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片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

5/20 川上未映子『ヘヴン』読了

2025-05-20 23:03:51 | 読書
 2007年に芥川賞を受賞しているがその後の作品。受賞作の『乳と卵』も借りてきているが、こちらがそうだと思って先に読んだ。
 虐めにあっている男女の中学生の物語。読んでいて憂鬱になるほど重たい内容の小説だが読まされてしまう。確かに彼女の筆の力だろう。虐めたことはあっても虐められたことの記憶がないので虐められるとどんな気持ちになるのか想像も及ばなかったが、確かにこんな風に自己肯定して己が心を守るようにはなるだろうと理解はできる。
次を読むのが楽しみだ。
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5/19 慎泰俊『世界の貧困に挑むーマイクロファイナンスの可能性』読了

2025-05-20 10:14:43 | 読書
 マイクロファイナンスについては知っていたがその詳しい仕組みについては十分な知識がなかった。担保なしで少額の融資をする。融資の対象は主に女性で、家畜を飼育したりミシンを購入して縫製仕事で金を稼ぐ。それが女性の地位向上に資すると言う程度の知識だった。ムハマド・ユヌスがこのマイクロファイナンスを取り扱うグラミン銀行の成功で2006年ノーベル平和賞を受賞して世界の認識が向上した。彼は現在混乱しているバングラデシュの暫定指導者だ。著者もマイクロファイナンスの会社「五常・アンド・カンパニー」を創立して数百億の融資を行っている。第二の世界銀行にすることを狙っていると言う。かなり敏腕の事業家だ。「五常」とは儒教で説く5つの徳目「仁・義・礼・智・信」を指し、著者は二宮尊徳の教えから知ったと言う。現在世界的にこのマイクロファイナンスを行う機関は増えている。このシステムが好循環として機能するのか疑問だったが、草創期のグラミン銀行などある意味慈善事業家が行っている事業だと貸倒率は3%未満だと言う。しかし最近お金持ちの投資家が金儲けの手段として始めることが多くなって、出資者の利益を主要な目的にする機関が増えてきているようだ。そんなところでは25%ほどになると言う。
 マイクロファイナンスの基本的な機能は、例えばカンボジアでは、子豚を1頭5千円で購入し、8か月飼育するとそれが2万円で売れる。飼料や飼育の人件費を考えても収益率はほぼ100%以上になるので、年利30%程度の金利は問題ないそうだ。返済率が高いのは、貸付の時、部落の希望者を一堂に集め、その全員の前で貸し付ける。返済もまた同じようにみんなの前で返済させる。こうすることが銀行側の審査や貸し付けの手間を省くことになり、みんなの目で見られている意識を植え付け違約しないようにしようとの意識づけになるからだそうだ。ただ、本当に貧困脱出に大きく貢献しているかが疑問のところもあるそうだ。しかし今後この仕組みに大きな期待が持てることは事実のようだ。
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5/14-2 村田喜代子『美土里倶楽部』読了

2025-05-14 22:42:59 | 読書
 今年の3月末に出た村田の最新刊だ。新刊コーナーにあった。
夫を最近亡くした「未亡人」3人の話だ。状況はほぼ作者のここ数年と同じだろう。
 夫を亡くした喪失感とそれを埋めていく出来事。人によってその方法は異なるがそれなりに前向きになってゆく。コロナ下のこともあり、主人公美土里の夫は葬式に坊主も読経もいらないと言ったが、周りのことを考慮して簡単な葬式は執り行った。次の初盆や一周忌は美土里と娘夫婦で法華経の一つを唱えることに決める。数か月前からそのお経の練習を始める。本番を終えるとそれぞれが清々しさを感じることができた。やってよかったと思う。
 村田の小説らしさを感じられる淡々とした語り口だ。

 明日の朝からはいつもの学生時代の友人たちとキャンピングカーの旅に出る。東京近辺からの二人と御代田からの一人を小淵沢の駅でピックアップする。その後は55年前4人で超えた安房峠に行ってみようと言うことだったが、5月中はまだ冬季閉鎖中で車は入れないことが判明し仕方ないので新平湯トンネルを抜けようと思うがその後のことはまだ決まっていない
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5/14  『台湾の歴史 大全』

