ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

成功事例.3 生産切り替え時の不良低減

2005-07-12 | ISO成功法
仕事の良さは、段取りで決まるといわれる。生産準備は生産のための段取りであり、生産の問題を予測し対策をとることが大切である。生産準備段階の出来栄えが生産の基準となることから、不十分な段取りは、不十分な基準を作ることで慢性的問題の元凶となる。
 
K社の工場の不良推移グラフを見ると確実に不良は低減しているが、ときどき、気になる点がある。統計的に異常(out of control;管理されてない状態)と思われる。この異常は、生産の切り替えの混乱で発生する不良である。その状況を詳しく把握したいので、製品別に層別したグラフを書いてみた。グラフからは生産開始後、短期間で不良が低減しているのがわかる。この会社は徹底して改善を実施することで、以前から有名である。製品の切り替え時期には、本社工場から設計者が多数出張し工場の生産技術者と徹底した生産移行のための検討をする。生産移行後の不具合は生産技術者や製造のスタッフが処理する。当然QCサークルも協力する。生産が終了する頃にはかなりの効果が出ている。残念なのはせっかくの効果が次年度の生産の段階で、また前に戻ってしまうことである。
当然、これらの不具合は、多くの技術者も気が付いている。本社で行う試作に工場の生産技術者が出張したり、工場で試作をすることにしたり、いろいろの改善を試みた。これらの努力があって少しずつ成果が上がっているので、これ以上無理と諦めてしまう。このようなものが慢性的問題になる。

工場の技術者はこれで諦めなかった。問題の原因を解析して、生産移行段階のどの活動に原因があるかを整理した。原因の解析を、技術的原因にとどめず、共通技術的原因つまりシステムまで掘り下げることが大切であり、これによりシステムの改善ができる。このような解析を2段階の解析と呼んでいる。

この解析結果、工場の生産移行後の管理は現状のままで進め、生産終了後の標準化と次年度の生産準備段階の教育を重点に行うことにした。当然この時期には次の製品の生産時期に重なるので、始め実施に踏み切るまでの考え方の変革に苦労した。
この事例のように、新製品の開発、生産の流れの中で行う活動と定常的に行う活動の区別と割り切りをどう整理するかが重要である。個別受注生産のある造船会社では、注文毎の管理:番船管理と日常管理を区別して成果をあげた。
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