六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

思えば遠くへ来たもんだ・・

2008年07月29日 | 日々のこと
 夢を見た。

 天敵の話で中学時代のことを思い出していて、それでこんな内容になったのだと思うけど。

 時は現在。カフェみたいな場所で、中学時代の同窓生の女性3人と喋っている。あの人は今この仕事をしてるとか、この人は今どうしてる、みたいな会話の中で、R君の話題が出て、彼は30代にならずに死んだよって教えられてビックリする私。もう10年以上も前に?その事実を知らなかった事にショックを受けて泣いてしまう。友人たちは、R君が亡くなった時の状況を知らせるメールを私に見せようと、ケータイを一生懸命さがしてくれる・・というところで目が覚めた。

 もちろん、R君は健在(のはず。近況を知らないけど、きっと元気だと思う)。
夢でよかった。この悲しいキモチは、夢を引きずっているだけだ。

 ・・しかし。あの頃の自分を思うと、ずいぶん想定外の未来に来てしまったなぁ。

 R君は学年でトップクラスの頭脳の持ち主で、ユーモアがあって、友人に好かれてて、良い少年だった。私たちは良い友達、良い仲間だった。
 部活前の音楽室で、たまたま二人とも早く来て他の子たちを待っている時、突然「おい風野、こんなの弾けるか?」と言ってショパンの幻想即興曲を弾いて聴かせてくれた。R君の腕前に、ピアノダメな私は素直に感嘆し、彼は私の賞賛を素直に受け取った。
 そこには友情の他にどんな色合いも混じってはいなかった。

 男女に友情は成立しないと言う人がいるけれど、私はそうは思わない。私とR君を含む数人の仲間の間にあったのは、どう考えても友情であって、その頃の私は中1天敵君とのウワサに傷つきながらI先輩とか同級生のT君とかに日々胸をときめかせつつ、R君たちとバカ話をしては朗らかな毎日を過ごしていた。

 何であの頃の私は、R君とつきあうことを考えなかったんだろう。
 あんなに良い少年だったのに。一緒にいて心なごむし、頭脳明晰で将来有望で人気者でショパンが弾ける。とびきりイケメンというわけじゃなかったけど、ルックスも悪くなかった。

 R君とつきあってたら・・そして、そのままゴールインとかしてたら、きっと別の人生だったろうな。R君は日本人ではなかったから、親戚づきあいとかに苦労したかもな。でも、中学の同級生だから(昔から家でもよく話をしていたから)幼なじみってことで、ダーリンみたいにウチの親にしょっぱなから抵抗されることは無かっただろうな。ダーリンが今味わっている「拒絶される切なさ」を、相手に味わわせる辛さを、私は経験せずに済んだかもな。

 今を・・ダーリンを選んだことを後悔しているわけじゃないけど。

 なんかね。
 カルピス味の気分です。あまずっぺ~ 

今年の仕事 その3

2008年07月20日 | 食べもの
 ・・は、ちょっと不本意。
 去年のコトがあって、今年は失敗しても良いように1kgしか漬けなかった。しかも、今年は梅の実が不作みたいで、実は小ぶりだし、器量の悪いのも目立つ。しかも、手に入るのが予定より1週間遅れた。それで赤ジソを仕込むタイミングが合わず、結局、こーんなしょぼい色合いになってしまった。鮮やかな「成功梅干し」にはなりそうにない・・

 うむぅ。
 今年が失敗だと、ますます去年の怒りがよみがえるぞ・・

 去年のちょうどこの時期、私は嬉々として梅仕事に励んでいた。その前の年は梅を漬けなかったから、よけい楽しかった。

 その喜びを台無しにしてくれたのが
中国製品だった・・

 厳選した上質の有機栽培の南高梅、海の塩を使って、無農薬の赤ジソで・・とウキウキ漬け込んだ梅が赤く染まり、いよいよハイライトである土用干しの日が来た時、私は、漬けた甕の中で起こっていた異変に気づいた。

 重しにしていた陶器製の落し蓋に無数の細かいひび割れが入っていて、爪でコシコシすると釉薬とその下の茶色い陶器肌が粉になってはがれる。

 ・・な、なんじゃこりゃあ

 食品。口に入れるものだから、異物が混入していたらキモチ悪くて食べられないじゃん!しかも、梅酢の酸で有害物質でも溶け出していたら・・ひぇぇ~
 
 慌てて、購入店とか消費者センターとか陶器メーカーとかに連絡しまくった。
 梅干しは毎年漬けるものだから、原材料はもちろん、道具も安全性を謳った国産品をそろえた。ただし、落し蓋は・・「上にちょこんと載せとくだけだし」と思い、重しの総重量を計算して足りなかった分を補うため間に合わせの安いヤツを買ったような記憶が・・ああ・・何てことだ・・

 国産陶器メーカー「久松」さんが親切にもこの中国製落し蓋の成分分析をしてくれて、とりあえず鉛のような有害物質は検出されませんでした。でも、ひび割れ(貫入というんだそうです)の釉薬片は鋭利だったりするから、食べるのはやめた方が良いというご助言。
 漬けた梅、全廃棄しますた・・

