5.5.3:組織内部のコミュニケーションのための適切なプロセスを確立すること。これはトップマネジメントの責任である。
部門管理を優先する。トップダウンを優先する。顧客や親会社のいいなりになる。全ての部門は営業と設計の指示に従う。組織をだめにする方法にこれ以上の妙薬はない。
不幸にしてこの病気にかかっている組織は「間」に問題が山積されているので、その解決から着手すべきである。
管理者は自分の担当部門の成果に責任を持っている。職務分掌も部門別に書かれている。組織図も部門を縦割りに書く。部門間の壁といわれるが、部門の利益を優先させるため部門間に問題が山積される。これらの問題を是正するため部門間連携の活動が必要になる。品質保証や原価管理などの「機能別管理」は部門間連携の活動である。
また、上下の階層間の問題も大きい。この問題解決のため「方針管理」がある。方針管理はトップダウンと誤解されているが、上下間の方針や目標のキャッチボールという、すり合わせがあり、階層間の問題の調整をするから、方針や目標の達成が可能となる。
もう一つの間の問題は新製品開発の各段階、ステップ間の問題である。この解決のため、品質保証と関連する原価、量などの総合的な管理を製品別管理または機能別総合管理とよんでいる。
関係性の回復
組織のピラミット階層は誰が作ったということでなく、自然発生的に生まれたのだろう。
マネジメントの概念が生まれてから、組織の研究はされているが決めてはでてこない。
縦割りおよび階層は人間の要求が生んだもののようである。
便利だが欠陥も多い。
縦割り組織は部門間の連携に問題ができる。
同じように組織の階層は上下の意思疎通の悪さをつくる。
人の意識は自分と他者との関係性のあり方で違いが出来る。
人の噂話や特定の人に対する敵対心で成り立つ群れは、相手の成長を望まないばかりか、相手の失敗を望む。時に相手の失敗を誘うような行動すらする。「いじめ」や「派閥」はこのようにしておきる。
自分のこと以上に他者のことが気になるのである。たとえ反面教師であろうが、他から学ぶのであれば自分の成長に役立つが、他の失敗を望むような関係から自分の成長はありえない。
本当の成長は他者を愛し尊敬する関係性から生まれる。
この関係性が「間」の問題である。
人も組織も「間」に注意しなくては成長しない。
間の問題を解決するため、管理者がいてシステムがあるがそれが自覚されることは少ない。
そのため間の問題を進んで取り上げ改善すべきである。
この問題発見・問題解決の技術が品質管理技術といえる。
この方法はすでに多く開発されている。
方針管理、監査システム、統計的手法、品質機能展開・・・・ISOなど
大切なことは間の問題を自覚して取り上げるかどうかである。
願わくは品質管理技術者が人間性に優れ、問題発見能力のあることを望む。
異質の協力
QCの大先輩西堀榮三郎博士が「これからの日本には異質の協力が大切」と言われてから20年以上経つ。21世紀は平和の世紀と言われながらも戦争が耐えないのは、異質の協力ができてないからである。
同質が理解でき協力できるのは、あたりまえのことである。
人は自分との共通点を見つけると安心する。自分が理解したように相手も理解するだろうという保証が得られたと勘違いするからだが、これほどあやうい関係はない。自分の好きなようにしか相手を見てないからである。ある心理学者はこれを「ロマンチックな恋」とよんでいる。ハネムーンの甘い時期はこれでよいが、いつまで続くかは問題である。
(国際関係やQCの話をしたいのだが、もう少し脇道にそれることにする。)
大人の恋は相手の個性を重んじる。その人らしさを引き出し、ますます育てるのが大人の恋である。そのような関係性のなかに新しい自分を発見し自分を育てることができる。
さて、品質管理の話である。
今後、日本のものづくりが国際的に貢献するためには、異質の協力という能力や技術が大前提になる。高度成長気のものづくりは日本製品の購入先が無限にあるということを前提にした成長であった。重商主義との海外からの批判もあったが、この批判から何も学んでない。バブル以降の日本は、大量生産、大量消費のアメリカの尻馬に乗っただけの成長であり、その中に学ぶべきものはない。
