「とん ことり」の音がして

暮らしの中で 絵本と私

しずかな日々

2010-10-19 17:12:21 | 書籍・絵本


  

  しずかな日々 椰月美智子 講談社文庫

   おじいさんの家で過した日々。
   それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。
   ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。
   ぼくはいつだって戻ることができる。-あの、はじまりの夏にー。
   おとなになっていく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ
   野間児童文学賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した作品
                            (出版社・内容紹介より)

  読み始めてすぐ、これはただごとではないとおもった。
   自分はいま傑作を読んでいるのだ、という強い確信を抱いたのである。
                       (北上次郎・解説より )

 

   人生は劇的なものではないと作者はいう。
    これまで自分が生きてきた積み重ねでしかない。
    でも、だからこそ、平凡な日常がいとおしいのかもしれない。

    いま、自分がここにいて
    周りに大切な人がいて
    日々変わらない時間を過すことは
    退屈で寂しいものでもあるけど・・・
    小学5年生の光輝の夏休みを描いただけの作品なのに
    「しずかな日々」には新鮮な輝きがある。

    少年少女向けの本を読んでいると
    すごいな、思うものに出会うことがある。
    マジ!驚くのだ。

    同じ本屋の、同じ棚で、
   昨日は出会わなかったのに、今日、出会う。
   その日、並んでなかったわけじゃないと思うんだ。
   その日、その時間、
   そのときの その目と、手と、頭と心が選ぶもの
   不思議なんて ひと事じゃ言えないくらいの偶然だ。
   その偶然が積もって、
  大切な時間が生まれる。