2025-05-14 14:11:33 | 読書
 新刊コーナーで目に入ったので借りてきた。とても自腹では買えない。 頭の方で、台湾の大まかな歴史を記述している。その次はその歴史記述の中で出てきた出来事人物について詳細の説明。後半は年表と関連書籍リスト。通読する必要はないが、台湾について知りたいと思った時手元にあれば便利だ。まあ今はWIKI があるからなくても何とかなるが、紙の方が知識は広げやすい。
下に「基礎から研究へのレファレンス」とあるように親切なつくりだ。
内容は私の持っている知識理解で大まか間違いはなかった。それぞれの背景が少し詳らかになったことはある。
 これだけの歴史と国民の自由が認められている台湾を、中国が香港と同じように併合しようとすることはあまりにも理不尽だと思う。中国で金儲けをしている連中にはそんな民衆の気持ちなどは斟酌する必要もないのかもしれないが。
 娘たちの八ヶ岳の家の郵便受けに野鳥が巣づくりして子育てをしているようだ。アサトが、バアバが観たら羨ましがるから送れと言って送ってきた。静かに暮らしていただろうに覗かれて驚いていることだろう。
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5/12 川上未映子『夏物語』読了

2025-05-13 11:01:51 | 読書

 歯ごたえのある小説だった。嚙み砕いて心に落とし込むのに難儀するようだった。
 大阪の下町で、スナックで働く母親と姉妹。小学生の頃から母親の店で洗い物をして暮らす。年上の姉は客席で働く。夏子が七歳の時、父親から母娘で逃げてきた。夏子は小説家になろうと二十歳ごろ東京へ出てくる。姉はそのままスナックでの仕事を続け、ろくでもない男の娘を育てるシングルマザーだ。
 夏は38歳になる頃、子供が欲しくなる。しかし夏にはそれをかなえてくれるパートナーとなる男はいない。かつて高校生の頃から付き合っていた男とは何年か付き合って性交渉も持ったが、彼女はそれが厭でたまらなかった。その結果その男は離れていった。それ以来男はいない。子供は欲しいが男と性交渉しての妊娠は厭だ。人工授精を考える。しかし、日本では夫婦関係を持たない女性や女性同士のカップルの人工授精は許されていない。オランダでは行われていると言う。日本で行われている人工授精の精子提供者は、多くがそれを行う大学病院の医学生が多いらしい。しかし、提供者の名前は伏せられている。生まれてきた子供が父親について知ることはできない。ネットで調べていると、人工授精に関する情報が溢れている。その中に人工授精を考えると言うまともそうな集会を見つけ参加してみる。主催しているのは人工授精で生まれた子供たちだった。実の父親について知りたいと言う強い希望を持っている。しかし、今の日本でそれをかなえることはほとんど不可能だ。そこで彼らの活動の目的は日本の法制度を変えて、精子提供者の情報を生まれた子供が一定の年齢になって知ることを希望すれば可能にすることだった。
夏子の前に現れた男は医者で夏子と同じ年代。大人になるまで父親が実の父親だとは知らずに来た。ある時それを知り動揺する。結婚する予定のパートナーがいたが、人工授精で生まれたこと、実の父親を知らないことを告げると彼女の家族から大反対されて破談になる。また会の世話をしている女性は子供の頃から義父に性的虐待を受けて育っている。男は義父に大変かわいがられ幸せに育ち医学部も卒業させてもらっている。夏子の考えている人工授精については批判的だ。またネットで、精子を提供すると言う男もいるが多くがいかがわしい男ばかりだ。
 命とは何か、父親とは何か、命を繋ぐとは、多くの問題が夏子の頭に満ちてくる。小説家としての夏子の周りにも、シングルマザーで娘を育てている友達もいる。彼女にとって男は単に娘を得るためだけの手段で、子供ができたらさっさと別れた。
夏子は、母娘だけの家族で貧しいがそれなりに幸せに暮らしてきた。姉と姪の家族もそれなりに暮らしている。父親の存在は必要としていない。
 今週のキャンピングカー旅で使うつもりの焚火台を試してみた。多くのキャンプサイトが今では直火が禁止されている。この焚火台の下に不燃シートを敷いて火を楽しむことになる。
 自動車学校横の土手に咲くヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)。北米大陸からの外来種と言う。月見草に似ているが昼に咲くのでこの名前のようだ。色は白から赤まであるようで、この群れの隣はもっと薄いピンクだった。
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