ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

7.正しい治療のための正しい診断

2007-02-20 | 継続的改善52
8.2.2:品質マネジメントシステムが要求を満たしているか決められた間隔で監査する。

優れた技術が在り、優れた人材がいて、その割に成果が出ないという「宝のもちぐされ」が多い。診断、監査の技術が不足しているからである。正しい治療のためには、まず、正しい診断ができなければならない。治療は固有技術であり、診断は管理技術である。
問題に対してとる対策は治療である。問題の原因に合う治療は役立つが、原因に合わない治療で問題の解決はできない。そのため、どの原因に対してどの治療をするかが整理されてなければならない。治療の体系化ができていれば、有効に治療が活用できる。
このようなことを固有技術の標準化という。
固有技術の標準化のためには管理技術が役立つ。固有技術と管理技術は車の両輪の関係にある。固有技術がないところに管理技術は必要ない。管理技術があると固有技術を有効活用できるし、固有技術の発展にも寄与することができる。
 
マネジメントは診断に重点を置いた管理技術であり、「正しくみる技術」、「みるためのプロセス」である。
見る:現象を見て問題を発見する。
観る:問題と原因の因果関係を観察する。
診る:その多くの原因の中から、問題に寄与する原因を診断する。
看る:原因に対策をとり成果を見守る。
このプロセスは品質管理のPDCAのプロセスであり、問題解決、解析のプロセスである。

問題解決、解析は「見る、観る、診る。看る」で構成される。
1. 正しい現状把握により問題が明確になったか。
2. 問題の原因を解析により正しく求めたか。
3. 原因に対する対策がとられたか。
4. 対策の効果を確認したか。
5. 効果の継続のため標準化したか。
6. 維持管理したか。

大切なことは、何を目的に診断するかである。
強い点を探したか
顧客の要求を意識したか
問題という氷山全体をとらえたか
「間」に重要な可能性をみたか
品質の確約、確保、確認のプロセスで診断したか
などである。

治療ができても診断ができない医者は失敗を犯す「やぶ医者」である。最近、そのような品質管理が増えたので、不良が絶えない。


診断と治療
品質管理は数あるマネジメントの手法の中でも診断に重点をおいた実践的活動である。
ISO以前の品質管理の特色はトップ診断が実施され、経営者が自ら診断することにより、PDCAをまわしたことである。誰しも「自分の体のことは自分が一番良く知っている」と思っているが、「医者の不養生」の例えがあるように、過信は禁物である。
もともとマネジメントに苦労した経営者が科学的かつ客観的な診断をするので自社の実力を正しく評価することができる。
「診断」は、自社の強い点や改善すべき点を明確にすることである。「宝のもちぐされ」ともいえる自社の強い点を発見することができる。

品質管理の草創期には産学協同で、日本の製品の品質をどう高めるかに重点がおかれた研究がされた。統計的品質管理を活用したデミング賞の審査も大いに貢献した。
デミング賞の審査は、二つの方法で運営される。
Aスケジュールとよばれる審査は受診側から品質管理による成果が発表され、その範囲での質疑が行われる。この発表は主に品質保証のような部門間連携の活動の成果を中心に発表する。組織の特色である強い点をアピールしてそれをより強くするための審査をする。
もう一つの審査の方法は、Bスケジュールという方法で、これは審査側からの質問を中心におこなわれる。Aスケジュールが機能別であったのに対し、部門や現場で現状把握するのが目的である。

さて、ISOの監査である。経営者自ら審査するのでなく、内部監査員が監査してその結果を報告するしくみである。経営の実務を知らない監査員がISO規格を基に監査するので、経営という側面より、規格の解釈に追われる。注意しないと形骸化したシステムを作るやりとりが多くなる。

正しい診断がされて、正しい治療ができる。
診断と治療はバランスがとれてなければならない。
診断のみ名人になっても、治療が不十分ではよくならない。
治療方法の開発に役立つ診断が必要である。
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