仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

網走番外地 北海篇

2018年12月22日 | ムービー
『網走番外地 北海篇』(1965年/石井輝男監督)を見た。
物語は、「網走刑務所。殺人と傷害の罪で懲役8年の刑に服している橘真一(27番/高倉健)は仮釈放が近かったが、体調が悪い同房の葉山(13番/千葉真一)のために特別食を作ってもらおうとしたことがキッカケで、炊事班長の19番(山本麟一)と揉め事を起こしてしまう。仮出所取り消しをちらつかせる看守・小暮(関山耕司)に拳銃で威嚇されながらも橘を助けたのは、8人殺しの鬼寅(42番/嵐寛寿郎)だった。命を懸けた鬼寅の行動でどうにか難を逃れた橘は、翌朝に仮出所をしたのだが・・・」という内容。
橘は葉山の頼みごとに親身に耳を傾け、彼の願いの通り、まずカムイコの王子運送・志村(沢彰謙)を訪ねる。
約束通りに葉山の母親への送金をさせようとするのだが、金を作るためにペンケセップまでのチャーター便の運転手を引き受けることになり、様々なトラブルに巻き込まれるというなんとも濃い展開だ。
しかも、登場人物すべてのキャラクターも濃い。
炊事班長の19番、オカマの夫婦(?)11番(由利徹)と108番(砂塚秀夫)、荷主の安川(安部徹)と金田(藤木孝)、突然の乗客の浦上(杉浦直樹)、貴子(加茂良子)、雪江(宝みつ子)、弓子(大原麗子)といった訳有りの連中だけで別の作品ができそうだ。
(^_^)
"網走番外地シリーズ"が全10作品(1965年~1967年)、"新網走番外地シリーズ"も全8作品(1968年~1972年)が作られ上映されたようで、相当の人気作品だったようだが、これだけのシリーズ化も納得できる実に面白い物語だった。

新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬

2018年11月14日 | ムービー
『新網走番外地 嵐呼ぶ知床岬』(1971年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「網走刑務所を仮出所した末広勝治(高倉健)は、結婚間近の妹・明子(江夏夕子)が待つ東京へと向かっていたが、静内駅前で食堂を経営している北野信造(南利明)の策略にあい、列車を降りたまま取り残されてしまった。仮出所の際に看守の犬飼(室田日出男)から酒に気を付けろと忠告された末広だったものの、静内食堂でビールを飲んだあげく、熊谷牧場の三男・三郎(谷隼人)らのグループと乱闘騒ぎを起こして店内を目茶苦茶にしてしまうのだった。宮坂直吉(藤田進)や的場貫一(玉川良一)らと関わり、喧嘩を起こした経緯から、加納秀男(三橋達也)が経営している加納牧場で働くことになった広末だったのだが・・・」という内容。
諦めて静内駅前を歩いている末広の目が止まったのは、アサヒビールのポスター。
竹林を背景にした高倉健が右手にアサヒの瓶ビール、左手には並々と注がれ泡がこぼれ落ちているグラスを持っていて、「いっしょに飲んで貰います!」と書かれている。
それを見て喉を鳴らせた末広が「いっしょに飲ませて貰おうか」と食堂に入りビールを注文するのだが、従業員(太古八郎)にビールを注文したものの、どうしようか迷い続ける場面が妙に印象的だった。
飲み出したら自分では止められないことが分かっていたのだろう。
それでも結局は酒を飲んで暴れてしまうのだから、どうしようもない。
牧場を手に入れた熊谷組の熊谷太郎(山本麟一)、熊谷源二(今井健二)、三郎の兄弟は何かと加納牧場に因縁をつけてくるのだが、それは加納牧場所有のカノーホマレという競走馬を欲しがってるからだという。
そこに加わる五代政雄(安藤昇)という渡世人が加わって、親分の仇だと末広をつけ狙うのだから、どんどんと面倒な話になっていく。
一度ハマった渡世の道から抜け出すというのはなかなかに大変なこと。
周囲の悪党どもが放っておいてくれないようだ。
それにしても、日高地方の静内町が舞台だというのに"嵐呼ぶ知床岬"とは、適当過ぎる題名のような気がする。
これは襟裳岬にしなければ駄目だろう。
(^_^)

