仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

網走番外地 北海篇

2018年12月22日 | ムービー
『網走番外地 北海篇』(1965年/石井輝男監督)を見た。
物語は、「網走刑務所。殺人と傷害の罪で懲役8年の刑に服している橘真一(27番/高倉健)は仮釈放が近かったが、体調が悪い同房の葉山(13番/千葉真一)のために特別食を作ってもらおうとしたことがキッカケで、炊事班長の19番(山本麟一)と揉め事を起こしてしまう。仮出所取り消しをちらつかせる看守・小暮(関山耕司)に拳銃で威嚇されながらも橘を助けたのは、8人殺しの鬼寅(42番/嵐寛寿郎)だった。命を懸けた鬼寅の行動でどうにか難を逃れた橘は、翌朝に仮出所をしたのだが・・・」という内容。
橘は葉山の頼みごとに親身に耳を傾け、彼の願いの通り、まずカムイコの王子運送・志村(沢彰謙)を訪ねる。
約束通りに葉山の母親への送金をさせようとするのだが、金を作るためにペンケセップまでのチャーター便の運転手を引き受けることになり、様々なトラブルに巻き込まれるというなんとも濃い展開だ。
しかも、登場人物すべてのキャラクターも濃い。
炊事班長の19番、オカマの夫婦(?)11番(由利徹)と108番(砂塚秀夫)、荷主の安川(安部徹)と金田(藤木孝)、突然の乗客の浦上(杉浦直樹)、貴子(加茂良子)、雪江(宝みつ子)、弓子(大原麗子)といった訳有りの連中だけで別の作品ができそうだ。
(^_^)
"網走番外地シリーズ"が全10作品(1965年~1967年)、"新網走番外地シリーズ"も全8作品(1968年~1972年)が作られ上映されたようで、相当の人気作品だったようだが、これだけのシリーズ化も納得できる実に面白い物語だった。

新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬

2018年11月14日 | ムービー
『新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬』(1971年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「網走刑務所を仮出所した末広勝治(高倉健)は、結婚間近の妹・明子(江夏夕子)が待つ東京へと向かっていたが、静内駅前で食堂を経営している北野信造(南利明)の策略にあい、列車を降りたまま取り残されてしまった。仮出所の際に看守の犬飼(室田日出男)から酒に気を付けろと忠告された末広だったものの、静内食堂でビールを飲んだあげく、熊谷牧場の三男・三郎(谷隼人)らのグループと乱闘騒ぎを起こして店内を目茶苦茶にしてしまうのだった。宮坂直吉(藤田進)や的場貫一(玉川良一)らと関わり、喧嘩を起こした経緯から、加納秀男(三橋達也)が経営している加納牧場で働くことになった広末だったのだが・・・」という内容。
諦めて静内駅前を歩いている末広の目が止まったのは、アサヒビールのポスター。
竹林を背景にした高倉健が右手にアサヒの瓶ビール、左手には並々と注がれ泡がこぼれ落ちているグラスを持っていて、「いっしょに飲んで貰います!」と書かれている。
それを見て喉を鳴らせた末広が「いっしょに飲ませて貰おうか」と食堂に入りビールを注文するのだが、従業員(太古八郎)にビールを注文したものの、どうしようか迷い続ける場面が妙に印象的だった。
飲み出したら自分では止められないことが分かっていたのだろう。
それでも結局は酒を飲んで暴れてしまうのだから、どうしようもない。
牧場を手に入れた熊谷組の熊谷太郎(山本麟一)、熊谷源二(今井健二)、三郎の兄弟は何かと加納牧場に因縁をつけてくるのだが、それは加納牧場所有のカノーホマレという競走馬を欲しがってるからだという。
そこに加わる五代政雄(安藤昇)という渡世人が加わって、親分の仇だと末広をつけ狙うのだから、どんどんと面倒な話になっていく。
一度ハマった渡世の道から抜け出すというのはなかなかに大変なこと。
周囲の悪党どもが放っておいてくれないようだ。
それにしても、日高地方の静内町が舞台だというのに"嵐呼ぶ知床岬"とは、適当過ぎる題名のような気がする。
これは襟裳岬にしなければ駄目だろう。
(^_^)

新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼

2018年10月10日 | ムービー
『新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼』(1970年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「仮出所を控えた末広勝治(高倉健)は、弟分の小松五郎(南利明)と看守の対立に巻き込まれ、あえなく独居房入りとなったのだが、ウイリー・ジョンソン牧師(岡田眞澄)により、稲上(若山富三郎)と共に助けられた。牧師と共にカムイベツ教会へと向かう途中、煙草を買いに入った店で親分子分の盃を交わし、末広は牧師を親分と呼ぶことになる。教会で恵比須竹三郎(由利徹)と一緒にいわゆる寺男として働くことになった末広は・・・」という内容。
カムイベツ教会は"ウイリージョンソンホーム"として不良少年達を預かり、ボクシングジムを開いていたが、やはり仮出所中の大関一郎(谷隼人)が、北日本新人王決定戦を控えていた。
その大関の強さに地元暴力団の親分でボクシングジムのオーナー、五十嵐徹(山本麟一)が目を付け、引き抜こうとしたことから様々なトラブルが生まれる。
大関も五十嵐のジムに行きたくて仕方がないのだが、ウイリージョンソンホームにいることが仮出所の条件らしいので、どうしようもないようだ。
トレーニングの途中、通りかかった神社に手を合わせて「あの野郎、アーメンなのに手を合わせやがったよ」と言われる末広だが、「何を拝んだっていいんだよ。心だよ、男は!!」と断言するのが頼もしい。
(^o^)
教会での暮らしが舞台になっていることもあって、主題歌「網走番外地」(矢野晃作詞、八木正生作曲編曲)が讃美歌風にオルガンで演奏されているのが何とも面白いのだった。
(^_^)

