5.2: 顧客重視とは顧客要求事項が満たされ、顧客満足が向上していることを経営者が確認している状態をいう。
顧客重視とは、顧客の言いなりになることではない。欧米は契約で買い手と売り手の関係が成り立つから基本的に同等の関係である。そのため顧客の要求に対して約束できる範囲を決めること、つまり確約することが契約の第一歩になる。
ところが日本のような親子や系列の関係ではこれが難しい。
ISOでこれが是正されることを期待したが、無理であった。特に日本の場合、審査員は大会社の出身者であることが多い。審査機関も大手企業が集まり出資している例が多い。
ISOは顧客側から企業に要求できる範囲に限定しているため受身の体制になる。
ISO/TSに至っては規格自体が買い手に偏っているため、顧客重視、売り手無視のようにさえ見える。この関係を直さない限り、大人のISOにはならないのだが、これが難しい。
さて、注文が決まってから納入までの短期間では、技術開発する時間は十分ではない。技術者はこのことを理解しているが、注文を取る営業や売上重視の経営者は、自社の技術力に過剰の期待をする。
短い開発期間にしなくてはならないことは、保有する技術を組み合わせて顧客の要求を満たす最高の品質を設計すること、その品質が設計され、部品が購入され、製造された製品の品質確認・品質保証に十分な時間をとること、等である。
当然こちらの都合だけ主張していては注文は取れない。そのため、無理して注文をとるための不良やクレーム、リコールがあとを絶たない。実力以上の売上重視、利益優先の弊害であろうか。買い手でも、多くの不良やクレーム、リコールの原因がいわゆる「外注部品」に起因することが多いことはわかっている。このため、ISOで学んだ監査の考えを使って
「外注指導を目的とした監査」をおこなう。この監査、もたれあいとだましあいのくり返しである。この悪循環を少しでも是正するのは、審査機関なのだが、審査員にその力や意識のある人はいない。結局のところ、売り手が考えるより手はない。
このような悪循環の品質問題を防ぐため、顧客や市場の変化を予測して、要求に答えられるように技術開発の時間を十分とって検討すべきである。
個別受注生産のM造船では、受注から引渡しまでの管理を番船管理とよび、それを支援する技術の開発や改善を部門別管理とよび、両管理を区別して運用していた。番線管理の課題はいかに短期間に品質問題の無い船を作れるかという品質保証を中心とする体制である。なお、品質問題の多くは、品質情報の伝達に問題があることをつきとめ、品質機能展開を開発した。また、部門別管理は方針管理を活用して、従来発生した品質問題の解析により、品質改善や生産技術の改善などに取組んだ。
このように売り手としては事業の重点や特色を考えた管理技術とシステムを開発すべきである。
顧客要求と技術
顧客の要求から組織の経営資源を点検してみる。
顧客要求の達成を目的として、その手段を考える。その手段を目的とするとその目的を達成する手段に展開できる。このように顧客要求を展開するとその目的を達成するための技術に展開できる。技術が多くの目的と関連する場合は技術も展開するとよい。
顧客要求の展開を「要求品質表」と名付けた。
一方、技術の展開を「技術表」とよぶ。技術を設計技術と生産技術に分けて、「技術表Ⅰ」「技術表Ⅱ」のように区別しても良いだろう。
また、要求品質と技術のマトリックスを作ると自社の技術の分布がみえる。
顧客要求の中で今後の動向を予測した場合、自社の保有技術は十分か、不足している技術はなにか。今後の技術開発の重点はどこか、などが整理できる。
ポートフォリオも市場と技術のマトリックスだが、顧客要求、要求品質はもう一段階技術の中に入り込んだ指標である。
このように意味ある比較をすることにより今まで見えなかったものが見えてくる。
設計が図面だけでは表現できない品質保証上の重点をまとめたものを、QA表とよぶことがある。
自動車のような組立て業の場合は「部品QA表」「組立てQA表」と区別する場合もある。
ついでこのQA表を製造工程に展開したものが「QC工程表」である。
このような展開を品質管理では品質機能展開:QFDとよぶが。これらは問題発見の道具として、まず活用すると多くの問題の発見に役立つ。
蛇足しておこう。QFDは始め問題発見や問題の予防のために開発された道具である。
しかし、それを形式的に真似るだけでは役に立たないばかりか、余分な仕事が増えるだけのことである。形を作って魂を入れることを忘れてはならない。