新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼

2018年10月10日 | ムービー
『新網走番外地 / 吹雪のはぐれ狼』(1970年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「仮出所を控えた末広勝治(高倉健)は、弟分の小松五郎(南利明)と看守の対立に巻き込まれ、あえなく独居房入りとなったのだが、ウイリー・ジョンソン牧師(岡田眞澄)により、稲上(若山富三郎)と共に助けられた。牧師と共にカムイベツ教会へと向かう途中、煙草を買いに入った店で親分子分の盃を交わし、末広は牧師を親分と呼ぶことになる。教会で恵比須竹三郎(由利徹)と一緒にいわゆる寺男として働くことになった末広は・・・」という内容。
カムイベツ教会は"ウイリージョンソンホーム"として不良少年達を預かり、ボクシングジムを開いていたが、やはり仮出所中の大関一郎(谷隼人)が、北日本新人王決定戦を控えていた。
その大関の強さに地元暴力団の親分でボクシングジムのオーナー、五十嵐徹(山本麟一)が目を付け、引き抜こうとしたことから様々なトラブルが生まれる。
大関も五十嵐のジムに行きたくて仕方がないのだが、ウイリージョンソンホームにいることが仮出所の条件らしいので、どうしようもないようだ。
トレーニングの途中、通りかかった神社に手を合わせて「あの野郎、アーメンなのに手を合わせやがったよ」と言われる末広だが、「何を拝んだっていいんだよ。心だよ、男は!!」と断言するのが頼もしい。
(^o^)
教会での暮らしが舞台になっていることもあって、主題歌「網走番外地」(矢野晃作詞、八木正生作曲編曲)が讃美歌風にオルガンで演奏されているのが何とも面白いのだった。
(^_^)

新網走番外地 さいはての流れ者

2017年08月08日 | 映画サークル
ましけ映画サークル7月例会は、忠〇企画の『新網走番外地 さいはての流れ者』(1969年/佐伯清監督)を見た。
物語は、「かつて網走監獄に収監されたこともある血の気の多い男・末広勝治(高倉健)は、足が悪い息子・正一(下沢広之/真田広之)の治療費を稼ぐため、愛馬タローが曳くソリでオホーツク海に面する小さな漁港・りびべつにやって来た。無一文だったものの、食堂の女将・石渡ふみ代(星由里子)の計らいで温かい食事にありつけた勝治と正一。しかしその場で、田丸重三(須賀不二男)が経営する地元の水産会社・田丸組の若い衆と、いんちき博打で船を抵当に取られてしまった日野組の船長・白鳥幸市(今井健二)、朝井常吉(水島道太郎)らの争いに巻き込まれてしまう。ふみ代の助言で、馬ソリ競争での決着をはかることになった勝治と田丸組の若島勇吉(山本麟一)。レース当日、常吉は白鳥の船を取り戻すため、自分の船をタローの勝利に賭けるのだったが・・・」という内容。
レース前、勝治と同時期に収監されていたらしい小松五郎(南利明)という男が近づいてきて、2人はいろいろと話をするのだが、その会話から勝治や正一の詳細が明らかになっていく。
序盤のエピソードからも随分と意地っ張りな性格であることが見て取れた勝治だが、正一にとってはとても頼りになる父親のようだった。
馬ソリのレース会場といってもただのだだっ広い雪原で、レース自体も決着がつくまでどれだけの距離を走るものなのかもよく分からないものだったが、極悪非道な存在であることがすでに明らかになっている若島の酷い妨害がゴールまで繰り返される。
(^_^;)
さて、作中ではオホーツク海沿岸の小さな漁村"りびべつ"とされているのだが、そのロケ地は日本海側の増毛町と留萌市だったようだ。
高台から見渡す港の様子は増毛港だし、まだ貨物ヤードが存在する頃の増毛駅がりびべつ駅として登場していた。
忠魂碑の大きな鳥居、そしてその向こうにある増毛小学校も幾らか映り込んでいたようだ。
恩人でもある田丸社長の命令で酷いことを続ける若島だが、根は悪い人間ではないようで、脇役ながらも、なかなか存在感がある役どころ。
これは期待以上に面白い物語だった。
(^_^)

