安倍総理、冷ややかな視線で冷房いらず？・・・

　今日は終戦記念日、小泉前首相は１人で前年通り靖国神社へ参拝した。が、安倍首相は就任後初めて迎える終戦記念日であり、その動向が注目されていたが、先の参院選惨敗や中韓両国への影響も考慮してか参拝はしなかった。また、高市氏を除く閣僚１５人も今日の参拝を自粛したようである。
　参院選惨敗後も続投を表明した安倍首相は２７日に内閣改造に踏み切る構えだが、自民党内には退陣を求める声が公然と上がっている。国民の支持率は下がる一方だし、地方自治体の保守系議員の間でも“辞職すべき”の声が広がっているという。それにもまして目の前で、同じ釜の飯を食う自民党議員から“辞職すべき”と言われては、いかに問題ありでも少々気の毒である。安倍総理は、この四面楚歌ともいえる今の自分を、就任当時には想像だにしなかったであろう。
　「小沢さんをとるか、私をとるか」と大見得を切ったのはよいが、蓋を開けてみれば思わぬ惨敗。こういった世情の空気を読めぬお気楽さは、やはり“お坊ちゃん”と言われても仕方なかろう。閣僚交代４人、その他にもお口の軽い大臣の失言で足を引っ張られ、決断の時期を誤って自殺者まで出したことは想定外のことであろうが、すべてにおいて優柔不断な一面が目立った。
　赤城農相にしても、選挙の３日後に更迭。この人の不明朗な事務所費、経費の二重計上事件は、松岡農相の問題と同じく国民がいかに怒っていたか、まるでご存じなかったらしい。選挙結果がこれほどではなかったら更迭はなかったかもしれない。それを参院選での自民党惨敗にあわてふためき、赤城農相を官邸に呼んで辞表を提出させ受理したという。が、選挙前にやっていれば少しは違っていたかもしれないのに、すべてが後手後手である。
　また先日来、小池防衛相が事務次官のすげ替え人事で、あの田中真紀子の二の舞をやらかしているようで、一難去ってまた一難。優柔不断、求心力不足を言われているが、若さゆえの経験不足ばかりでなく、魑魅魍魎のうようよする中にあっては思うようにできないのも致し方なかろうと同情しなくもない。
　現内閣は「論功行賞」が目立ち、「仲良し内閣」「お友だち内閣」といわれ、人選の不手際が浮き彫りになった。先頃は森喜郎元総理が「谷垣、福田を起用せよ」といわんばかりの発言をし、各派閥からの推薦も取りざたされている。しかし今度は、他派閥領袖の思惑やしがらみに左右されることのなきよう適材適所の人選をしてもらいたい。どうせ安部総理にとって代わる優秀な人材がいるとも思えず、別に支持しているわけではないが、代わりがいないということにおいては支持せざるを得なくなってくる。

　話は変わるが、衆院で与党、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」は、４日間で早々に閉幕。民主党が単独で提出した年金保険料流用禁止法案と、社民・国民新両党の郵政民営化法改正案は、いずれも廃案は承知で提出したものだという。
　新聞によれば、この年金保険料流用禁止法案は先の通常国会で廃案になったのだが、民主党は参院の与野党逆転をもたらした民意を生かすとして再び提出したという。流用された保険料は、１９４５年度から２００５年度までに６兆４千億円にものぼる。それも、自らが加入する公務員の共済年金の保険料には一切手をつけず、一般国民の保険料にたかってきたというのだ。政府・与党は、社保庁を解体し、日本年金機構に衣替えする改革関連法を先の国会で成立させ、その際、保険料流用について年金福祉施設の建設は禁止したが、新たに「年金相談、年金教育・広報、情報提供等の事業を行うことができる」との規定が設けられ、流用禁止は不徹底に終わったという。これでは抜け道が残り、従来通りの流用が継続される恐れが指摘されている。「社会保険協会」など社保庁に群がる多数の天下り法人が温存されていることは、保険料の流用をあてにしているからではないかといわれ、民主党が一切の流用を禁止する法案を再度提出したのは納得できるという。
　しかし、郵政民営化法改正案に関しては何を今さらである。今秋１０月実施を目前にし今さら中止、変更など、それこそ税金の無駄遣いである。これは過去に国民が審判したはずでもあり、元郵政族の議員たちが自分たちをアピールするためだけに提出しただけであれば、全く時間の無駄である。