ＮＨＫが振り込め詐欺防止キャンペーン・・・

　とうとう公営のＮＨＫまでもが振り込め詐欺防止キャンペーンのスポット-アナウンスを始めた。欽ちゃんことタレントの萩本欽一さんと女優のあき竹城さんがキャラクターに起用され、１５日に日ＮＨＫで収録されたそうである。スポットは３０秒で、息子を装う手口、社会保険庁職員を装う手口や、自宅でキャッシュカードを回収する手口など全６パターンあり、１８日から来年３月までＮＨＫの各チャンネルで放送されるそうである。
　先日、欽ちゃんがＡＴＭの前で「言われるがまま、振り込んじゃダメ～！」と言い、そのあとであき竹城さんが出てくるスポットを見たが、果たして効果のほどはどうだろう。

　振り込め詐欺に関する話題と言えば、１１月２１日放送の日テレ「太田光の私が総理大臣になったら…」で、『振り込め詐欺の被害は全額国が補償します』というマニフェストが、泉ピン子、ラサール石井によって提出された。結果は、反対１０、賛成９で否決。また、一般視聴者の投票結果は反対７９％　賛成２１％だった。誰が考えても当然の結果である。大体、議論するのもおかしいマニフェストで、賛成９という数字が出たことにあきれている。
　振り込め詐欺は、「親離れできない子と、子離れできない親がつくっている日本社会ではじめて成立する犯罪である」と指摘するジャーナリストがいるが、まったく同感である。第一、何百万円もの被害にあうのも「出せる人」だからで、振り込め詐欺に引っかかったから生活に困ったという話は聞いたことがない。また、警官や銀行員の説得を振り切って振り込んだバカ親が複数いたというから、「出せる人」がそれで満足するなら勝手にやらせておけばいい。この一般視聴者の反対７９％というのは、「こんな人たちのために、なぜ国民の税金で補償せねばならぬ、馬鹿言ってんじゃないよ」という声であろうと私は思っている。
　警察やメディアが全力をあげて撲滅キャンペーンすればするほど詐欺グループは増えているそうだ。そして、手口はますます巧妙になり、最近はＡＴＭが使いにくくなったこともあって、バイク便を使って自宅に取りに行かせたり、郵便局の小型小包「エクスパック」に現金を入れて郵便ポストから送るよう指示したりするそうである。
　もし国が全額補償するということにでもなれば警戒心がゆるみ、今以上に安易に振り込む者が増えるだけである。これは落ち着いて対処すれば防げる犯罪であり、はっきり言って自己責任といわざるを得ない。人を疑うのは良くないことだと教えられた昔とは違って、うっかり戸も開けられない物騒な世の中である。まずは疑って掛かることが肝要であろう。

　話がそれるが、先日の元厚生省ＯＢ殺傷事件では犯人が宅配便業者を装っていたことから、本物の宅配業者が不審者扱いされ仕事に支障をきたしているという。大手業者では配達員に身分証を持たせ、提示することを徹底させているというが、この忙しいお歳暮時期に気の毒なことである。だが、我々は被害者にならないためにはもはや自己防衛しかないのだと思う。
　この卑劣な犯人を許せないのはもちろんだが、ニュースを見ていて不愉快になったことがある。犯人の父親が、腕組みをしたまま淡々と取材に応じていたことである。あれではどんなに謝罪の言葉を述べてもまったく心が伝わってこない。成人した息子の犯罪に親の責任を問うつもりはないが、重大な罪を犯した息子に代わって詫びるのなら腕組みはないだろう。