ブラック・レイン

2017年08月05日 | ムービー
『ブラック・レイン(原題Black Rain)』(1989年/リドリー・スコット監督/アメリカ)を見た。
物語は、「養育費の支払い等で汲々としているニューヨーク市警殺人課の刑事ニック・コンクリン(マイケル・ダグラス)は、内務捜査官から麻薬密売事件の押収金を横領した嫌疑をかけられ、査問を受けていた。悶々とした気分で、同僚のチャーリー・ビンセント(アンディ・ガルシア)とランチをとっていると、レストラン店内に居合わせた日本のヤクザ2人が、後から来た佐藤浩史(松田優作)とその部下によって殺されるという場面に出くわした。命の危険にさらされながら、何とか逮捕したものの、佐藤は日本国内での犯罪容疑で指名手配されていたことから、日本の警察に引き渡されることになった。コンクリンとビンセントの2人が佐藤を日本まで護送することになったのだが・・・」という内容。
半ば観光気分の犯人護送だったが、なんと、到着した空港でニセ警察官・梨田(内田裕也)と片山(ガッツ石松)に佐藤を引き渡してしまう。
これはやらかしてしまった。
大チョンボだ。
大阪府警では、刑事部長の大橋警視(神山繁)によって松本正博警部補(高倉健)を監視役につけられるのだが、権限がないにもかかわらず日本の捜査に関わろうとする2人。
逮捕したのも逃がしてしまったのも自分達なのだから、"プラスマイナスゼロ"ではないかとも思うのだが、やはり、そこはミスのほうが許されないし、自分達としても許せないのだろう。
しかし、自分のボス・菅井国雄(若山富三郎)を裏切り、ヤクザ世界でのし上がっていこうと画策している佐藤は凶悪な男だ。
そのためにアメリカまで行って、菅井の子分をも殺していたのだから。
舞台になっている大阪の繁華街の様子は、『ブレードランナー(原題Blade Runner)』(1982年/リドリー・スコット監督/アメリカ)に登場する未来都市に似た感じの、何か得体のしれない怪しさがいっぱいの雰囲気だ。
客もホステスも盛り上がってて騒々しいクラブの店内と、深夜の静まり返った街中の対比も同様だし、沢山の人達の喧騒があふれかえる路地の様子や、暗闇に輝く色とりどりのイルミネーションが、より効果的に映えるように雨や雨上がりの路面を利用している点も、美しい映像づくりを意識しているようで素晴らしい。
犯人役の松田優作(1949年~1989年)はこのハリウッド作品出演を機会にしてもっと活躍してほしかった俳優さんだったのだが、本作が遺作になってしまったのは、とても残念だった。

