「とん ことり」の音がして

暮らしの中で 絵本と私

もしもし下北沢

2010-10-16 18:08:25 | 書籍・絵本
  

    もしもし下北沢  よしもとばなな 毎日新聞社

   お父さんが知らない女の人と一緒に死んでしまった。
       残された私とお母さんは、新しい人生を始めようと
       思い立った、下北沢で。
       どこにでもある
       でも、たったひとつの人と街の愛おしい物語
                    ( 日販MARCより )

        >   私は窓辺に行ってお母さんの隣に座った。
        この人は、この年齢から突然人生が白紙になるなんて。
        がんばって育てるような年齢の子どももいないし
        ばりばりに 働かなくてはいけないわけでもない。そう思った。
           そのうえ私たちには いつでも重く暗い後悔の影がこびりついていた。
         ある意味では、なにをしたって、ここで暮らしてみたりしたって
                  もう私たちは二度とは元には戻れなかった。
        ずっとこれを抱えていくしかないのだとわかっていた。
        たまに全てを忘れたかのような明るい時間があっても
                 その底にはいつもその影があった。
           それを全部持って歩いていくのが人生だともう私たちには
            痛いほどわかっていた。

   >        でもまあいいや  今は今だし、ここはここ
         今日は今日しかないし。

        

                

        私の暮らしている場所から下北沢は近い
        若い頃は本当によく行った。
           マサコというJAZZ喫茶やジローというPIZZA屋があった。
           いまはもうないけど・・・。
              最近は滅多に行かないシモキタ
        それでも、この街が好き
         時間や空間が混線しているような独特な街
       そのエネルギーが息苦しくなったら
       そのまま、小田急線で江ノ島のねこに会いにいけばいいし。

                あの頃の下北沢はもう、どんどん遠くにいってしまったけど
       それまでの1日1日が自分なのだろう。
                もしもし、下北沢。。私はいまだに人生の意義なんてわかりません・・・
        あの頃と同じようにぐるぐる歩いているだけです。

       「もしもし下北沢」は感覚的に共有できる物語だった。
        そこには確かに人間らしい、あたたかい光景がある。
          よしもとばななさんの文章に惹きつけられた。