「仏作って魂いれず」ではご利益が得られない。
顧客重視とは、顧客の言いなりになることではない。欧米は契約で買い手と売り手の関係が成り立つから基本的に同等の関係である。そのため顧客の要求に対して約束できる範囲を決めること、つまり確約することが契約の第一歩になる。
ところが日本のような親子や系列の関係ではこれが難しい。
ISOでこれが是正されることを期待したが、無理であった。特に日本の場合、審査員は大会社の出身者であることが多い。審査機関も大手企業が集まり出資している例が多い。
ISOは顧客側から企業に要求できる範囲に限定しているため受身の体制になる。
ISO/TSに至っては規格自体が買い手に偏っているため、顧客重視、売り手無視のようにさえ見える。この関係を直さない限り、大人のISOにはならないのだが、これが難しい。
さて、注文が決まってから納入までの短期間では、技術開発する時間は十分ではない。技術者はこのことを理解しているが、注文を取る営業や売上重視の経営者は、自社の技術力に過剰の期待をする。
短い開発期間にしなくてはならないことは、保有する技術を組み合わせて顧客の要求を満たす最高の品質を設計すること、その品質が設計され、部品が購入され、製造された製品の品質確認・品質保証に十分な時間をとること、等である。
当然こちらの都合だけ主張していては注文は取れない。そのため、無理して注文をとるための不良やクレーム、リコールがあとを絶たない。実力以上の売上重視、利益優先の弊害であろうか。買い手でも、多くの不良やクレーム、リコールの原因がいわゆる「外注部品」に起因することが多いことはわかっている。このため、ISOで学んだ監査の考えを使って
「外注指導を目的とした監査」をおこなう。この監査、もたれあいとだましあいのくり返しである。この悪循環を少しでも是正するのは、審査機関なのだが、審査員にその力や意識のある人はいない。結局のところ、売り手が考えるより手はない。
このような悪循環の品質問題を防ぐため、顧客や市場の変化を予測して、要求に答えられるように技術開発の時間を十分とって検討すべきである。
個別受注生産のM造船では、受注から引渡しまでの管理を番船管理とよび、それを支援する技術の開発や改善を部門別管理とよび、両管理を区別して運用していた。番線管理の課題はいかに短期間に品質問題の無い船を作れるかという品質保証を中心とする体制である。なお、品質問題の多くは、品質情報の伝達に問題があることをつきとめ、品質機能展開を開発した。また、部門別管理は方針管理を活用して、従来発生した品質問題の解析により、品質改善や生産技術の改善などに取組んだ。
このように売り手としては事業の重点や特色を考えた管理技術とシステムを開発すべきである。
顧客要求と技術
顧客の要求から組織の経営資源を点検してみる。
顧客要求の達成を目的として、その手段を考える。その手段を目的とするとその目的を達成する手段に展開できる。このように顧客要求を展開するとその目的を達成するための技術に展開できる。技術が多くの目的と関連する場合は技術も展開するとよい。
顧客要求の展開を「要求品質表」と名付けた。
一方、技術の展開を「技術表」とよぶ。技術を設計技術と生産技術に分けて、「技術表Ⅰ」「技術表Ⅱ」のように区別しても良いだろう。
また、要求品質と技術のマトリックスを作ると自社の技術の分布がみえる。
顧客要求の中で今後の動向を予測した場合、自社の保有技術は十分か、不足している技術はなにか。今後の技術開発の重点はどこか、などが整理できる。
ポートフォリオも市場と技術のマトリックスだが、顧客要求、要求品質はもう一段階技術の中に入り込んだ指標である。
このように意味ある比較をすることにより今まで見えなかったものが見えてくる。
設計が図面だけでは表現できない品質保証上の重点をまとめたものを、QA表とよぶことがある。
自動車のような組立て業の場合は「部品QA表」「組立てQA表」と区別する場合もある。
ついでこのQA表を製造工程に展開したものが「QC工程表」である。
このような展開を品質管理では品質機能展開:QFDとよぶが。これらは問題発見の道具として、まず活用すると多くの問題の発見に役立つ。
蛇足しておこう。QFDは始め問題発見や問題の予防のために開発された道具である。
しかし、それを形式的に真似るだけでは役に立たないばかりか、余分な仕事が増えるだけのことである。形を作って魂を入れることを忘れてはならない。
「仏作って魂いれず」ではご利益が得られない。