この平成館で観た「日本美術の巨匠対決」も面白かったけど、今回の企画は琳派の流れがすごく分かり易くて、堪能できました。メインにとりあげられた「本阿弥光悦」「俵屋宗達」「尾形光琳」「尾形乾山」「酒井抱一」「鈴木其一」の中で、私のお気に入りは抱一。風神雷神図屏風の裏に描かれた夏秋草図は何度観ても見飽きることがありません。
 ・・でも、抱一の作品全てが好きってわけじゃないところがビミョー。カキツバタと八橋の図なんかは断然光琳の方が鬼気迫る感じで良い(←今回はこれの展示はありませんでした)し、歌仙図は其一の模写の方が良かったな。宗達のドカッとくる迫力もあいかわらず良いですのぅ。

 琳派って、ひとりひとりが自らの方向性をハッキリ持ちつつ、世代時代をこえてゆるやかに呼応しあっている、そのおおらかさが、何とも気持ち良いのです。伝統とか格式とか様式とか徒弟見習い忍従云々といった暗さの気配があまり感じられないあたりが気楽というか。あまりに立派すぎない心安さがほっとするというか。

 でも、それオンリーだけだと物足りなくって、キリキリと弓を引き絞るような究極の精神性を感じさせる芸術も見たくなったりするので、鑑賞する側はゼータクでワガママですよね


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