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片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

4/24 川上未映子『黄色い家』読了

2025-04-24 22:54:30 | 読書
 川上は2008年に芥川賞を受賞している。このとき読んでいるかもしれないが記憶にはない。本作が初めてだと思う。かなり読み応えのある小説だった。最近読んでいる作家の本のようにすらすらと筋を追って読み進めると言うようにはいかなかった。台詞一つ一つが重い。読み終わるまで3・4日掛かった。彼女の作品は英国などでよく読まれているようだ。最近の英国における翻訳本の中で日本作家の占める割合は4割近くになっていると言う。それに彼女も大きく貢献している。
 筋は、主人公花がネット記事で、黄美子という女性が未成年の少女を監禁しケガさせたことで裁判にかけられたことを知る。その黄実子は凡そ20年前女子高生だった花が一緒に暮らした女性だった。黄美子は母子家庭だった花の家に時々滞在し知り合った。その後母親が男と暮らし始めたため、黄美子と同居し始める。黄美子の始めるスナックで一緒に働く。その内同世代の未成年の少女二人も加わる。しかしそのスナックが火事になり全員の生活に必要な稼ぎができなくなる。黄美子も発達障害的なところがあり、二人の少女も指示待ちで、花が一人で方便を考えねばならなかった。そこで黄美子の知り合いのヤクザ映水に仕事の紹介を頼む。彼の持ってきたのが、クレジットカードや銀行カードのキャッシングだった。大きな稼ぎになった。しかし最後には四人の関係が崩れる。
 表題の『黄色い家』は黄美子が風水に凝っていて、ある方角にお金の色の黄色を祀るとお金ができると花に聞かせ、それから花は家の中に黄色のものを集め並べ始め、最後には壁まで黄色く塗り始めるところから来ている。

 川上未映子の他の作品も読んでみたくなった。最近は英国のブッカー賞の候補になった『ヘブン』なども話題だ。
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4/18 町田そのこ『わたしの知る花』読了

2025-04-18 15:20:29 | 読書
 私の同世代の登場人物たちの生涯に渡る恋愛小説だ。作者のプロットの立て方には感心させられる。単なる人情噺を超えた深さもある。最近名前が良く挙がるのも頷ける。私が最近読んでいる作家たち、伊予原新、万城目学、乗代雄介などもこの町田と共通する心性を持っているように思う。優しく真面目で自分ではナイーブだと思っている風を装いながら実はしぶとい。図書館のおかげで読書を心ゆくまで楽しませてもらうことができる。
 妻がニコンの双眼鏡を購入した。8×30で倍率は私が持っている中国製と同じだが、対象物のクリアーさが違う。値段が中国製の5倍もする理由だろう。
 私が最近購入したモノキュラー一眼鏡。スマホのカメラに取り付けることができると買ってみた。この前に3千円ほどのを買ったが、ねじがすぐ馬鹿になり返品した。その後これを買ったがこの方が値段は半分なのによく見える。8×40で、対物の径が大きいので見やすい。スマホに装着すると丸い枠が映ってしまうので撮影後にトリミングする必要がある。スマホは高倍率のシャオミ15ウルトラを買おうと考えているが20万円近くなので悩んでいる。妻は「わたしのお金」を持っているがこちらには「わたしのお金」がないので買う決断ができない。
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4/17 西條奈加『睦月童』読了、芝刈り。

2025-04-17 22:50:44 | 読書
 ファンタジーだ。設定が面白い。西條奈加の本はまだ沢山図書館にある。ただし、読んだか読んでないかの記憶があまり定かでなくなている。これも以前読んだことがあるような。
 裏の道に落ちた楠の葉を掃いた。ついでに槙の木の下の水仙とその中に混じっている雑草も刈った。これは3日前から初めた。芝のエッジの草刈りから初めて、今日やっと芝刈りまで漕ぎつけた。1日2・3時間しか仕事ができない。
 もうすでに緑色が濃くなり始めている。バラのつぼみも膨らみだした。
 満開だった土手の桜も葉桜になった。季節の移り変わりは早いものだ。

 学生時代の友人との恒例の旅行は私のキャンピングカーを使うことで合意してもらった。学生の頃何度か通った安房峠を超えてみたいとの意見も出ている。数年前妻と超えたときは、安房トンネルができていることで通行量が少なくて落ち葉にうずもれているような印象だった。5月半ばなら雪もなく新緑の谷が見下ろせることを期待している。
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4/15 島田雅彦『傾国子女』読了

