仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬

2018年11月14日 | ムービー
『新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬』(1971年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「網走刑務所を仮出所した末広勝治(高倉健)は、結婚間近の妹・明子(江夏夕子)が待つ東京へと向かっていたが、静内駅前で食堂を経営している北野信造(南利明)の策略にあい、列車を降りたまま取り残されてしまった。仮出所の際に看守の犬飼(室田日出男)から酒に気を付けろと忠告された末広だったものの、静内食堂でビールを飲んだあげく、熊谷牧場の三男・三郎(谷隼人)らのグループと乱闘騒ぎを起こして店内を目茶苦茶にしてしまうのだった。宮坂直吉(藤田進)や的場貫一(玉川良一)らと関わり、喧嘩を起こした経緯から、加納秀男(三橋達也)が経営している加納牧場で働くことになった広末だったのだが・・・」という内容。
諦めて静内駅前を歩いている末広の目が止まったのは、アサヒビールのポスター。
竹林を背景にした高倉健が右手にアサヒの瓶ビール、左手には並々と注がれ泡がこぼれ落ちているグラスを持っていて、「いっしょに飲んで貰います!」と書かれている。
それを見て喉を鳴らせた末広が「いっしょに飲ませて貰おうか」と食堂に入りビールを注文するのだが、従業員(太古八郎)にビールを注文したものの、どうしようか迷い続ける場面が妙に印象的だった。
飲み出したら自分では止められないことが分かっていたのだろう。
それでも結局は酒を飲んで暴れてしまうのだから、どうしようもない。
牧場を手に入れた熊谷組の熊谷太郎(山本麟一)、熊谷源二(今井健二)、三郎の兄弟は何かと加納牧場に因縁をつけてくるのだが、それは加納牧場所有のカノーホマレという競走馬を欲しがってるからだという。
そこに加わる五代政雄(安藤昇)という渡世人が加わって、親分の仇だと末広をつけ狙うのだから、どんどんと面倒な話になっていく。
一度ハマった渡世の道から抜け出すというのはなかなかに大変なこと。
周囲の悪党どもが放っておいてくれないようだ。
それにしても、日高地方の静内町が舞台だというのに"嵐呼ぶ知床岬"とは、適当過ぎる題名のような気がする。
これは襟裳岬にしなければ駄目だろう。
(^_^)

新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼

2018年10月10日 | ムービー
『新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼』(1970年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「仮出所を控えた末広勝治(高倉健)は、弟分の小松五郎(南利明)と看守の対立に巻き込まれ、あえなく独居房入りとなったのだが、ウイリー・ジョンソン牧師(岡田眞澄)により、稲上(若山富三郎)と共に助けられた。牧師と共にカムイベツ教会へと向かう途中、煙草を買いに入った店で親分子分の盃を交わし、末広は牧師を親分と呼ぶことになる。教会で恵比須竹三郎(由利徹)と一緒にいわゆる寺男として働くことになった末広は・・・」という内容。
カムイベツ教会は"ウイリージョンソンホーム"として不良少年達を預かり、ボクシングジムを開いていたが、やはり仮出所中の大関一郎(谷隼人)が、北日本新人王決定戦を控えていた。
その大関の強さに地元暴力団の親分でボクシングジムのオーナー、五十嵐徹(山本麟一)が目を付け、引き抜こうとしたことから様々なトラブルが生まれる。
大関も五十嵐のジムに行きたくて仕方がないのだが、ウイリージョンソンホームにいることが仮出所の条件らしいので、どうしようもないようだ。
トレーニングの途中、通りかかった神社に手を合わせて「あの野郎、アーメンなのに手を合わせやがったよ」と言われる末広だが、「何を拝んだっていいんだよ。心だよ、男は!!」と断言するのが頼もしい。
(^o^)
教会での暮らしが舞台になっていることもあって、主題歌「網走番外地」(矢野晃作詞、八木正生作曲編曲)が讃美歌風にオルガンで演奏されているのが何とも面白いのだった。
(^_^)

