「カバー写真 2017.4.18 4:39 フェリーと明けの明星」
『NHKおはよう日本』内に「まちかど情報室」というコーナーがある。毎朝、アイデア・便利グッズなど、楽しいもの、役に立つものをいろいろ紹介している。日ごとにテーマが変わり、そのテーマに沿ったグッズ3種類が紹介される。多種多様なオリジナルグッズがあり、一体、どこから考え付いたのだろうかと感心するものもあれば、中には「?」と首を傾げたくなるものもある。
その中の一つ。2月中頃だったか、その日のテーマは「時間を短縮できます」で、商品名は「両方から履けるサンダルファインぬぎっパ」である。ベランダに出て洗濯物を干し終えてそのままサンダルを脱ぐと、今度履くときは向きを変えて履かなくてはならない。が、このサンダルだとそのまま履けるから時間の短縮になるというのである。サンダルの真ん中にバンドがついていて、そこで幅を調節できるので男性、女性どちらでも履けるという。
たしかにいちいち向きを変えなくていいから時間は短縮できるだろう。が、ちょっと考えさせられた。靴でもスリッパでも脱いだら、次に履くときのために向きを変え、ちゃんと揃えるというのは常識であり、親は子どもが小さい時からしつけておくべき常識、マナーである。
一昔前はそれが当たり前だと教えられていたが、最近はどうだろう。こういう便利グッズがあらわれ、若い母親が重宝して使うようになったら、子どもにしつけることなどできるわけがない。私が通っているスイミングプールのトイレには5足のスリッパがあるが、それが後ろ向きに揃えてあって、次の人がすぐに履けるようになっているのは、たまに1足あればいい方だ。大人がこうなのだから子ども達のマナーは言わずとも分かるだろう。
私は母親がうるさかったので、履物は脱いだら必ず向こう向きに揃えるというのはもう癖になっていて、無意識のうちにやっている。我が家では3部屋どこからでもベランダに出られるように、各部屋の前にサンダルをおいている。ある時、そろそろサンダルを新しくしようかなと思って見たら、どのサンダルも踵に傷がついてビニールが剥げている。なぜかなと考えてみたら、後ろ向きになってサンダルを脱ぐとき、踵をサッシの敷居にコツンと当てて脱ぐものだから、そこだけ傷がついたのである。玄関履きのサンダルも同じで、マナーはいいけど、思いもよらないところで損をしていた。
昔、県北に住んでいたころの話。ある日、通っていたスイミングスクールのトイレで5歳くらいの女児が、後ろ向きにサンダルを脱いで、小さな手できちんと揃えているのを見かけて感心することしきり。思わず「おりこうさんね。ちゃんとできたね」と誉めてあげた。昔から「子どもを見れば親が分かる」「親を見れば子どもが分かる」と言われるが、この女児のマナーの良さに親ごさんの人となりをうかがい知れた気がした。
また、昨今はあいさつができない大人が多い。ウオーキングの途中で「おはようございます」と声をかけても返事がない。なぜ「おはようございます」の一言が言えないのだろうネ。時折、小学生や中学生が大きな声で「おはようございます」「こんにちは」と声をかけて通り過ぎてゆく。そんな時、私も大きな声であいさつを返す。そうやるとお互いが良い気持ちになれるんだけどネ。
世の中益々時間短縮、身体機能衰退への一歩
どうなるのでしょうね。
せめて吾々老人組だけでも、身に着いた良き習慣は臆せず伝えてゆきたいものですが、これさえなかなか簡単に実行出来ない複雑な社会が出来上がっているようで。
「まちかど情報室」を見ると、何と今の世の中は楽になったことか。戦後の生活を知っている我々には目をみはるばかりの変わりようです。
まあ高齢になっても一人暮らしがたやすくできるようになったのは有難いですけど、お金がなくては生きられない時代でもありますね。
常識やマナーも時代とともに変わってきているのでしょうかね。