血文字屋敷

2018年09月16日 | ムービー
『血文字屋敷』(1962年/工藤栄一監督)を見た。
物語は、「江戸城番士・神尾喬之助(大友柳太朗)は、江戸小町と評判の園絵(丘さとみ)との祝言も近かったが、神尾の上司で、女狂いと悪評の高い番士組頭・戸部近江之介(平幹二朗)は、園絵にふられた腹いせに、常日頃から喬之助を目の敵として苛めていた。しかも、同僚の荒木陽一郎(山本麟一)ら十七人の全番士までもが、戸部の尻馬に乗って喬之助を罵しるばかりで、誰一人として庇い立てする者はいないのだった。そして婚礼の日。同僚は一人も姿を現さなかったが、皆が寝静まった頃、女郎を引き連れて騒々しく神尾家の屋敷に押し掛けた。そのような事情を偶然耳にした町奉行の大岡越前守(大川橋蔵)は・・・」という内容。
婚礼が行われた日の深夜、まるで押し入るかのように屋敷に上がり、「そういえばお主、本日休んでおったな。どうしたのだ」などとぬけぬけと言ってのける同僚達。
これは酷すぎる仕打ちだ。
職場でも言いがかりをつけられっぱなしで、遂には頭までも踏みつけられるに至ってはもはや我慢も限界を超えてしまった。
江戸城内の畳の上に、戸部の生首がごろんと転がり、十七人への復讐を誓った喬之助は姿をくらましてしまったのだから、そんなことになるだなんて、まったく想像もしていなかっただろう十七人は、それからというもの生きた心地がしなかったことだろう。
面識はなかったが、評判を頼りに黒門町の壁辰(三島雅夫)を訪ねた喬之助は、彼ではなく、金山寺音松(多々良純)に助けられ、自分と瓜二つの浪人・茨右近(大友柳太朗/二役)と出会うのだが、二人は右近の女房・知らずのお弦(久保菜穂子)でさえも見間違うほど。
まぁ二役なので当たり前なのだが・・・。
(^_^;)
喬之助が復讐を果たしていく過程で、"逆さ屏風"が立て掛けられて不吉さを表現する場面があるのだが、これは、死者の亡骸の枕元に、逆さにした屏風を置くという風習があったのだそうで、これは知らなかった。
襟のあわせを反対にするというのは知っていたが、足袋を左右反対に履かせたりとか何でも反対にするだなんて、宗教的な意味合いは無いらしいのだが、考えてみれば妙な風習だ。

新網走番外地 さいはての流れ者

2017年08月08日 | 映画サークル
ましけ映画サークル7月例会は、忠〇企画の『新網走番外地 さいはての流れ者』(1969年/佐伯清監督)を見た。
物語は、「かつて網走監獄に収監されたこともある血の気の多い男・末広勝治(高倉健)は、足が悪い息子・正一(下沢広之/真田広之)の治療費を稼ぐため、愛馬タローが曳くソリでオホーツク海に面する小さな漁港・りびべつにやって来た。無一文だったものの、食堂の女将・石渡ふみ代(星由里子)の計らいで温かい食事にありつけた勝治と正一。しかしその場で、田丸重三(須賀不二男)が経営する地元の水産会社・田丸組の若い衆と、いんちき博打で船を抵当に取られてしまった日野組の船長・白鳥幸市(今井健二)、朝井常吉(水島道太郎)らの争いに巻き込まれてしまう。ふみ代の助言で、馬ソリ競争での決着をはかることになった勝治と田丸組の若島勇吉(山本麟一)。レース当日、常吉は白鳥の船を取り戻すため、自分の船をタローの勝利に賭けるのだったが・・・」という内容。
レース前、勝治と同時期に収監されていたらしい小松五郎(南利明)という男が近づいてきて、2人はいろいろと話をするのだが、その会話から勝治や正一の詳細が明らかになっていく。
序盤のエピソードからも随分と意地っ張りな性格であることが見て取れた勝治だが、正一にとってはとても頼りになる父親のようだった。
馬ソリのレース会場といってもただのだだっ広い雪原で、レース自体も決着がつくまでどれだけの距離を走るものなのかもよく分からないものだったが、極悪非道な存在であることがすでに明らかになっている若島の酷い妨害がゴールまで繰り返される。
(^_^;)
さて、作中ではオホーツク海沿岸の小さな漁村"りびべつ"とされているのだが、そのロケ地は日本海側の増毛町と留萌市だったようだ。
高台から見渡す港の様子は増毛港だし、まだ貨物ヤードが存在する頃の増毛駅がりびべつ駅として登場していた。
忠魂碑の大きな鳥居、そしてその向こうにある増毛小学校も幾らか映り込んでいたようだ。
恩人でもある田丸社長の命令で酷いことを続ける若島だが、根は悪い人間ではないようで、脇役ながらも、なかなか存在感がある役どころ。
これは期待以上に面白い物語だった。
(^_^)