六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

NODA・MAP「ロープ」

2007年01月29日 | 舞台
 ネタバレあるかも。
 これから観劇される方は、観た後でお読み下さい。

   

 さて、感想です。

 野田が、迷ってる。
 観終わった最初にそう思った。でもよくよく考えてみれば、むしろ私の方が知らないうちに違う場所にまで既に来てしまっていて、だから目の前に示された地図からはその先が辿れないだけなのかもしれない、とも思った。

 谷山浩子の「猫の森には帰れない」の意味が、実感として分かったような気がした。

 先に見た友人が「いつもの野田とは違う感じだから、あまり期待しない方がいいかも」と助言してくれていたので、期待少な目で行ったけれど、そういう意味でのガッカリはさほど感じなかった。まぁ、いつもの野田路線とそう外れてはいない気がした。

 むしろ、何か新しい気配を予感させたタマシイの人物設定が、こう・・つきぬけそうでいて最後に予定調和的にキレイなところへと収束していったのが、何かな。すごく惜しいような気がしたな・・。
 野田の描くヒロイン像って、すんでのところでヒュルッと《額縁》の中へ戻ってしまうようなところがある。触れられそうで触れられない、キラキラした幻体・・そう、かぐや姫とか人魚姫とかの持つ、人間の愚かさや汚さに涙しつつも決してそれらに動かされることのない、不思議な遠さがある。
 そういう部分が一番《近くまで》来て、体温を感じるくらい触れてきたのが私にとっては「パンドラの鐘」のヒロインで、あれは泣けたな~。多分、私の中ではいまだにあの作品がNODAベストだな。
 そっち路線からその先へ、できれば行って欲しいんだけど。その先が観たいのだけど。

 でも、その方向は、野田にとっては描きたい方向じゃないのかもね。

 ノブナガの藤原竜也(この子は、私はあまり好みじゃにゃーのだけど)が、軽々と新しい色を身につけていて、うーんコイツぅ、才能あるじゃないかぁ・・と認めないわけにはいかない。評価。
 あと、宇梶剛士も良かった~。

 ・・ま、何のかんの言っても、野田地図、また公演があればそのたびに駆けつけてしまうことでしょう。(チケットがとれれば

 さて、次の観劇は来月上旬、蜷川の「コリオレイナス」です。どんな《劇空間の美》が観られるか、楽しみです。


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4 コメント

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初めましてm(__)m (satomo0215)
2007-02-07 06:33:17
ロリスさんちからお邪魔します♪
舞台好きでたまに観に行くのですが野田さんの舞台は
まだ一度も観たことがないのです・・・。機会があれば
観てみようと思います。好きな役者目当てで行くので
いかんせんお金が続きません。。ああ、仕事したい(笑)

あと谷山さんの曲、好きなので、おっ!と思いました。
父が好きだったんです。久しぶりにCDを開けてみようと
思います(^_-)-☆
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いらっしゃいませ (風野)
2007-02-11 16:30:30
昔の自分は、野田ワールドにどっぷりとはまりこんで、ジェットコースターのような振り回され感や幻惑・陶酔感を楽しんでいた気がするのですが。先日は「野田秀樹という表現者の世界」を外側からじっくり観て楽しんだ・・って気分になったのです。
それはきっと私自身が知らないうちに別の森へ足を踏み入れてしまったからなんだろう、と。

でも、野田ワールドが魅力的なことには変わりありません。ぜひ一度、観てみて下さいね~。

お父さまはたとえば「カントリーガール」などお好きじゃないでしょーか?
カラオケでこの曲歌うと、男性に好評なんですよね~(^^)
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谷山さん (satomo0215)
2007-02-28 23:10:40
好きでしたね~。「カントリーガール」
3年前に亡くなったときに色々と整理をしていたら
出てきたのです。私はそのアルバムの中の曲で
(CD、実家でした)うさぎ うさぎ 何を待って泣いた
ってサビの曲が何か切なくて好きです。

舞台は
3月末にtptの再演
4月上旬にヘドウィグ・アンド・アングリーインチの
ファイナル
5月中旬に 血の婚礼

今年はこれで終わりかも知れません。旦那に言ってない
怒られるかも(^◇^;)
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魅力的な (風野)
2007-03-11 12:25:19
satomo様の観劇スケジュール、魅力的なラインナップですね!
特にヘドウィグは気になる~! よかったら観た後の感想を教えて下さいねー(TBでも歓迎!) 
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