日本侠客伝 関東篇

2017年04月10日 | ムービー
『日本侠客伝 関東篇』(1965年/マキノ雅弘監督)を見た。
物語は、「大正12(1923)年。東京魚市場は日本橋から築地へと移転した。郷田勢之助(天津敏)は、移転に伴い東京魚市場協同組合を組織し、石津組のやくざを使って強引に加入者を増加させた。魚の取り扱いを独占することで価格を意のままに操ることが目的だった。老舗問屋"江戸一"は、父亡きあと男勝りの長女・市川栄(南田洋子)が妹・光子(藤純子)と共に切り盛りしていたが、強引に組合加入を迫る郷田の妨害工作があって商いは細る一方。ある日、光子と恋仲の磯村松夫(長門裕之)とケンカの挙句に仲良くなった船員の緒方勇(高倉健)が、"半年経たないと戻ってこない船に乗り遅れてしまったので次の航海までの期間、雇ってほしい"と江戸一を訪ねてきて・・・」という内容。
定価というものがなく"時価"で取引される商品市場を独占することができれば、それ以降の価格は意のままだ。
とことん妨害を続ける郷田は市の水産局長をも抱き込み、江戸一らが最後の手段として買い取ったカナダ船のマグロの陸揚げを妨害するのだが、心配に思った緒方は事前に、手続きを自分でせずに日南物産の森田(原健策)に任せっきりの栄のやり方を指摘していた。
折角の忠告を生かすことができなかったのは残念だったが、ここで栄を見捨てず、体を張って助けようとする緒方が素晴らしい。
(^_^)
小揚組合・三谷加平(大木実)の資金援助もあって、実現にこぎつけた焼津の網元・八十川波右衛門(丹波哲郎)との取引はまさしく命懸け。
これで上手くいかなければお手上げという土壇場だったのだが、この壁を乗り越えた後もなお、郷田の妨害工作は執拗だった。
「誰だ!?」「ここの潮っ気で育った男だよ」という台詞が何とも格好良い江島勝治(鶴田浩二)は、磯村をかばって一度は身を隠したはずだったが、やはり黙ってはいられない。
江島がおでんの屋台で酒を飲んでいると、女の子が「お兄ちゃん、どどいつのおみくじ買って」と寄ってくる場面があったのだが、当時は"おみくじ"を打って歩く小遣い稼ぎがあったのだろうか。
何も言わずに買ってあげて、「惚れた女には縁がないってさ」と少し切なそうな口調でおでん屋のおやじに言う。
信じはしないのだろうが、それなりに気には掛けるというのがあるあるだ。
(^。^)
北島三郎が三郎寿司の店主サブ役で出演していたのだが、すごい高下駄を履いていて、少し笑ってしまったのだった。
(^_^;)

昭和残侠伝

2016年03月30日 | 映画サークル
本年初の開催になった"ましけ映画サークル"の3月例会は、長○企画『昭和残侠伝』(1965年/佐伯清監督)だった。
物語は、「太平洋戦争敗戦直後の東京。浅草界隈で露天商を取りまとめている神津組は、新興やくざ新誠会の攻勢に手を焼いていた。露天の商品に何かといちゃもんをつけては、ゼロ戦五郎(梅宮辰夫)やジープの政(松方弘樹)らと小競り合いを繰り返していた新誠会だが、ついには神津組四代目・川田源之助(伊井友三郎)を射殺。帰りを待ち焦がれていた寺島清次(高倉健)の復員は間に合わなかった。遺言により五代目を継ぐことになった清次は露天の商品集めに奔走したが、新誠会による執拗な妨害が続き・・・」という内容。
これは人気シリーズの第1作で、このあと『昭和残侠伝 破れ傘』(1972年/佐伯清監督)まで全9作が製作されているようなのだが、主役の高倉健は当然として池部良(風間重吉役)も全作品に登場しているようだ。
マドンナ役を変えながら、若大将に対して青大将というライバルを登場させる東宝の"若大将シリーズ"(1961年~1971年/全17作)と同様、毎回、似たような話として展開しているようなのだが、昭和の人気映画シリーズは概ねそのようなスタイルだったのだろうか。
松竹の"男はつらいよ"シリーズは全48作が同じ設定の物語だが、時代が新しくなっていって、連続性を考慮するように変わっていったのだろうか。
菅原謙二(江藤昌吉役)、江原真二郎(西村恭太役)、中山昭二(福永繁役)、中田博久(川田輝男役)といった神津組側の配役に対する新誠会側は、室田日出男(日の出の辰役)、八名信夫(島田役)といった俳優さん達で、この頃はまだピラニア軍団や悪役商会は存在しなかったのだろうから、スポットを当てられることもなく、とにかくこういった映画ではやられまくったのだろう。
相手の卑怯なやり口に我慢を続ける健さんを応援しながら見てはいるものの、ある瞬間には、最後にはやられてしまう悪役を応援したくもなってくるのだった。
なかなか妙な感覚だ。
隠居した大親分役で六代目三遊亭圓生師匠が出演していたが、これが助演男優賞ものの名演技。
さすが名人といった感じである。
さて、この3月例会終了後は、本年1月に急逝された当映画サークルのメンバー、故守○典之氏を偲び、"偲ぶ会"を行った。