いま大人になって、考え直す時期である。異質の協力のためにはまず、異質から学ぶことかもしれない。
顧客の力を借りて組織を見直す
事例:顧客中心の改善活動によるパラダイムシフト
改善活動は社内の成果だけでなく、顧客への直接的な成果と結びつくことが望ましい。それならば、何を改善したらよいか、顧客に直接聞いてみようということでこの活動は始まった。営業所に着任して間もない営業所長は、得意先に着任挨拶するときから、営業所を顧客要求に対応できる体制に変革することを考えていた。
そこで、①お客様中心の改善ができないか、
②営業所の全員が本気で改善に参加するには、の方針をもとに、顧客への訪問調査を繰り返すと共に、営業所内からも意見を求めた。はじめは本気にしてくれなかった顧客も、繰り返される訪問と調査結果や改善活動の報告から、営業所の活動に次第に協力的になってきた。
顧客の要求の強い点、弱い点に分け、営業所の全員にアンケートから、営業所で長所と思うこと、短所と思うことを二元表にまとめた。
この結果、顧客の要求が大きく、営業所でも長所と思っていることが、活かされてないことがあり、要求が大きくないのに一生懸命だったりしていることなどが、発見された。
さて、調査結果と改善の計画は顧客にも発表して、改善に着手した。所長のリーダシップのもとに、管理者、営業マン、女性セクレタリのQCサークル活動なども行われた。またこれらの活動は顧客にも定期的に報告しているので顧客も関心を持ち、最近よくなっているかの評価も、顧客から直接聞くことができる。
これらの活動の効果として、売上げが2倍になった。
しかし、この前向きな所長が強調している成果は、営業やサービスにおいて顧客の要求に答えられる体制、つまり、所内の業務の全面的見直しができた。
また、顧客との定期的情報交換のためのニュースの発行、顧客との交流のためのイベントなどが行えるようになった。
一見、簡単に思えることが、本当は難しい。従来の枠(パラダイム)にこだわっている限りこのようなことはできない。
経営者の役割は必要な時期を見て、パラダイムシフトを推進することである。
部門管理を優先する。トップダウンを優先する。顧客や親会社のいいなりになる。全ての部門は営業と設計の指示に従う。組織をだめにする方法にこれ以上の妙薬はない。
不幸にしてこの病気にかかっている組織は「間」に問題が山積されているので、その解決から着手すべきである。
管理者は自分の担当部門の成果に責任を持っている。職務分掌も部門別に書かれている。組織図も部門を縦割りに書く。部門間の壁といわれるが、部門の利益を優先させるため部門間に問題が山積される。これらの問題を是正するため部門間連携の活動が必要になる。品質保証や原価管理などの「機能別管理」は部門間連携の活動である。
また、上下の階層間の問題も大きい。この問題解決のため「方針管理」がある。方針管理はトップダウンと誤解されているが、上下間の方針や目標のキャッチボールという、すり合わせがあり、階層間の問題の調整をするから、方針や目標の達成が可能となる。
もう一つの間の問題は新製品開発の各段階、ステップ間の問題である。この解決のため、品質保証と関連する原価、量などの総合的な管理を製品別管理または機能別総合管理とよんでいる。
関係性の回復
組織のピラミット階層は誰が作ったということでなく、自然発生的に生まれたのだろう。
マネジメントの概念が生まれてから、組織の研究はされているが決めてはでてこない。
縦割りおよび階層は人間の要求が生んだもののようである。
便利だが欠陥も多い。
縦割り組織は部門間の連携に問題ができる。
同じように組織の階層は上下の意思疎通の悪さをつくる。
人の意識は自分と他者との関係性のあり方で違いが出来る。
人の噂話や特定の人に対する敵対心で成り立つ群れは、相手の成長を望まないばかりか、相手の失敗を望む。時に相手の失敗を誘うような行動すらする。「いじめ」や「派閥」はこのようにしておきる。
自分のこと以上に他者のことが気になるのである。たとえ反面教師であろうが、他から学ぶのであれば自分の成長に役立つが、他の失敗を望むような関係から自分の成長はありえない。
