つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

生きながらえた命の重み・・・

2006-06-28 | Weblog
 先日、みのもんた司会の「余命半年、6歳の我が子が命を……心臓移植に未来を託した家族の闘い全記録」と題した特集番組があった。
 この子どもは、今年7歳になった今井友輝くんのことである。彼は余命半年と宣告され、もはや心臓移植しか生きる望みを見出せないという切羽詰った状況にいた。しかし、現在の日本では15歳未満の心臓移植は認められていないため海外での移植に希望をつなぎ、昨年9月12日の茂原市役所での会見を機に、両親の友人たちが募金活動に立ち上がった。
 私がテレビでこの事を知ったのは昨年9月半ば頃であった。住んでいたケアハウスから社会復帰し、自立してもう一度頑張ろうと決めた引越しの準備中で、友人たちに頂いた餞別の一部を、みんなの了解を得て募金に協力させてもらった。その頃は1千万円にも満たない募金額であったが、その後、千葉ロッテの球団を挙げての募金活動が多くの人の心を動かしたのか、最終的には1億2千万円超の募金額となった。
 また同じ頃、福岡市にもう一人心臓移植でしか命永らえるすべのない少年がいた。江口哲郎くん(当時9歳)は、平成17年3月に特発性拡張型心筋症と診断され、海外での心臓移植を決意し、受け入れ先もドイツのハノーバーに決まっていた。しかし、渡航準備をしていた矢先、容態が急変し9月8日急逝したのである。役立つことのなかった善意の募金1億2千万円の使途は、その一部を基に、同じように心臓移植を目指す個人の募金活動を支援するための基金を設立することになり、その一部は友輝くんのためにも役立てられたそうである。
 この善意が通じて、友輝くんの移植手術は成功し、1月22日に無事帰国し、現在は術後の症状を慎重に見守りながら療養中であるとのこと。部屋内だが、父親や弟と好きな野球の真似事をしたり、歩き回り、走ることもできるまでに回復している姿をテレビで見てうれしくなった。
 
 わが国では現在、臓器移植法で15歳未満の子どものドナーからの臓器移植は認められていない。また、臓器移植に年齢制限がある国は、世界中で唯一日本だけであり、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツなどの欧米主要国では臓器移植に年齢制限はなく、多くの子どもの命が救われている。それにひきかえ日本では、現在、移植を必要としている子どもは年間50人、そのうち30人ほどが命を落としているという。また、受け入れ先が決まり渡航しても、適合する心臓を持つドナーが現れるのを待つ間にも、命を落とした子どもは数知れない。一刻も早い法改正が望まれる。
 このように、民間レベルで支援活動が高まっている中、企業や自治体が無関心でいることは倫理上からも許されることではなかろう。欧米では慈善事業や、募金活動に協力することは成功者のステータスシンボルになっており、一様に競って支援・協力をしている。日本のように、政界や経済界の主だった者が個人的に財を蓄え、ヒルズ族だのセレブだのと浮かれているようでは、まだまだ世界の一流の仲間入りはできないだろう。

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