つづく

映画『駅 STATION』の記録

2015年02月13日 | じもてぃーライフ
昨年、俳優の高倉健(1931年2月16日~2014年11月10日)氏が亡くなったと、没後1週間ほど経って公表されてから、映画『駅 STATION』(1981年/降旗康男監督)が撮影されたこともある増毛町では、その劇中に"風待食堂"として登場する駅前の観光案内所(旧多田商店)に記帳台が設けられたりしたようだ。
そして、国稀酒造株式会社(稲葉町1丁目)に撮影当時の様子を記録した写真等が2部屋にわたって展示されていたのだった。

鉄道員(ぽっぽや)

2014年04月11日 | ムービー
『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「美寄駅から分岐して敷設されているローカル線・幌舞線。その終着・幌舞駅で駅長として勤務している佐藤乙松(高倉健)は数ヵ月後に定年退職を控えており、これまで何よりも職務を優先させてきた彼は生後2ヶ月で死んでしまった一人娘や長年連れ添った妻(大竹しのぶ)の最期を看取ることができなかったことを悔いていた。また、すでに再就職先が内定している友人の杉浦仙次(小林稔侍)美寄駅長からこれからも一緒に働こうと誘われているものの、どうにもその気になれずにもいたのだった。そんな時、見慣れない女の子が乙松の前に現れ、"見たことがある人形だ"と不思議な思いをする。そして、JR北海道本社勤務の杉浦秀男(吉岡秀隆)からは幌舞線の廃線の予定が早まったことを告げられるのだが・・・」という内容。
"定年退職"、"ローカル線の廃線"といった身近にありがちな少し寂しい出来事が話の中心になってはいるのだが、"幌舞駅"という舞台も架空だし、物語全体としてもこれは紛れもなく"ファンタジー"である。
(^_^)
それならもっと楽しい物語にしてほしいところではあるのだが、寂れた町の廃止になる鉄道路線の定年退職する男達が、閉山する前の賑やかだった頃に死んでしまった人達のこと等を回想しているのだから、それは無理な話か。
(^_^;)
秀男からの廃線を予告する電話を切ったあと、投げ捨てるように帽子を机に置く乙松だったが、少しして帽子をきちんとかぶり直す。
何か『武士の家計簿』(2010年/森田芳光監督)と通じるような世界で、それは人生のすべてをその職業に捧げてきた男の性(さが)であり、それ故、退職後にリゾートホテルの仕事というまったくの別世界で生きていくことへの抵抗があったのだろう。
大竹しのぶの演技はやはり素晴らしい。
妙にうつむいて相手と目を合わせない、あの感じは見事だ。
たった2ヶ月で死んでしまった娘・雪子(広末涼子)の姿だと気がつき、彼女を何のためらいもなく"ゆっこ"と呼ぶ乙松。
彼のそういう思いがこの数日の不思議な体験を生んだのだろう。

