支持率が上がりだしたよ、麻生さん！・・・

　今月１０日から３日間、ＮＨＫが行った世論調査によると、麻生内閣を「支持する」と答えた人は、先月より１２ポイント上がって３０％になったという。麻生さんは「支持率には興味ない」そうだが、そうは言っても、気にならないわけはないだろう。最近の民主党は小沢問題で沈滞ムード、その反対に麻生さんは至ってご機嫌うるわしく、強気な姿勢がうかがわれる。党内からは５月解散、６月７日選挙といううわさもちらほら…。案外、麻生さんの頭の中にはすでにその構想が…？
　しかしながら、麻生内閣の政治力が評価されたというわけではなく、「ほかの内閣よりよさそうだから」が４４％、他にないから仕方なくというのは情けない話である。また、次の衆議院選挙後の総理大臣に、麻生さんと小沢さんのどちらがふさわしいか尋ねたところ、「麻生さん」が１９％、「小沢さん」が１４％、「どちらもふさわしくない」が６０％。やはり与野党ともにトップの首をすげ替える必要がありそうだ。
　また、各党の支持率はいうと、自民党が先月より１ポイント余り下がって２８．０％、民主党は１ポイント近く下がって２０．４％。こうしてみると数字的には自民党支持の方が高いのだが、「何かが変わる」ことを期待して、とりあえず民主党にやらせてみたいと思っている人も多いという。私もそう思っている1人だが、果たして小沢さん抜きの民主党に政権担当能力があるかが問題だ。たとえ政権は取れても、官僚に抵抗する強力なリーダーがいなければ政権は維持できない。その点、小沢さんの顔は押しが利きそうである。
　しかし、先日、日本経団連の御手洗会長は自民党大会で、「自民党が衆院選で勝利することを祈っている」とあいさつした。昔から、日本経済界は自民党支持と決まっていたが、これで自民党と経団連が一心同体である事が証明されたということである。また、このところの麻生さんの勢いをみていると、やはり自民党なのかなという気がして、少々拍子抜けしている。

　世論調査の数字がどこまで正確か、それを国民がどこまで信じるかによって、また動向は違って来るだろう。１２日の『たかじんのそこまで言って委員会』の番組中、レポーターが「あなたは世論調査結果を信じますか？」と、街中の人たちに質問した。１０人ほどの人たちだったが、うち１人の若者を除いては全員が「信じない」と答えていた。
　新聞社やテレビ局が行う世論調査は、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるＲＤＤという方法で行われるが、対象は固定電話に限られている。しかし、昨今は携帯電話の普及で固定電話は減少しているといわれ、特に若者のほとんどは携帯である。それに、昼間家に居る人といえば専業主婦か年寄りで、政治に一番関心を持ってほしい働き盛りの若者や中高年の意見は反映されていないということになる。こういう状況での世論調査の数字は必ずしも公正とはいえず、信じないという人が多いのもうなずける。

　先日、ＮＨＫの番組で、若者層の政治への関心を高めようという活動を始めた若者が紹介されたが、昨今の若者の政治離れは深刻だという。そういえば私も２０代の頃は、総理大臣の名前を知っているくらいで、全くと言っていいほど政治に無関心で、選挙に行ったかどうかも記憶にない。新聞は若い頃から今になるまでずっと購読し続けているが、政治の世界が今のように身近に感じられなかったし、若いうちは社会保障問題も自分には関係ないことのように思えて関心が持てなかった。いうなれば世の中はそれなりに平和で、政治家に任せておけば安心というのんきで居られた時代であったのかもしれない。
　昨今、投票所に行っても年寄りばかりで、ほとんど若者の姿が見えない。これでは老人たちだけで政治を動かしているのと同じで、いつまでたっても政治は旧態依然としたままである。麻生さんは以前から秋葉原へ行くなど若者層をターゲットにしているようだが、先日も記者たちを前に、若者に人気のアイドルが表紙になっている雑誌を持ち出し、博識？ のあるところを披露、若者の歓心を買おうとする様子がうかがえた。そうしてみると、麻生さんはすべてを見通した上で、若者票の取り込みを画策しているとしたら、意外と賢いのかもしれないなあ。