 これで懲りた。
 もう中国製品は買わない。・・できる限り(←トホホ)。

映画「西の魔女が死んだ」

2008年07月18日 | 映画
 いまさっきテレビでトトロやってた。やっぱし観てしまった。
 ナウシカとトトロは、何度も観てるのに、やってるとついつい観ちゃうんだよな~。

 それはさておき。
 6本観たら1本タダという特典を使って、本日、観てきました。
 「西の魔女が死んだ」

 いい映画でした。
 もし、観に行こうか迷ってる方がいたなら、「それは観た方がいいよ」と申し上げます。映画1本すら、観るべきか否か決断ができないアナタ、そういう方にこそ「効く」映画だと思います、きっと。

 ネタばれかもしれませんが、感想など。

 観終わって私は、魔女修行をせねば・・と思いました(←単純)。マジ、日々を反省した 奇跡は、こういう修行からしか生まれないんだ、やっぱし。
 キム兄が、なかなか好演でした。東の魔女が最初に目撃した奇跡・・と思わせてくれる、いい味を出してました。

 私がついウルルっ・・ときたのは、実は前半の方でした。ワイルドストロベリーフィールドのシーン。亡くした人の愛は、こういうかたちで届く。それはきっと、本当にある奇跡なのだろうと思う。

 おばあちゃんが英国人だからこそ「魔女」の存在に現実味があるけど、一方で、諍いの後に少女がほおばるのがトーストなのが、私の中ではふっと距離感ができてしまって、まぁそれはそれでベタベタにならずに良かったんだろうけど(サラダもスープもとても美味しそうではあったけど)・・あれがもし「おにぎり」だったら、間違いなくそこで号泣だな私は。
 これは年代の差か?それとも好み、かな。

 生のアップルミントの葉を浮かべた紅茶をいただいた後のような、爽やかであたたかい作品でした。

【天敵】考

2008年07月18日 | 心や命のこと
最後に振り返ると、あなたにも解るはず
結局、全てはあなたと内なる神との間のことなのです。
あなたと他の人の間のことであったことは一度もなかったのです。

マザー・テレサ


 なぜ彼が【天敵】なのか。
 
 よくよく冷静に考えてみれば、彼は単に「面白くない年下の男」にすぎない。
 そこそこ頭が良い(バツグンに明晰というわけではないのは、周囲の皆も同意するところ)だけの、社会人としての配慮に欠ける、権力志向と自己顕示欲が強くて自己正当化が激しいだけの人物。

 クセがあってつきあいづらい、御しがたい人物など、世の中には山ほどいる。私の周囲にも事欠かない。
 その中で、なぜ彼だけを私は【天敵】と認識してしまうのか。

 それは、彼と対面した時に自分の中に湧き上がる【ダークサイドな感情】が、非常に苦痛でイヤなのだ。

 彼の近くにいると、私の中にある朗らかさやのどかさ、落ち着き、寛容さや基本的好意(愛想)といった要素が消えていってしまうのだ。イライラして、神経質で、生意気で許容量の乏しい、卑屈で気弱で尊大な自分しかいなくなってしまう。

 そんな自分が、イヤなのだ、結局は。
 彼の存在そのものがどう、ということではないのだ。

 だからこれは修行なのだと思う。
 私という人間が、人間的に成長するために、天が配した人材。

 だから【天敵】。
 
 中1の時も、クラスにこの【天敵】がいた。
 あの頃の私はコドモだったから、ムキになって彼より優位に立とうとした。しかも悪い(?)ことに、私は正義感の強い子供だったので、いじめるとかいやがらせをするとかそーゆー手段を使うことは潔しとしなかった。つまり理屈と正当な競争(成績とか)で彼を負かそうとしたのだ。
 理屈を戦わせる=いっぱい口喧嘩する=会話が多い・・という構図になり、「風野とアイツは仲が良い。デキている」ということになってしまった。
 ・・なんでそーなる・・

 中1の天敵君は、私とウワサになって存外嬉しかったのかもしれぬ。ちょっと変わった子で周囲から浮いていたので、怒りながらにしろ無視せずマトモに相手してくれる私に、好意を抱いていたのかもしれぬ。
 でもそんなことは私のあずかり知らぬこと。
 この天敵君とのウワサは、立てる人にとってはただのネタだが、当人にとっては深刻なトラウマになった。
 他の誰とウワサになるよりも、大っ嫌いで顔見るだけでムカつく相手と「デキてる」と言われる辛さ。「あんな奴キライだ」と、言えば言うほど「まぁたまた~(ニヤニヤ)」「意識しちゃってぇ」と、まともに取り合ってもらえない淋しさ。
 私が、恋愛恐怖症にも似た男性嫌いになったのは、この天敵君とのウワサが本当に大きい。
 下手すると今でも、中学の同窓生がたまに顔を合わせると、私と天敵君のネタが蒸し返される。蒸し返す方は悪気はないんだけど、まったくもって不快。「次に蒸し返す奴がいたら公衆の面前でマジ泣きしてやろうか」と企んだことすらある。