2025-04-15 23:27:36 | 読書
 今回この著者を2冊借りてきた。
ある女性の一代記だ。貧乏画家の父親とその父親に幻滅しかけている母親との暮らしをしていた。その父親が家を出て、母親の愛人が同居するようになる。高校生白草千春は美人過ぎて学校でも浮いている。同じクラスで成績が良すぎてやはり浮いている同級生由里と親しくなり学校以外の世界を覗くようになる。そこからこの千春が遭遇する男たちとの話が続く。美男だがヤクザの三下のボーイフレンド、そのヤクザの組長が関西のある金持ちから持ち掛けられた跡継ぎを産んでくれる女を探す依頼にこの千春を推薦する。母親の男から性的な興味を持たれている千春もこの話に乗る。そして京都の富豪の男の子を生む。その男は出産後も千春を手元に置いておきたかったが、その男の妻に子供を取り上げられ追い出される。その後もその美貌故様々な男たちが顕われる。その男たちは時の首相の息子だとか、高級クラブを経営している男、その店に出入りしている新進の政治家など。こうした金も力もある男たちは大抵その野心のために世の庶民・国民の利益を犠牲にしている。この男たちは千草と関わることでその後だまされたり事業を失敗したりする。新進政治家も出世の階段を上るかに見えたが落馬する。男達を失敗させる女なので傾国と表題をつけたのだろうが、結果として国の不幸は千春のおかげで軽くなっている。
 この一代記を書くのは、偶然街で老齢になった千春に目を停めた女性だ。千春もその七海を目にして七海の方へ向かおうとして道路の真ん中で暴走してきた車にはねられる。七海は千春を助けようと抱き起すと、「あなたは私の若い時に似ているわ。私の話を聞いてくれる?」と事故にあい瀕死の状態だと言うことを理解していないかのようにのんきな口調で話しかける。七海に話せばそれが懺悔になって己が身の曇りが晴れると。その後、千春は救急車で搬送される。七海は夜のニュースで千春が死んだことを知る。
 そんなことがあったのも忘れている頃、七海の友人が高名な占い師の予約が運良く取れたから一緒に行こうと誘う。その占い師は七海を見て「あなた連れて来たのね」という。「いえ連れられて来たのです。」と答えると、「あなたではなくあなたに憑いている千春の霊に言ったのよ。」その占い師ヘレンは昔千春に助けられたことがある。千春の霊を宥めるためには千春の一代記を書いて彼女の存在を残さなくては霊は離れないと言う。
 千春の男性遍歴が次々と物語られてゆくが、長々と続きすぎる。話に引き込まれて読み進みはするが、一方では少し飽きても来る。
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4/9・10-2 伊予原新『宙わたる教室』読了

2025-04-11 21:00:25 | 読書
 小川の里キャンプ場で読み終わった。しばらく前NHKのテレビでドラマ化して放送していたのは知っていた。図書館で目に入ったので借りた。
都立の定時制高校の物語。様々な生徒が通っている。2年生になると勉強が困難な生徒は脱落してゆき、それなりに意欲のある生徒だけが残る。しかし、外国にルーツのある生徒は意欲はあっても学科が難しくなるとともに日本語での学習に自信を無くしてくる。また何とか退学を免れて残った生徒にも脱落した元生徒が足を引っ張りに来る。
そんな中に、数学はできるのに文章を読む国語、歴史はまるでできない青年がいる。子供の時、親からでさえ不良品と貶められてきた。今の生活から抜け出すには車の運転免許を取らなければと、文字を読めるようになりたいとこの学校に来ている。新しく担任になった教師に、文字が認識できないのはディスレクシアの所為だと知らされる。音と文字を結び付けてその認識をすることに障害があったり、文字の形態の認識が問題だったりする学習障害の一つだ。その障害の人専用のフォントで記述された文字を示されると、認識できた。親も本人もそんな障害があることの知識がなかった。彼はその教師にそそのかされて科学部で活動することになる。この活動で興味を持ったことについては文章を読むことがだんだんできるようになる。こんな風にその定時制高校の中のそれぞれ問題を抱えた生徒が集まって、惑星の隕石衝突のメカニズムを研究し始める。それぞれが改めて自分の将来への夢や希望をまた見つけ出してゆく。彼らが行う実験や説明に著者の専門である惑星の研究経験から素人には知ることのなかった現象やら仕組みが語られる。
 キャンプ場で陽のある間は外で、暗くなってからは車内で読み続けた。ここまでくる間には著者の初期の作品『月まで3キロ』の月部落の対岸の道を通て来た。

 剪定した枝垂れ桜の花は天辺に近いところは少し咲いている。やはり夏の間の陽射しを十分浴びないと花芽が付かないのも知れない。今年全体に十分陽射しを受けてたくさんの花芽をつけてくれることを願う。
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