ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

8. 品質マネジメントシステムの目的と構成

2007-02-21 | 継続的改善52
ISO規格は経営革新のマニフェスト(宣言)である。
マネジメントシステムをISO規格にしようという発想は品質管理で高度成長を実現した日本にない発想である。ないというよりも及びがつかないことであった。
品質管理の普及を目的とする組織では、それぞれ自分の組織の目的にあわせた事業を推進している。日本規格協会のJISの普及、日本科学技術連盟のデミング賞、日本生産性本部の品質経営賞などである。日本では本来普及を目的とした賞が企業の差別化の看板になっている。
 
ISO規格のすごいところは、企業の目的を問い直したところである。ISO9001では、利益中心の企業の目的に品質を追加したこと、ISO14001では環境重視の経営を奨励したこと。このようにISOでは品質や環境重視の経営をコミットメント(誓約)することを要求している。先見性と洞察力のある経営者にとっては、自社の利益中心の経営を品質や環境で見直すという経営革新のお手本がISO規格であることが、理解できるだろう。

ISOは、品質を目的とした経営を宣言し具体的活動として実施することを要求している。このことの重要性をもう一度問い直したい。

「品質管理は全ての人の為の仕事だが、誰の為の仕事でもない。」

忘れていた言葉を思い出した。
品質管理の目的を的確に表現した言葉である。
品質管理は顧客も従業員も株主も経営者も含めた全ての人の仕事であるが、決して特定の顧客や経営者だけの仕事ではないということである。
ISO9001や自動車業界に特化したISO/TSなどは顧客や系列の為だけを目的としがちである。
まして、経営者の為にだけあるのではない。

全ての人の為の仕事だから、職業生活の質:QWLの追求も目的となる。
品質目標を個人目標に展開し自分のすべき正しいことをすればよい。
決して受身でやらされ感でとらえるのではなく、前向きに自分がやりたいことを積極的に検討することが出来る。

このように従来利益一辺倒の企業が品質を重視することにより、全ての人の参画と活性化が期待できる。品質管理をするということは、そのようなことであることを忘れてはならない。


4.1:ISO規格の要求事項を満たすこと及び品質方針を達成する目的で品質マネジメントシステムを整備する。その内容は
必要なプロセスを明確にすること。
プロセスの順序と相互関連を明確にすること。
プロセスの運用及び管理のための判断基準と方法を決める。
そのための経営資源と情報が利用できること。
プロセスを監視、測定、分析すること。
目的達成のための継続的改善をすること。

ISO規格の難しいことは説明が逆になっていることである。
本屋で立ち読みして面白そうな本を買おうという時、初めの何行かで読んでみようという気になる本を探す。そんなつもりでISO規格を読んだら、まずこの先を読んでみる気にならないだろう。

さて、ISO9001の品質マネジメントシステムとは次のような要求を満たすシステムですということが、規格の初めの章に書いてある。各章の初めには一般要求事項として各章の総括が書かれている。非常の論理的に書かれているが、「要求事項」として書かれているから解りづらい。とてもシェークスピアを生んだ国の人が書いた文章とは思えない。

また、我々が読んでいるのは翻訳された日本語である。ISOとJISの間に取り交わされた翻訳協定の制約もあって、「声をだして読みたい日本語」とは程遠い。

ぼやきはそのくらいにして、ISO規格に沿って品質マネジメントシステムを考えていこうと思う。

規格4.1はこれから勉強することの質問事項ぐらいに考えて先に進みましょう。
品質マネジメントシステムに必要なプロセスとは何ですか
そのプロセスの順序と相互関連はどのようになっていますか
プロセスの管理項目は決めてありますか
管理運営のために必要な経営資源と情報を提供する覚悟がありますか
プロセスは客観的なデータで管理されていますか
継続的改善を本気で行う覚悟がありますか
コメント
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