本当の成長は他者を愛し尊敬する関係性から生まれる。
この関係性が「間」の問題である。
人も組織も「間」に注意しなくては成長しない。
間の問題を解決するため、管理者がいてシステムがあるがそれが自覚されることは少ない。
そのため間の問題を進んで取り上げ改善すべきである。
この問題発見・問題解決の技術が品質管理技術といえる。
この方法はすでに多く開発されている。
方針管理、監査システム、統計的手法、品質機能展開・・・・ISOなど
大切なことは間の問題を自覚して取り上げるかどうかである。
願わくは品質管理技術者が人間性に優れ、問題発見能力のあることを望む。
異質の協力
QCの大先輩西堀榮三郎博士が「これからの日本には異質の協力が大切」と言われてから20年以上経つ。21世紀は平和の世紀と言われながらも戦争が耐えないのは、異質の協力ができてないからである。
同質が理解でき協力できるのは、あたりまえのことである。
人は自分との共通点を見つけると安心する。自分が理解したように相手も理解するだろうという保証が得られたと勘違いするからだが、これほどあやうい関係はない。自分の好きなようにしか相手を見てないからである。ある心理学者はこれを「ロマンチックな恋」とよんでいる。ハネムーンの甘い時期はこれでよいが、いつまで続くかは問題である。
(国際関係やQCの話をしたいのだが、もう少し脇道にそれることにする。)
大人の恋は相手の個性を重んじる。その人らしさを引き出し、ますます育てるのが大人の恋である。そのような関係性のなかに新しい自分を発見し自分を育てることができる。
さて、品質管理の話である。
今後、日本のものづくりが国際的に貢献するためには、異質の協力という能力や技術が大前提になる。高度成長気のものづくりは日本製品の購入先が無限にあるということを前提にした成長であった。重商主義との海外からの批判もあったが、この批判から何も学んでない。バブル以降の日本は、大量生産、大量消費のアメリカの尻馬に乗っただけの成長であり、その中に学ぶべきものはない。
いま大人になって、考え直す時期である。異質の協力のためにはまず、異質から学ぶことかもしれない。
顧客の力を借りて組織を見直す
事例:顧客中心の改善活動によるパラダイムシフト
改善活動は社内の成果だけでなく、顧客への直接的な成果と結びつくことが望ましい。それならば、何を改善したらよいか、顧客に直接聞いてみようということでこの活動は始まった。営業所に着任して間もない営業所長は、得意先に着任挨拶するときから、営業所を顧客要求に対応できる体制に変革することを考えていた。
そこで、①お客様中心の改善ができないか、
②営業所の全員が本気で改善に参加するには、の方針をもとに、顧客への訪問調査を繰り返すと共に、営業所内からも意見を求めた。はじめは本気にしてくれなかった顧客も、繰り返される訪問と調査結果や改善活動の報告から、営業所の活動に次第に協力的になってきた。
顧客の要求の強い点、弱い点に分け、営業所の全員にアンケートから、営業所で長所と思うこと、短所と思うことを二元表にまとめた。
この結果、顧客の要求が大きく、営業所でも長所と思っていることが、活かされてないことがあり、要求が大きくないのに一生懸命だったりしていることなどが、発見された。
さて、調査結果と改善の計画は顧客にも発表して、改善に着手した。所長のリーダシップのもとに、管理者、営業マン、女性セクレタリのQCサークル活動なども行われた。またこれらの活動は顧客にも定期的に報告しているので顧客も関心を持ち、最近よくなっているかの評価も、顧客から直接聞くことができる。
これらの活動の効果として、売上げが2倍になった。
しかし、この前向きな所長が強調している成果は、営業やサービスにおいて顧客の要求に答えられる体制、つまり、所内の業務の全面的見直しができた。
また、顧客との定期的情報交換のためのニュースの発行、顧客との交流のためのイベントなどが行えるようになった。
一見、簡単に思えることが、本当は難しい。従来の枠(パラダイム)にこだわっている限りこのようなことはできない。
経営者の役割は必要な時期を見て、パラダイムシフトを推進することである。