しずかな日々 椰月美智子 講談社文庫
おじいさんの家で過した日々。
それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。
ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。
ぼくはいつだって戻ることができる。-あの、はじまりの夏にー。
おとなになっていく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ
野間児童文学賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した作品
(出版社・内容紹介より)
読み始めてすぐ、これはただごとではないとおもった。
自分はいま傑作を読んでいるのだ、という強い確信を抱いたのである。
(北上次郎・解説より )
人生は劇的なものではないと作者はいう。
これまで自分が生きてきた積み重ねでしかない。
でも、だからこそ、平凡な日常がいとおしいのかもしれない。
いま、自分がここにいて
周りに大切な人がいて
日々変わらない時間を過すことは
退屈で寂しいものでもあるけど・・・
小学5年生の光輝の夏休みを描いただけの作品なのに
「しずかな日々」には新鮮な輝きがある。
少年少女向けの本を読んでいると
すごいな、思うものに出会うことがある。
マジ!驚くのだ。
同じ本屋の、同じ棚で、
昨日は出会わなかったのに、今日、出会う。
その日、並んでなかったわけじゃないと思うんだ。
その日、その時間、
そのときの その目と、手と、頭と心が選ぶもの
不思議なんて ひと事じゃ言えないくらいの偶然だ。
その偶然が積もって、
大切な時間が生まれる。