つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

イージス艦衝突事故、捜索打ち切り・・・・

2008-02-29 | やりきれません
 海上自衛隊イージス艦と漁船の衝突事故で、清徳丸が所属する漁協の外記組合長は28日、行方不明になっている吉清さん親子の家族の意向を受け、防衛省と海上保安庁に捜索の打ち切りを求めたという。「最大限の捜索に家族は感謝しているが、発見が難しくなった以上、いつまでも税金を使わせていただくわけにはいかない」と説明したそうである。しかし、海上自衛隊と第3管区海上保安本部は、当面は捜索を続ける方針だとか。これだけの大捜索にも関わらず何の手がかりもないとは、改めて海の怖さを思い知らされた。
 
 この事故に関する情報開示が二転三転したことで、事実の隠蔽だとか、説明に虚偽の疑いがあるなど、マスコミ報道は止まることがない。そして国会はといえば、石破防衛大臣の辞任を求めて、野党がここぞとばかりに息巻いている。もはや石破防衛大臣の辞任は時間の問題といわれているようだが、ここで辞任して一体何が変わるというのだろうか。事実の解明と事故防止の徹底、自衛隊の綱紀粛正など課題は山積しており、辞めるのはそれらが解決してからでも遅くはないだろうに…。野党の存在感を示す絶好の機会とはいえ、ただ相手のミスにつけ込んで大騒ぎする野党には少なからず失望感を覚えている。

 24日の日曜日、「たかじんのそこまで言って委員会」でこの事故が取り上げられた。ゲストに軍事評論家・神浦元彰氏が招かれ、専門家の目から事故を分析したが、その中で注目すべき発言があった。
 神浦氏は、イージス艦の乗組員の注意義務違反は厳罰に値するもので、海事のプロにあるまじき行為である。当然その責任は追及されるべきであるが、この事故の責任は双方にあるというのである。これは今も証言が食い違っている点であるが、衝突の10分前に、僚船が清徳丸から無線で「(あたごに)ライトで照らされた」という連絡を受けていたという。これが事実ならば清徳丸もイージス艦の接近を察知していたことになる。そこで、僚船は回避したのになぜ清徳丸だけが回避しなかったのだろうという疑問が生じるというのである。
 それは私も疑問に思った。しかし、マスコミも国も、今まで清徳丸の責任について言及する者は誰もいなかった。それを上浦氏はあえて触れたのであるが、同時に、たかじんも日テレの辛坊アナも、三宅久之、森本 敏、田嶋陽子、桂ざこば、筆坂秀世、かとうかず子、宮崎哲弥、村田晃嗣の諸氏が、まったく異論を唱えなかったことが意外であった。異論を唱えなかったということは、誰も思ってはいたが口にしなかっただけということであろうか。
 そして、イージス艦が早い段階で危険を知らせる警笛を鳴らしていれば、清徳丸とて気づいたであろうに、なぜ警笛を鳴らさなかったのかという発言に、視聴者からの投稿は「法から言えば先に警告の汽笛を鳴らすのは僚船ではなかったのではないか。数隻いた漁船は、どの船も鳴らすことなく、目前でUターンしたりして、回避しているが、漁船側のなすべきことをしっかり調べて発言すべきである」と…。
 また、「先ごろの沖縄の中学生の事件でもそうであるが、マスコミの報道姿勢が反論できない自衛隊や米軍一辺倒になるのはいただけない。被害者や漁船の問題点を少しでも言おうものなら、激しく反論が来るものだから事なかれ主義の態度に出ている。これが真実を報道するマスコミの実態なのかな? どちらが悪いか? だけではなくて再犯や悲惨な事故を二度と繰り返さないためには、感情的な批判に終始することなく、双方の問題点は憚りなく追求すべきである」という投稿もあった。最もな意見ではあるが、このような問題をバラエティー番組で取り上げるのは少々不謹慎ではないかという気もした。
 吉清さん父子の証言が得られない今となっては、真実の解明は難しいだろう。一体清徳丸に何があったのか。今となってはもう知るすべはないのだろうか。

 ちなみに、1998年7月に起きた潜水艦なだしおと遊漁船が衝突、沈没した事件では、なだしおの艦長達が衝突時の航海日誌を後に改竄していたことが発覚。世間の批判を浴びた。そして、1ヵ月後この事件によって当時の瓦力防衛庁長官が引責辞任をした。
 当時の資料に寄れば、2年後の8月、高等海難審判庁は採決において「なだしお」の回避の遅れと、「第一富士丸」の接近してからの左転に問題があったとして、双方の責任を指摘した。なお、刑事事件としては横浜地方裁判所が「なだしお」元艦長に禁錮2年6ヶ月執行猶予4年、「第一富士丸」元船長に禁錮1年6ヶ月執行猶予4年の判決を下したとある。
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