駅 / STATION

2012年09月01日 | ムービー
高倉健主演の『駅/STATION』(1981年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「北海道警察に勤務する三上英次(高倉健)は、メキシコオリンピック射撃競技の日本代表選手としてメダル獲得の期待を一身に背負っていたが、妻・直子(いしだあゆみ)との離婚、先輩刑事・相場(大滝秀治)の殉職、射殺した銀行襲撃犯の身内から"警察の人殺し!!"と罵声を浴びせられたこと等から長く苦悩の中にいた。数年後、妹・冬子(古手川祐子)の結婚式に出席するため故郷の増毛町雄冬に帰った英次は、連続強姦殺人事件の捜査に関わることになり、容疑者・吉松五郎(根津甚八)の妹・すず子(烏丸せつこ)が働く"風待食堂"を監視しつつ・・・」という内容。
この映画を見たのは札幌東宝公楽(札幌市中央区)でのロードショー公開時だったが、エキストラ出演している知人を探したり、いつも見ていた故郷の様子を追ったりしていたことからストーリーはマッタク覚えてなく、その後に何度か見直してから、「あぁ、こういう物語だったのか」と改めて内容を確認した次第だった。
(^_^;)
地元で撮影された映画を見る時というのは、きっと皆そうなのではないかと想像しているのだが、さてどうなのだろうか。
英次と中盤から登場する桐子(倍賞千恵子)の二人が、大晦日の夜、他に客がいない桐子の店で一緒に酒を飲む場面は良かった。
小さなテレビに『NHK紅白歌合戦』の様子が映し出され、八代亜紀が歌う"舟唄"という歌が流れる。
♪お酒は温めの燗がいい~♪というあの歌だ。
(^_^)
何だか一気に"年末"という雰囲気に引き込まれる。

八甲田山

2012年08月26日 | ムービー
『八甲田山』(1977年/森谷司郎監督)を見た。
物語は、「1902(明治35)年、陸軍弘前第8師団の友田少将と中林大佐(大滝秀治)は、青森歩兵第5連隊と弘前歩兵第31連隊に対して八甲田での雪中行軍を提案し、青森歩兵第5連隊は神田大尉(北大路欣也)が、弘前歩兵第31連隊は徳島大尉(高倉健)が行軍の日程等を立案した。連隊長間で交わされた"八甲田ですれ違う約束"を実行するため、弘前歩兵第31連隊・徳島は無謀とも思える計画を立案したが、青森歩兵第5連隊も山田少佐(三國連太郎)が相手を意識する余りに、総勢210人という大部隊を編成させてしまう。出発後も指揮権がないはずの山田少佐の命令によって神田大尉の計画が狂わされ・・・」という内容。
これは1902年に実際に起きた青森県八甲田山での山岳遭難事故を題材として書かれた小説『八甲田山死の彷徨』(新田次郎著)を原作として製作された映画だが、原作自体が"事実を基に書かれたフィクション"であるので、この内容には事実ではない部分が多く描かれているようである。
物語の中でも「雪中行軍の日程や編成が外部に明らかにならないよう」という台詞も出てくるが、実際にはそれどころか、両連隊の雪中行軍は別々に企画立案されたものであったらしく、実施日が重なったのは単なる偶然でしかなかったようだ。
しかし、上司の口出しによって計画の変更を余儀なくされたり、無謀な行動を押し付けられたりという部分は、フィクションだと分かってはいても、実際にあったんだろうなぁと思ってしまうのだった。
(^。^)
冬山の場面はスタジオのセットではなく実際の自然の中で撮影されているようで、カメラのレンズにへばり付いている雪が撮影現場の過酷さを想像させ、かつ、迫力がある。