 今はもうダーリンときちんと恋愛ができて幸せだから、余裕で「あの頃はコドモだったなぁ」と笑えるけれど。

 ・・今の【天敵】氏との関係も、いつか笑って思い出として語れるような「器の大きい人間」に成長したいものだのう・・
 

本日のお言葉

2008年07月17日 | 心や命のこと
人は、不合理、非論理、利己的です。
気にすることなく、人を愛しなさい。

あなたが善を行うと、利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう。
気にすることなく、善を行いなさい。

目的を達しようとする時、邪魔だてする人に出会うでしょう。
気にすることなく、やり遂げなさい。

善い行いをしても、おそらく次の日には忘れられるでしょう。
気にすることなく、し続けなさい。

あなたの正直さと誠実さとが、あなたを傷つけるでしょう。
気にすることなく、正直で誠実であり続けなさい。

あなたが作り上げたものが、壊されるでしょう。
気にすることなく、作り続けなさい。

助けた相手から、恩知らずの仕打ちを受けるでしょう。
気にすることなく、助け続けなさい。

あなたの中の最良なものを、世に伝えなさい。
蹴り返されかも知れません。
でも、気にすることなく、最良なものを与え続けなさい。

マザー・テレサ


 天敵が、学士会の会報に寄稿した文をみつけた(・・つーか、実家に届いた会報を見て、わざわざ両親が付箋を貼りつけて郵送してきた)。
 同じ研究室にいた時分、私が支持する論理や概念をさんっざんバカにしてたくせに、何だよこの文は。まるで初めから支持していたと言わんばかりの文体。彼自身のオリジナルな発想は何ひとつ無いくせに、文末の結びに「筆者はこう考える」って何度も何度も。この【手のひら返し】には唖然とする。おまけに、動物種によって異なる生存戦略のうちのひとつの包括適応度について知らないのじゃないの??(まさか理系生物系の教員でそれはあるまい??)って感じで、情緒論でまとめてくる始末。
 男としても研究者としても、内実はダメダメじゃん。

 この男を、両親は「結婚相手として良いんじゃないの?」とアピールしたくて、付箋つけて送ってくるのだ。
 ・・メイワク。

 誠実でやさしいダーリンを気に入らず、こんな自己顕示欲丸出しのダメ男を薦めてくる親、その動機はひとえに天敵の職業が「大学の教員」だからだ。人柄なんか「そんなの、気にならなくなるわよ」と言う。

 やめてくれ。

 第一、天敵は妻帯者だ。両親はそれも知ってるはずだが?ボケて忘れたか?

 ・・でも。
 まぁ、学士会報の寄稿文については、いいや。
 彼は自らあの理論の広告塔になってくれたと思えば良い。せいぜい派手にパフォーマンスして、役立ってくれぃ。

 この理論・概念の実現は、私自身の手柄になんかならなくて良いんだもの。だれの手柄となっても、結局、将来の日本の自然と、それを享受する子々孫々たちのためになれば、それでオーケー。

 だいいち、誰の手柄とみなされようと、そんなのは百年もすればみんな忘れ去られる。
 そして、みどり豊かな山河だけが残る。

 それで、良いのだ。

天敵とのつきあい方

2008年07月14日 | 日々のこと
 天敵と呼びたい人がいる。
 事情があって、ど~しても年に数回は会ったりメールをやりとりしたりしなきゃならなくなる。

 仕方ない。
 年に数回だ。

 会っていた間の感情や印象の記憶を、できるだけ速やかに消去消去(笑)
 早く日常に戻ろう。ダーリンとのラブラブな日常に

 だって、こっちでいくら毒づいてたって、アイツには届かないんだ。まして、面と向かって「アンタ嫌い、ムカつく」なんて言う気も、態度でそれを伝える気も、さらさら無い。そこまでコドモじゃないもんアタシ。

 アイツの良い点だけ、ありがたく吸収させていただくさ。たとえばちょっとした文章の添削とか

 あのね。
 ある会議の出欠を問うハガキを、私が用意したと思いねぇ。
 出席・欠席と書いて、○をつけて返事をしてもらうアレですよ。

 単語だけじゃ素っ気ないかも・・と思った私は、
【 出席 ・ 欠席  します。】
 と書いて、○をしてもらう文面にした。

 アイツは、出席に○をつけてきた。
 ついでに、【欠席】と【します】のあいだの余白に【いた】とちっこい字で書き加えていた。

 ・・そんな謙虚な奴じゃないのさ、アイツは。【出席いたします】なんてタマじゃない。
 そうじゃなくて、要するに私の言葉遣いに対して「配慮が足りんよ、こう書くもんだよ」とさりげな~く指摘して、悦に入ってるのだ。
細かいよ、オメーはよ!
 あ~やだやだ、器のちっちゃい男は。
 こーゆー男が大学の講師で、知らない人ビトから尊敬とか賞賛とかされちゃうのかぁ~・・。
  ま、別にいいけど。