新網走番外地 さいはての流れ者

2017年08月08日 | 映画サークル
ましけ映画サークル7月例会は、忠〇企画の『新網走番外地 さいはての流れ者』(1969年/佐伯清監督)を見た。
物語は、「かつて網走監獄に収監されたこともある血の気の多い男・末広勝治(高倉健)は、足が悪い息子・正一(下沢広之/真田広之)の治療費を稼ぐため、愛馬タローが曳くソリでオホーツク海に面する小さな漁港・りびべつにやって来た。無一文だったものの、食堂の女将・石渡ふみ代(星由里子)の計らいで温かい食事にありつけた勝治と正一。しかしその場で、田丸重三(須賀不二男)が経営する地元の水産会社・田丸組の若い衆と、いんちき博打で船を抵当に取られてしまった日野組の船長・白鳥幸市(今井健二)、朝井常吉(水島道太郎)らの争いに巻き込まれてしまう。ふみ代の助言で、馬ソリ競争での決着をはかることになった勝治と田丸組の若島勇吉(山本麟一)。レース当日、常吉は白鳥の船を取り戻すため、自分の船をタローの勝利に賭けるのだったが・・・」という内容。
レース前、勝治と同時期に収監されていたらしい小松五郎(南利明)という男が近づいてきて、2人はいろいろと話をするのだが、その会話から勝治や正一の詳細が明らかになっていく。
序盤のエピソードからも随分と意地っ張りな性格であることが見て取れた勝治だが、正一にとってはとても頼りになる父親のようだった。
馬ソリのレース会場といってもただのだだっ広い雪原で、レース自体も決着がつくまでどれだけの距離を走るものなのかもよく分からないものだったが、極悪非道な存在であることがすでに明らかになっている若島の酷い妨害がゴールまで繰り返される。
(^_^;)
さて、作中ではオホーツク海沿岸の小さな漁村"りびべつ"とされているのだが、そのロケ地は日本海側の増毛町と留萌市だったようだ。
高台から見渡す港の様子は増毛港だし、まだ貨物ヤードが存在する頃の増毛駅がりびべつ駅として登場していた。
忠魂碑の大きな鳥居、そしてその向こうにある増毛小学校も幾らか映り込んでいたようだ。
恩人でもある田丸社長の命令で酷いことを続ける若島だが、根は悪い人間ではないようで、脇役ながらも、なかなか存在感がある役どころ。
これは期待以上に面白い物語だった。
(^_^)

喜劇・いじわる大障害

2014年02月25日 | ムービー
『喜劇・いじわる大障害』(1971年/藤浦敦監督)を見た。
物語は、「1970年代。田舎で何不自由なく生活していたおぼっちゃん・猪狩次郎(岡崎二朗)は、"東京で一旗あげてやる!!"と決意し、従兄弟の談次(立川談志)を訪ねる。しかし、到着早々電車でスリ被害にあってすっからかんになり、警察署内で偶然居合わせた女詐欺師(宮城千賀子)にもカモられてしまう。挙句の果てにはインチキ産婦人科に担ぎ込まれて法外な請求をされる等まったくツキに見放されてしまったようだったが、そこに電車内で見かけた春子(夏純子)が現れて・・・」という内容。
立川談志監修とあって、三遊亭圓楽(五代目)、三遊亭小円遊林家木久蔵三遊亭円歌毒蝮三太夫といった『笑点』のメンバーや林家三平(初代)が出演している。
そして、"インチキ産婦人科医"といえばもちろん漫談のケーシー高峰であり、さらに、見るからに怪しく最もインチキ臭い登場人物(不動産屋)を演じているのが喜劇俳優の南利明である。
話し方も態度も着ている服ですら、何もかもすべてがインチキに見えるから凄い俳優さんだ。
(^。^)
主役の俳優よりも脇役陣のほうに存在感があって楽しいのだが、物語全体ではそのような素晴らしい要素を活かしきれていないのが残念だ。
ただ、廃坑になったなった炭鉱からダイヤモンドの鉱脈が発見される等、映像以外の発想は面白い。
そういったところは落語家が監修してくれているだけのことはあるのだが、期待をして見始めてしまった分、内容には少しガッカリしたのだった。