忠臣蔵 四十七人の刺客

2012年02月12日 | ムービー
『忠臣蔵 四十七人の刺客』(1994年/市川崑監督)を見た。
物語は、「江戸城内で刃傷事件を起こした浅野内匠頭(橋爪淳)を即日切腹とし、赤穂藩も取り潰した江戸幕府。その幕府の面目を叩き潰そうとの思いで仇討ちを計画した元赤穂藩国家老・大石内蔵助(高倉健)。対して吉良上野介(西村晃)を赤穂浪士から守るため様々な策を講ずる米沢藩江戸家老・色部又四郎(中井貴一)は・・・」という内容。
史実としての討ち入りは、その原因となった江戸城内・松の廊下での刃傷事件の理由について諸説あるようだが、この映画では最後までその部分は謎とされた。
色部の質問に吉良上野介は答えなかったし、最後にはその理由を明かすことを命乞いの条件として言い出したくらいだ。
監督がこの部分にこだわる理由は何だったのだろうか。
さほど大きな事柄にも思えなかったが、"最後にそれを持ち出す吉良の人間性"と"すでにそもそもなんて事はどうでも良くなっていた元赤穂藩士の心情"を改めて表現したかったのだろうか。
また、吉良邸の庭に迷路や堀があったりしたのだが、こういう表現も初めて見た。
斬新というよりは少し違和感を感じる演出だったので驚いた。
浪士を切り崩すために色部は様々な策を講じるが、効果があるのはやはり就職の口利きだ。
これはいつの時代でも一緒なんだろうな。

映画のパネル展示

2011年10月07日 | じもてぃーライフ
先日、"第40回増毛町秋味まつり"からの帰宅途中、増毛駅前の観光案内所に寄ってみた。
食堂でもないのに"風待食堂"の看板が付いている例の観光案内所だ。
(^o^)
どうやら、外壁等の補修と同時期に内部の改装も行われたようで、中は以前より幾分広くなっていた。
壁面には、増毛町でも撮影された高倉健主演の映画『駅』(1981年/降旗康男監督)のパネルが展示されており、この映画のことをあまり知らない人でも、その被写体などにより、撮影から相当の時間が経過していることが伺えるだろう。

散歩2011(その7)観光案内所

2011年09月24日 | じもてぃーライフ
散歩2011(その6)増毛町内施設案内図】のつづき
【風待食堂】の大きな横書きの看板と【観光案内所】の小さな縦書きの看板が付けられている建物は、旧多田商店。
高倉健主演の映画『駅』(1981年/降旗康男監督)は主に増毛町内で撮影されたが、"風待食堂"として物語に登場したのがこの建物であり、多田商店の廃業後、増毛町が同店舗を譲り受け、観光案内所として再生させたものである。
壁など痛んだ箇所は修復されている。

つづく

悪魔の手毬唄

2007年05月03日 | ムービー
『悪魔の手毬唄』(1977年/市川崑監督)を見た。
これは横溝正史の探偵小説が原作だ。
1961年には高倉健主演(金田一耕助役)で映画化されていたらしく、この石坂浩二主演版は再映画化ということのようだ。
金田一耕助が登場する映画やテレビドラマは数多く作られていて、何人もの俳優が演じているのだろうが、仁左衛門の世代では、映画の石坂浩二とテレビの古谷一行が結構印象に残っている金田一耕助ではないかと思う。
さて、金田一耕助が遭遇する事件の特徴は、複雑極まりない人間関係が描かれていることと、離島や片田舎の小さな村落が舞台になっていることだ。
大衆が遠くの町まで頻繁に行き来することなどほとんどなかった時代が背景になっているからなのだろうが、交通網や情報網が極度に発達し、夜の暗闇が随分と少なくなった今の時代では、こういった舞台は設定しにくくなったのではないだろうか。
この『悪魔の手毬唄』という物語は、岡山県のとある地域に残る手鞠唄になぞって次々と起きる殺人事件の謎を探偵金田一耕助が解いていくという内容なのだが、これを見るのが初めてではない仁左衛門はすでに結果を知っている。
まるで"刑事コロンボシリーズ"を見ているかのように、犯人が分かっているのにそれでも見てしまうのだが、映画というのはそれもまた良いのだ。
(^_^)